回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

ムクドリ

2021年01月26日 15時09分17秒 | 日記

いつになく庭が騒がしいと思ったら、今まであまり見たことのないほどのムクドリの一群が。一瞬、ヒッチコックの「鳥」でも思わせるような(大袈裟!)数のムクドリが庭の桜、梅、柿、栗の枝に止まっている。庭木の上を通っている電話線の上にも。南東の暖かい風が弱く吹いていたためか、どの鳥も風に向かって綺麗に並んでいる。音を立てないように、家の中からガラス窓越しに撮った写真をいくつか。集合していたのは15分程度だろうか、鳩か何か、少し大型の鳥が近づいてきたせいで慌ただしく一斉に飛び立って行った。

かつては農村で、田畑の農作物を荒らす小さな虫を食べることで害虫駆除に役立つという「益鳥」だったが、都市化の進む中ではそういった益鳥の働きをすることは出来ず。逆に道路や建物への汚染や騒音問題を引き起こし、今や「害鳥」と言われるようになってしまった。渡り鳥ではないので日本中どこにでも定住している。鳥と人間とのかかわりは難しい。のんびりと餌をついばむ田畑が減少し、都市化や宅地化がすすんだのは人間のせいであってムクドリのせいではない。それでも「害鳥」と言われるのだから少し気の毒ではある。

それに比べれば、240年ほど前、モーツアルトがピアノ協奏曲17番を作曲したころは良かった。この第3楽章アレグレット・ブレストは、モーツアルトがペットとして飼っていたというホシムクドリ(ムクドリの仲間)のさえずりを基にした旋律が主題として用いられていると言われている。この程度の鳴き声(さえずり)だったら良かったのに・・・。在宅勤務が増えて、家にいる時間が増えてくるとムクドリにとってはますます肩身が狭くなるのか。

鳥といえば、アラン・ドロンが、先ごろ亡くなった元妻ナタリー・ドロンと共演したフレンチ・フィルム・ノワールの傑作「サムライ」に出てくるカナリアを思い出す。留守がちな自分のアパルトマンのカナリアの落ち着かない様子を見て、ドロン演じるジェフ・コステロが部屋に盗聴器が仕掛けられていることを見破るなど、この映画での鳥の出てくるシーンは実に印象的だった。

モーツァルトのピアノ協奏曲17番第3楽章、レナード・バーンスタインの指揮・独奏(ウイーンフィル)もいいが、アンダ・ゲーザではどうだろう。

Mozart: Piano Concerto No. 17 in G Major, K. 453 - 3. Allegretto - YouTube

栗の木と電線に

それをアップに

更にアップにして

電線には2羽

桜の木にも

それをアップにして

ついに一斉に移動開始

 

 

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消息

2021年01月25日 16時04分11秒 | 日記

海外に住んでいる40年来の知人からEメール。当たり障のない挨拶の後、10人ほどの共通の知人について、今はどうしているか知らないか、と言う照会。彼等は全員、既に第一線を退いて、いわば悠々自適な生活のはず。コロナ禍で外出も会食も自粛の昨今、よほどの用がない限り、顔を合わせることも電話で話すこともない。急に消息を尋ねられても答えようがないよ。例年であれば何かと理由をつけて誰かと顔を合わせ、ついでに芋ずる式に他の者たちの消息が分かるのだが・・・ しかし、訃報と言うものも受け取っていないので、多分どうにか生きているのだろうと消去法的な考えが頭に浮かんだ。ただ、待てよ、もしコロナにでも感染していたのだったら訃報さえ送ってこないのではないか・・・と思いは乱れる。

大体、この、海外からの知人から聞かれるまでそもそも知人の消息について考えようともしなかったことに気が付いた。仕事でのつながりがなくなってしまうと、薄情だと言われるだろうが、他人の消息にはすぐに疎くなってしまうものだ。それに多分それはお互い様でもあるだろう。コロナ禍が老後の僅かな数の人とのつながりすら奪ってゆくように思えた。

どういう返事をするか、少し考えてみよう。一期一会、と言う言葉がある。自分はこれまで知人に対し、会ったその時が最後の出会いになると思っていつも誠意を尽くしていたのか、今となっては甚だ疑わしい気がしてきた。それにしても,一期とは本当に重たい言葉だ。何しろ生まれてから死ぬまで、を指すのだから。もし、この海外の友人にただ、「知らない」と答えるのであれば、それこそ一期一会を大切にしているとはとても言えない・・・。

この陶器の人形はContinental、とだけ書いてある。それ以上、ヨーロッパ大陸のどこかの国で作られたものなのだろうが、どこにも手掛かりはない。大きなチューリプの花を抱えているようだから、オランダ?

ロンドンの骨董屋から衝動的に買ったもの。骨董屋も一期一会を大切にしていただろうか?

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インク壺

2021年01月24日 15時59分32秒 | 日記

机の上に置いてあるケルビム(智天使)をかたどったインク壺。ロンドンのアンティークショップで買った物。実際にはインク壺などは使わないので単なるかざり。本来は手紙を立てかけるものと言うことだが、読みかけの本を置いても良いらしい。手前のくびれたところはペン置き。多分、1900年ころの真鍮製。

ケルビムとは天使9階級の第2位で知識に秀でる、翼のある美しい子どもの姿や頭で表すという。机の上に置いておくことで見る人(がいれば)に、自分の知性をさりげなく表わすこともできる、というビクトリア朝のスノビズムの象徴のような小物。

余り考えもせずに買ったのだが、調べてみると、ロココ風というのもあればバロック風、あるいはビクトリア朝風など諸説あり。様々な様式が影響を与えているのだろうか。材質の真鍮は、磨けば銅のような輝きを持つが、錆びてくすんで古びた感じも味がある。

このインク壺のインクで手紙を書けばきっと相手の胸を打つ文章が紡ぎだされてくるに違いない。しかしインクがないので、さしあたりこれを眺めながらメールでも書いてみよう。誰に?

 

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Storm Glass

2021年01月23日 15時50分12秒 | 日記

この週末は東京でも雪や霙が降るとの予報があり、また、北日本は厳しい寒さに見舞われそうだ。ネットで検索すると実に様々なところから天気予報が出されている。今や気象衛星が上空から24時間、膨大な気象データを地上に送ってきて、それをスーパーコンピューターが分析しているのだろう、精度は極めて高くなってきている。いくつかを見比べればおおよそ外れることはない。

未来(と言っても数日先のことだが)の天気を知るために、現代のような技術が進む前にも時代によって様々な道具が開発され、利用されてきた。その一つ、ストームグラス(Storm Glass)は、19世紀のヨーロッパで使われた天気予報の道具。複数の化学薬品(樟脳、硝酸カリウム、塩化アンモニウムなど)をエタノール水溶液に溶かしてガラス管に詰めたもので、溶液や沈殿の状態によって近未来の天気が分かる、とされるものだ。

かつて、デンマークとは仕事の関係で何度も出張したことがあり、その際、親しくなった友人から贈られたのがこの「サンタクロースのストームグラス」。グリーンランドを出発するサンタクロースがトナカイの橇に乗ってクリスマスプレゼントを届ける時には欠かせない道具だった、と説明書に書いてある。事実、19世紀には遠洋航海の際に1-2日先の天気を予想するためにこのストームグラスが活躍し、船乗りにとっては必須なものだった。

説明書によれば極めて高いとされているが、今となってみればこのストームグラスの精度がどれほどのものだったのか、判らない。しかし、外出もままならない昨今、余りギスギスせずにこの真鍮製のカバーで出来たアンティークのストームグラスで明日の天気を予想してみるのも悪くないだろう。仮に当たらなくても誰が文句を言うだろうか・・・。

因みに今日の天気予報、冬で特に雪や霜のときには、ガラス管の高い位置まで沈殿物が積もる。内容物はとても白くなり、浮遊する点状のものが見られる、ということだが、手元にあるこのストームグラスでは?

真鍮の金具でヘリ止めされている重厚な木のケースに入っているのは・・・

ストームグラス

ストームグラスの見方(沈殿状況と天気予報)

デンマーク、手作業で制作されたとある

ところで今日のストームグラスの様子は・・・

 

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ロココ調

2021年01月22日 14時43分52秒 | 日記

コロナ感染者が350万人を超え、死者も9万人を超えて厳しい都市封鎖(ロックダウン)の続くイギリスで、もし車を持っていたら息抜きの出来るところは郊外の、自然保護団体ナショナル・トラストが運営する歴史的建造物(主として貴族の所有していた城や館)や庭園だろう。相続税の高いイギリスでは、多くの貴族(爵位を持っている、と言う意味で)は、住み続けながら館と付随する庭園をナショナル・トラストに寄贈し一般に開放している。世界に名だたる富豪、ロスチャイルド家の居城であるWaddesdon Manor(ワッデスドン・マナー)も例外ではない。現在、開放されているのは庭園のみであり、ロックダウンに伴う政府からの指示により建物内部に入ることは出来ず、また、レストラン等も閉鎖されている。かなり数を絞った上での完全事前予約制、かつ、園内での知り合い等との集合も禁止されている。先日、Skypeで話した友人もこのところ頻繁に散歩(運動不足解消)を兼ねてナショナル・トラストの庭園に足を運んでいると言っていた。

この、イギリスにあるとは思えないような16世紀フランス・ルネッサンス様式シャトーは、ロスチャイルド家3代目のフェルディナンドが19世紀末に建てたもの。外観は数あるイギリス貴族の館の中でもひときわ異彩を放っており、ナショナル・トラストが管理するマナーハウスの中でも毎年最も人気のある(訪問者数の多い)館の一つに挙げられている。

ここは建物自体が第一級の歴史的建造物に指定されている(Grade I listed house)ほか、贅を尽くした内装や調度品はフェルディナンドの好みのロココ調で、掛かっている絵画も殆どがロココ時代のもの。

このブログでは先ごろブーシェとフラゴナールの絵のことを書いたがその延長で、この館のコレクションの中でロココ風の調度品を二つほど。ロンドン駐在時、ナショナル・トラストのメンバーになっていたので、ここには無料で入場することが出来た(ナショナル・トラストの年会費は払わなければならないが)。コロナが終息して、またこの館を訪れることが出来るのはいつのことか。

18世紀フランスの椅子(ボーヴェ織カバー)

18世紀、マイセン陶器で飾られたフランス式時計

Waddesdon Manor外観

 

 

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