心の風景 認知的体験

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魔の一瞬

2007-03-06 | わかりやすい表現
海保・宮本著「安全・安心の心理学」新曜社刊より

●魔の一瞬に会わないために
前述した魔の一瞬の2つの特徴は、魔の一瞬に自分が遭遇することは極めてまれと誰しもに思わせることになる。したがって、魔の一瞬への備えをあまりしないことになる。しかし、これまた誰しもが極めてまれであることを知っていながら宝籤の一等を当てたいとも思っている。(実際は、宝籤で1等に当たるよりも、宝籤を買いに行く時に交通事故に遭う確率のほうがはるかに高いのだが。)そして、一等を当てるために涙ぐましい努力をする人もいる。
それと同じように、魔の一瞬には会わないための努力をしてほしいのだが、一人一人でできることは残念ながらあまりない。あえて、と言われれば、次の3つくらいになるであろうか。
一つは、その時その場に居ないようにすることである。
これはかなり難しい。誰にも生活ある。その電車に乗って職場に行かなければならない。子供は、その道を通って学校から家に帰らなければならない。戦争など危機的な状況なら別だが、防護壁をめぐらして家の中に閉じこもっているわけにはいかないのである。
それでも、ハザード(危険)マップ作りなどを参考にすれば、その時その場の回避や危険感受力を高めることくらいはできる。
2つは、魔の一瞬に会わないためには、時折、魔の一瞬に遭遇するかもしれないと、想像をたくましくしてみることである。あるいは、マスコミ報道があるたびに、自分がその時その場にいたらどうなる、どうすると考えてみるように習慣づけるのである。それだけでも、安全意識は高まるし、危険対処のレパートリーが増える。
3つは、一人一人の努力には限界があるが、国や地域全体、あるいは今日、明日ではなく長期的、といったマクロな視点で原因の除去、因果連鎖の確率を低下させる対策をすることである。確率はマクロになるほど扱いやすいし、効果的な対策が打てるのである。安全、安心への不安が高まっている昨今、これについては、本当は好ましくはないのだが、状況は良い。




共感、向社会的行動 用語解説

2007-03-06 | 認知心理学

● 共感(empathy)
他者と感情や物の見方を共有すること。前者を感情的共感性、後者を認知的共感性という。
他者の深い理解には、共感が必須であるが、強い感情移入による感情的な共感だけだと、福祉ケアーの現場などでは、かえって状況を悪化させてしまうことがある。相手の視点を取り込んで(視点取得)、相手の見方から状況を把握する覚めた認知的共感性も大事である。
● 向社会的行動(prosocial behavior)
人のため、社会のために無私の心で行う行為。ボランティア活動を支える心性のひとつである。
愛他心に発するものであるが、たとえば周囲に助ける人がたくさんいるような(責任分散)状況のときは、自分がしなくともという抑制が働く。このように、状況によっても向社会的行動の発現は影響を受ける。

今日の献呈本 松井豊氏より

2007-03-06 | わかりやすい表現
松井豊 筑波大学教授
○「心理学論文の書き方」河出書房新社1600円
 はじめて心理の論文を書こうとする学生には、これ一冊持たせれば、指導時間が
大幅に節約できる。値段も手ごろ
○「社会と人間関係の心理学」岩波書店 2400円
入門書らしく、文字数を減らして、図表を多くして、よみやすくわかりやすくした本。やや値段が高い。

絶対評価インタビュー原稿

2007-03-06 | 教育
02/8/2 海保 NHK 特報首都圏 8月2日放映 シナリオ

●V1
藤井アナQ1  「5,4」の評定が多そうですね。
海保 これは、今回導入された絶対評価の性質から、予想されたことです。
パターン---前回御渡しした図。数学の4つの観点と、ある単元でのの評価規準を例に。「指導と評価」にあり---で説明させていただきます。
絶対評価は、指導の最低規準と位置づけられている学習指導要領をうけて
評価規準が決められています。
その規準は、4つか5つの評価の観点ごとに決められます。それぞれの観点ごとに、また、各単元ごとのまとまりごとに、ABCの3段階で達成度が評価されます。
これを合計することによって5段階の評定がなされるわけです。
Bが「最低基準をおおむね満足した」ですから、当然、7-8割くらいがAとBとになります、というよりならないと先生の指導がうまくいっていないということになりますから、結果的に、評定も「5,4」が増えることになります。
すべての教科でオール5の生徒も増えます。
もっとも、規準の設定の仕方や達成度の判定の仕方によっては、いつも「5、4」が増えるというわけでもないのですが。

藤井アナQ2;通信簿をもらった生徒はうれしそうでしたね。
海保 相対評価の「5,4」とは意味が違うことを知ってはいても、うれしいでしょうね。
これを励みにがんばってほしいですね。
ご承知のように、評価には、このように勉強に動機づける、勉強をやる気にさせる面があります。
とりわけ、絶対評価には、
「勉強の方向が見える」
「その方向に努力する」
「努力に見合った評価が出る」
という、3つの仕掛けが組み込まれていますので、
やる気を引き出すには、好ましい評価方法と言えます。

●V2
藤井アナQ3;授業も様変わりしているようですね。
海保 相対評価が結果だけに目を向けるのに対して、絶対評価は、日々の授業のプロセスに目を向けます。
たとえば、生徒の「関心意欲態度」を知るには、生徒の日常的な学習を観察したり、提出物などの充実度を日常的に見ないと評価できません。
日々の指導も、評価規準に沿った形で展開されます。
生徒も、先生が示す多様な目標を目指して勉強することになります。
指導と評価、学習と評価が一体になるのが、絶対評価の特徴です。
ただ、やや不安なこともあります。それは、評価の過剰です。絶対評価の導入によって、教室の中が朝から晩まで評価一色という雰囲気になってしまうことです。
本筋すじは、毎日の授業を質のよいものにすることです。

藤井アナQ4;「努力を要する」Cレベルの生徒に対する支援はどうなっていますか。
海保 今回の絶対評価は、基本的に全員がB「おおむね満足」段階まで達することを前提しています。そこまでいかないのは、教師の指導力不足とまで言う人もいるくらいです。
ですから、Cレベルの生徒への補充指導を充実させることがいわば義務とも言えます。さまざまな取り組みが試みられつつあります。
・先生が2人でチームを組んで教える
・飯田先生のように机間巡視を充実させる
・グループ学習の中で教え合う
・土曜スクールを活用する
実は、こうした試みのは、オール5の生徒により高い目標に挑戦してもらう機会として活用してもらえるわけです。

●V3
藤井アナ;中学生は、すぐに高校入試に直面することになりますが、絶対評価は、入試選抜に使って公平性や信頼性は保てるのでしょうか。

海保;ここが一番、頭の痛いところですね。へたな対応をすると、せっかく導入された絶対評価を形骸化させてしまうことになります。
全国で6割くらいしか、入試に絶対評価を使わないとのことですが、やや心配です。
ただ、これまでも、内申書重視ということで、日常的な学習活動を入試選抜に使ってきたわけです。その視点を活かすなら、今回の絶対評価は、日常的な学習活動にもっとがっしりと目を向けた評価なわけですから、これを捨ててしまうわけにはいきません。
問題はどう活かすかです。決め手は実はありません。2つほど私見を述べさせていただきますと
○各高校で、それぞれの教育目標に応じて、独自の選抜方式を検討してほしいということです。
とりわけ、5段階の評定以外にも、観点別の3段階評価あたりに目を向けてほしいですね。
○もう一つは、学校間での評定に違いがあることは前提にしなければなりませんので、これまでのように、中学校から評定分布を提出してもらい、学校間での得点調整に使えるようにすればよいと思います。
○3つめは、学校を越えた統一的な試験や、全国レベルで絶対評価型の標準化された試験を年に1度か2度くらいは実施して、それも一部、入試データに使うこともあってよいか

藤井アナ 残された問題は、
海保
1)オール5の生徒をより高い目標へと誘導していくこと
2)通知票を、その内容、あり方を検討してみること。
コミュニケーションとしての評価という観点から
3)絶対評価の導入によって「甘さ」が導入された。中学生頃に必要な「厳しさ」とのバランスをいかに作り込むかも考えてみる必要がある。

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一番の問題は、皮肉なことに、絶対評価なのに、達成度にしても、評定にしても、絶対のものさしがないことです。
ものさしが違います。学校間でも先生間でも違います。
???
決め手はありませんが、
観点別評価の達成度をうまく使えないかと思っています
技能と知識理解は、入学試験の成績を使うとして、
関心意欲態度
考え方
については、
???
一つには、学校を越えた統一的な試験や、全国レベルで絶対評価型の標準化された試験を年に1度くらいは実施してみて、絶対評価を吟味してみる。
2つには、学校間で評価のものさしを公開しあいながら、調整をしていく。
3つは、今年と来年くらいは、相対評価のデータと絶対評価のデータとがありますので、両者の関係を吟味しながら、絶対評価のものしさを安定化させる。
こんな努力を2-3年続けると、絶対評価の評定も入試選抜の公平性を保証しうるものに収れんしていくのではないでしょうか。

今日の小ドジ 振り込み騒動

2007-03-06 | 心の体験的日記
昨年の原稿料が振り込まれていないのに、気がつき、催促。
7月末に振り込んだ、とのこと。通帳をみると、振り込んだ額も
それらしき人の名前も見つからない。
そのうち、先方からメール。
振り込み名は、サンギョウソです、という。
そう言えば、あった。ただし、相手の言う額とはちょっと違う。

やりとりは、個人名だったので、すっかり見落としたしまった。
しかも、サンギョウーーーに類似した名前のところに別の原稿も
書いたことがあったので、その関係の振り込みかと勘違いしていた。

なお、ついでに、もう一件、昨年から振り込みのないところにも催促。
こちらはなしのつぶて。

原稿料や印税が安くなるだけでなく、
びっくりするくらい
後にならないと振り込まれないケースが増えてきたように思う。
発売後、半年なんてのもある。