2016.9.7(水)
腰痛を歩いて治す方法を研究してきたのでこの本が出版されていることは知っていたが、読むつもりは無かった。簡単に答を得るより、自分で考えて答を出したかったからだ。舞鶴市の書店で他の本を探していたとき、ふとこの本に気づき、ぱらりとめくったときに腕の振り方について書かれていた。わたしの歩き方の基本はデューク更家氏の「ウオーキング考」に依っているのだが、腕の振り方に関してどうも納得いかない部分があった。それが本書ではデューク更家氏の例を出して腕を後ろに振ることは肩胛骨を動かすことだと解説してある。肘をお腹より前に出さないという腕の振り方がようやく理解できた。
「病気の9割は歩くだけで治る」長尾和宏著 山と渓谷社2016.2初版第4刷 購入1200円
オリンピック関連の番組で競歩が取りあげられていた。腰痛の研究を始めてからスポーツ観戦の場合でも選手の体形、筋肉、フォームなどを注視するようになった。競歩ではあの独特の足の送りが興味あるところだが、気になる腕の振りを見逃さなかった。腕は後ろに振られている、更家氏のいう腕振りは美しさだけではなかったのだ。歩くために合理的な振り方なのだろう。ランニングにおける腕の振り方とは明らかに違うものである。
本書では生活習慣病、認知症、うつ病、不眠症、便秘、逆流性食道炎、線維筋痛症、がんなど特に近年注目されている病気を主になぜ歩くだけで治るか解いている。セロトニンやノルアドレナリンといった脳内ホルモン、免疫系、自律神経系など分かり易く書かれているが、歩いて治るというより歩かなくなってこれらの病気が出て来たと言っても良さそうである。そして現代の薬に頼った医療を鋭く批判している。健康になるための歩き方を紹介し、歩くことで人生まで変えてしまうというだれもに読んで頂きたい一冊である。