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◆閾下(いきか)効果/サブリミナル効果(subliminal effect)
人や物の動きを1秒間に24コマの写真にとりそれを映写すると、自然な動きが見える。これが映画の原理である。ところで、24コマの中に1コマだけ、まったく無関係の写真を挿入して映写したらどうなるであろうか。意識的には、そのコマは見えない。しかし、あたかも、そのコマが見えたかのような効果をもたらすことがある。このような効果を閾下効果という。閾とは、刺激が見える限界点のことである。
◆意識/無意識(consciousness/unconsciousness)〔1991年版 心理学〕
意識/無意識には、知的なそれと情意的なそれとがある。知的な意識/無意識とは、大雑把にいうなら、メタ認知できる活動領域とできない活動領域である。思考、判断などの高次の情報処理系が関与する場合は、おおむね意識化が可能であるが、感覚・知覚などの過程はほとんど無意識的、かつ自動的に進行する。
情意的な意識/無意識は、S・フロイトによる概念化が最初である。無意識の世界を意識によって抑圧されたものとしてとらえ、その世界をモデル化する様々な概念装置を提案した。その後、C・ユングは、人類に広く共通する集合的無意識を、フロイトの個人的無意識から分離し、そこにある元型(アーキタイプ)を神話、伝説、昔話の中に求めた。トランスパーソナル心理学者のK・ウイルバーは、集合的無意識を、さらにユングの無意識に相当する前個的(過去の)無意識と、至高体験を生み出す越個的(未来の)無意識とに分離した。
◆意味記憶/エピソード記憶(semantic memory / episodic memory)
長期記憶に貯蔵されている知識とその運用は、実に種々雑多である。それを分類するひとつの視点に、意味記憶とエピソード記憶がある。意味記憶とは、言葉や世界についての一般的な知識の記憶、エピソード記憶とは、「いつどこで何をした」といった個人的な記憶である。一般には、エピソード情報のほうが早く忘れられやすい。しかし両者は完全に分離・独立しているわけではない。例えば、「あのとき勉強したあの本のあのあたりに書いてあったこと」といった思い出し方をすることがしばしばある。エピソード情報を手掛かりにして意味情報を検索しているのである
◆インターフェースの心理学(psychology of interface)〔1993年版 心理学〕
人間と機械のかかわり(インターフェース)が、コンピュータの出現によって大きく変わってきた。機械の前に座ってさて機械に何をさせようかというような機械は、かつては存在しなかった。コンピュータが、人間の頭脳のごとく、多彩な知的機能を遂行できるようになって初めて起こったことである。かくして、人間がこうした知的機械とどのようにかかわるのかを研究することが、極めて大事になってきた。
とりわけ、コンピュータを内蔵した多機能機械が爆発的に普及してきた昨今では、その重要性は焦眉の急である。ここ五年間、産官学の共同プロジェクトが組まれて、情報科学者、デザイナー、認知科学者による学際的な研究が活発に行われている。FRIEND21(通商産業省、パーソナル情報環境協会)というプロジェクトは、その代表的なものである。
人間工学(ergonomics)の主要な研究テーマであった、操作ミスや疲労にかかわる機械の使い勝手(usability)の問題に加えて、あたかも人と対話するかのごとくコンピュータとかかわれるようにするにはどうしたらよいか(user‐friendly)をも考えなければならない挑戦にさらされている。
類似用語として、ユーザー・インターフェース、認知的インターフェース、ヒューマン(マン)・コンピュータ・インターラクションなどがある。