1980年代になると、カーネマンとツバルスキー(Kahneman & Tversky1982)による社会的判断における固有のバイアス(ヒューリスティックス)の研究成果が公表されるようになると、この流れは勢いを増し、認知心理学の新たなパラダイムとして、状況的認知論を形成するまでになった。レイブとウエンガー( Lave &Wenger,1991)の認知エキスパートに関する仕事は、その集大成とも言えるものである。
一方、1980年代中頃、もう一つの注目すべき動きが出てきた。それは、ラメルハートとマクレランド(Rumelhart and McClelland、1986)にはじまる並列分散処理(Parallel Distributed Proccessing)モデルである。さまざまな認知機能を脳の神経結合モデルとしてコンピュータ上で実現する、まったく新たな試みが爆発的に研究がおこなわれた