2015.10.11(日)曇り
京都新聞2015年9月21日の地域面丹波の中に「かやぶきの客人」という美山町のそば処もりしげのご主人森茂明氏の一文を見つけた。それは20年ほど前、水上先生がもりしげを訪れ、同席したいという当時の町長と対峙する場面である。当時の町長はいわゆる開発促進派というのだろうか、鉄筋とコンクリートで村の活性化を図りたいという人物であったそうだ。若狭原発の資金で芦生原生林にダムを造ろうかという御仁なので相当なものである。しかしこの町長、水上先生の名声はご存じだったのだろうが、先生が原発をはじめとする開発や自然破壊に批判的なことはご存じなかったようで、両者のやりとりが実に面白く書かれている。
「水上先生、過疎地の起死回生の妙案に、これぞというものはありまへんか」
先生が苦労して育て上げられた竹紙のことを話されると、「先生、そんな紙ッ切のようなもので村おこしはなりまへん」とまあ町長ご機嫌ななめ。
その後もやりとりがあったと思うが最後に、「これからは一滴文庫の門前で、原発アラレを売ろうと思うとります」と謎めいたことばを残して水上先生は席を立たれたそうだ。
いやはや何とも痛快な一幕である。
一滴文庫の門前には原発アラレは売ってなかった
「越の道」は「丹波・丹後」に続いて読んだ紀行文学コレクションのひとつだが、この道は9年前に自転車で旅をした道筋でもあるので大変興味深く読むことが出来た。
日本の風景を歩く「越の道」越前・越中・越後 水上勉著 2000年3月10日初版発行 古書
【今日のじょん】じょんは鍋が大好きである、今夜は飯で飯食うきりたんぽ。もうそわそわでカメラでもとらえられない。