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人工知能が、人類を追い越す日が来る - 孫正義代表が特別講義

2015年10月24日 07時14分04秒 | IT
●人工知能のIQは1万!?
ソフトバンクグループ代表の孫正義氏は、そのプレゼンを「Singularity」(シンギュラリティ)というテーマで切り出した。同代表によれば、人工知能が人間の脳の限界を越える日も近いという。そのとき、人類には何がもたらされるのだろうか。本稿では、都内で22日に行われた「ソフトバンクアカデミア特別講義」で孫正義代表が語った内容の一部を紹介したい。

○人工知能のIQは人間の100倍に?

孫正義代表は「人間のIQの平均値は100で、200もあれば天才とされる。ところがコンピューターの人工知能は、今後30年ほどでIQが1万に達する。40億年とも言われる地球の歴史上で初めて、人類の知能を越える存在が出現する」と説明した。同氏によれば、コンピューターに組み込めるトランジスタの数は、2018年に人間の脳細胞の数(300億個)に到達。さらに、その後30年かけて人類の脳細胞の100万倍にまで増加し続けるという。

コンピューターは人間に勝てるはずがない――。従来はそう考えられてきた。人間は見て、聞いて、触ってという経験を通じて自己学習(ディープラーニング)し、それに基づいて考え、予測し、創造する。一方でコンピューターは、人間がプログラミングして動かす。だからコンピューターは人間に勝てるはずがない、という理屈だ。しかしそれは、コンピューターを数少ないトランジスタで動かしていた時代の常識。孫代表は「有り余るほどのトランジスタをもってすれば、コンピューターにもディープラーニングさせることが可能になる」と分析する。つまり“コンピューターが勝手にどんどん賢くなっていく”、そんな時代がやって来るという。

西暦2040年前後には、ロボットの数も地球上の総人口を上回ると予測。孫代表は「ロボットと言っても身近なIoTから、自動操縦できる乗用車、Pepperのようなスマートロボットまで色々あるが、人間の知能を遥かに越えたスマートロボットがウジャウジャしている、そんな時代が来る」と語った。

●ロボットが溢れる世界は素晴らしいのか
○ロボットと人間の関係性はどうなる?

そうなると気になるのが、ロボットと人間の関係性だ。Singularityは、人類にとって良いことなのか悪いことなのか、進化なのか破滅なのか。孫代表は「私は楽観的に考えている。人類にとって、きっと素晴らしいものになると信じている。人類の知能を越えたコンピューターだから、この地球を破滅に導くようなことは避けるだろう。人類は知的ロボットと共存し、より良い社会をつくっていくだろう」と話した。ここで舞台には、ソフトバンクグループの代表取締役副社長であるニケシュ・アローラ氏が招かれた。

孫代表は「情報革命は人をより幸せにしてくれる」とし、Singularityの訪れも楽観的に捉えている。これに対して、ニケシュ・アローラ副社長は慎重派。「IQが1万に到達したコンピューターを誰がコントロールするのか」「コンピューターが人にやかましくアドバイスするようになったら」と懸念材料を並べた。

孫代表は「コンピューターは、コンピューター自身がコントロールする」「人はコンピューターに依存するようになる。すると、人間が行う知的作業の生産性を高められる」と回答。ニケシュ・アローラ副社長が「人類はコンピューターに支配されてしまうのではないか」と質問すれば、孫代表は「いや、共存できると思っている」。好対照なこの2人だが、ニケシュ・アローラ副社長も最後には折れて「孫社長は楽観的ですね。それで2人でバランスがとれている」と楽しそうに笑った。

●Pepperは「良い」ロボット
○悪いロボットも必要?

情報革命が人を幸せにする例として、孫代表は「医師が行うアドバイスは今後、DNAや血液情報などをもとに、コンピューターが行えるようになる」と説明。ニケシュ・アローラ副社長が未来の交通事情について尋ねると、孫代表は「今後も四輪車は残る。でも人間がコントロールしない方が安全。コンピューターと一緒にドライブを楽しむ、というシチュエーションになるのではないか」と持論を展開した。

IQの点では、人類より頭の良いスマートロボットが開発される。だからこそ、孫代表はロボットに「心」を持たせることにこだわっている。「IT業界で叫ばれているような、生産性向上の一辺倒には陥りたくない。だからこそ、私たちは優しい心を持ったPepperを開発した」と孫代表。

ここでニケシュ・アローラ副社長が「人間でも冷たい人はいる。そうすると、悪い感情を持ったロボットも必要になるのでは」と問うと、孫代表は「人間と同じで、バランスは必要」。この回答に、ニケシュ・アローラ副社長は「では良いPepperはソフトバンクが開発して、悪いPepperはほかの会社に任せましょう」と応じて、会場の笑いを誘った。

「Pepperを迎えた家族が、ハッピーになれるようにしたいんです」と孫代表。未来のロボットについて話題は尽きないようで、「会社を300年存続させるには」「リーダーシップとは」といった別のテーマに移った後も、度々、Singularity後のロボットについて熱く語り合う2人の姿があった。
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高揚感なき株高・円安、「ドラギマジック」持続力に警戒も

2015年10月24日 07時08分31秒 | FX
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が12月の追加緩和を示唆し、株高・円安が進んだ。しかし市場では冷めた声も多い。ECB以外の中央銀行が緩和方向に動けば、為替面での効果は相殺される。金融緩和で景気や物価が、劇的に改善するとの期待も乏しい。流動性相場の加速で株高が進んだとしても、実体経済とのかい離は逆に広がりそうだ。

<通貨安競争なら円安に限界>

追加緩和を実施したわけではない。具体策を明示したわけでもない。検討するとの発言だけで、この株高・円安(対ドル)だ。まさに「ドラギマジック」と言えよう。「金融緩和が示唆されたことで、流動性相場の継続が意識され、ヘッジファンドなどの海外勢だけでなく、国内勢も買いに動いた」(国内証券の株式担当トレーダー)という。

一部の市場関係者は、金融政策の「先物取引」と表現。伝統的にギリギリまで「本音」を明かさない中銀スタイルから飛躍した対応で市場を驚かせた格好だ。

「ドラギマジック」を受けて市場が注目するのは、日米の中銀がこれでどう動くかだ。

米国は、これまでドル高に苦しんできたが、ドラギ発言でユーロ安・ドル高が進行。ドルは対ユーロで約2カ月ぶりの高値を付けた。佳境を迎えている第3・四半期の米企業決算発表では、ドル高の悪影響がグローバル企業に出ていることが明らかになった。

マイクロソフト(MSFT.O)は減収、コカ・コーラ(KO.N)は売上高が市場予想に届かなかった。「利上げが先送りされる可能性は高まった」(三菱東京UFJ銀行・シニアマーケットエコノミスト、鈴木敏之氏)との受け止めも多い。

一方、見方が分かれているのは日銀の動きだ。今回すでに株高・円安が進行したことで「必要性は後退した」(マネックス証券シニア・ストラテジストの山本雅文氏)との声もあるが、新興国経済への懸念を示したECBとの「整合性」を取るため、追加緩和に動くとの予想も根強い。

ドラギ総裁が懸念を示したのは、原油安によるインフレ期待の低下だ。しかし、通貨安でデフレを防ごうとすれば、他国には通貨高となって跳ね返る。各国がみな緩和方向に動けば、通貨のペアである為替相場への影響は相殺される。円安の持続性には疑問もある。

<期待低い景気刺激効果>

円安が進まなければ、日本企業の業績期待も高まりにくい。23日の日経平均(.N225)は一時400円を超える上昇となったが、業種別では証券株や不動産株が上位に並んだ。輸送用機器や電気機器なども買われたが、上昇率は日経平均並み。足元の株高は過剰流動性(期待)を背景にした金融相場であることを示している。

「金融相場で株は上がるかもしれない。しかし、これまでの結果をみても、金融緩和で景気や物価が良くなるとは期待しにくい」と、JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏は冷めた見方を示す。

ECBは今年3月から現在の量的緩和策(QE)を開始したが、9月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)改定値は前年比0.1%低下。エネルギー価格の下落が背景とはいえ、伸び率は3月以降で初のマイナスに陥った。

銀行貸出などは増えているが、ドラギ総裁自身が認めているように新興国経済の減速をカバーできるほどの力強さはない。

日本も2013年の黒田東彦氏の日銀総裁就任以降、「バズーカ砲」を2度放ってきたが、2年を経過しても物価は目標の2%に達しない。7─9月期は2四半期連続のマイナス成長がささやかれる。

コモディティ市場では、株や為替の喧騒を横目に金や原油は小動き。過剰流動性(期待)のプラス要因を、ドル高のマイナス要因が相殺している。「金融緩和で需要が回復すると期待した買いはみられない」(ばんせい投信投資顧問・商品運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏)という。

<株価と経済のかい離を警戒>

長期投資家も慎重。しんきんアセットマネジメント投信・運用部長の藤原直樹氏は、市場の高まる金融緩和期待に対し「はしごを外されるリスクもある」と警戒する。

実際、ECBが追加緩和に動くとしても、手段はそう残されていない。現在、月額600億ユーロの国債買い入れを続けているが、経済規模に比例した買い入れを行っており、ドイツ国債が約4分の1を占める。ドイツは記録的な財政黒字状態であり、国債発行を増加させる必要性は低く、4年債以下は購入上限であるマイナス0.2%を下回る。QEの期間を延ばせば延ばすほど買い入れは厳しくなる。

選択肢が限られているのは、日銀も同じ。15年の日銀買い入れ額は、償還分を含めると年間110兆円程度。15年度国債発行計画における発行額(短国除く)126.4兆円の9割弱を買い入れる計算になる。「もし、追加緩和をやれば最後の緩和になる。カードは最後まで取っておくのではないか」(外資系投信ストラテジスト)との見方もある。

「マジック」の余韻が残り、12月までは追加緩和期待で盛り上がりそうだ。しかし、株価と実体経済のかい離が広がれば、波乱相場の要因となる。市場に出回る緩和マネーが増えれば増えるほど、この夏経験した「揺れ」より大きくなるかもしれない。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)
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