2016.5.11(水)曇り 学んでみると自然人類学はおもしろい(3)は2016.5.7
直立二足歩行によって実に多くのヒトの特徴が現れる。家族、言語、学習能力などまるで無関係に感じる事柄までが影響しているわけだ。残念ながらわたしの期待している事項、S字状カーブ、筋ポンプ、姿勢筋などは前段で記述した直立二足歩行のデメリットである脱腸、脱肛、脳貧血、下肢のむくみなどの対抗策として進化したミクロな進化としてとられているのだろうか。浜田氏は次のように述べている。
一方で、胃下垂とか腰痛、さらには座骨神経痛、下肢の静脈瘤などの弊害を人類にもたらしている。これらの弊害が強調される傾向があるが、精神的ストレスを溜めないようにし、偏った姿勢や運動を是正するようにすればかなりの程度、防ぐことができ、本質的な弊害とは言えない。
いずれにしてもこの二冊の中には腰痛などに関する記述は少なかった。しかし今日重大な問題となっている腰痛に対しては上記の三つは重要な進化であると考えるのである。
ところで両冊に共通する重要なことがある。直立二足歩行にしても自由になった手の使い方にしてもその進化は不完全であると言うことだ。不完全というと問題ありげに感じるのだが、マルチにあらゆる事をするために、一つのことに特化していないといえば納得がいくだろう。
たとえばヒトの手足は魚のように上手く泳げるような構造にはなっていない。魚は手足が泳ぐことに特化して進化しているから生まれながらにして上手く泳げるがヒトは練習しなければ泳げない。脳による学習機能や思考力を活かして初めて上手く泳げるようになるわけだ。そのことが脳を発達させてきたのである。
二足歩行にしても効率的で疲れにくく、故障を起こさない正しい歩き方は自然には身についていない。意識して訓練し身につける必要がある。姿勢にしても呼吸にしても自然に任せていたら正しく効率の良い方法はできないのである。
実はこのことが腰痛の予防と治療に対して重要なポイントとなるのではないだろうか。
ともあれヒトの進化を学ぶことで腰痛の原因も予防も治療も見えてくると思った二冊であった。おわり
この赤ちゃんはまだ歩いてはいない、脊椎のS字状カーブも形成されていないように見える。右の表紙は光って見にくいが人類の二足歩行の進化が描かれている。脊椎はアーチ状からS字状に変わっているのがよくわかる。
【今日のじょん】
何をしてるのでしょうか?先日いたのである。季節ですな-。