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眠気運転

2008-04-04 | 心の体験的日記
今朝の運転時
眠かった
止めて一眠りしようかと思ったくらい
夕べのんだ花粉症の薬かなー
でも、こんな時は、どこかに止めて一眠りすべきだなー
でも、大学についたら、目ぱっちり

春眠暁を覚えずーーーこれ一括返還。すごい!!---
突然、思い浮かんだ

写真 理香ちゃんです
桜氏提供

東京成徳大学応用心理学部福祉心理学科

2008-04-04 | Weblog
●2年生向けあいさつ
もう2年生ですね
日本の大学は、実は、充実した大学生活がおくれるのは、2年生の1年間だけです。
1年生は大学生活に慣れるのに無我夢中
3年も後期から、早くも就職活動

というわけで、2年生の1年間。一番、やりたいことができる時期です。
この時期を無駄にしないように。
基本は、頭を酷使することです。
それが後々の頭の余力を作ります
もっと勉強しておけばよかったと後悔しない1年にしてください

そんな諸君へ1冊の推薦図書
山本譲司「獄窓記」新潮文庫
圧巻は、「刑務所に入るために犯罪を犯す障害者」の刑務所での現実
そして、その受刑者に
「俺さ、これまでの人生の中で、刑務所が一番暮らしやすかったと
思っているんだーーー恵まれない人生を送ってきた人間に
とっちゃー天国そのものだよ」と言わしめる現実

写真 桜氏提供

人とコンピュータが織り成す創発社会の実現に向けて

2008-04-04 | わかりやすい表現
5/22/98 海保 学術会議 シンポ


   ヒューマンインタフェースの未来

---人とコンピュータが織り成す創発社会の実現に向けて---


パネル・スピーチ 海保分


●スピーチにあたっての海保のインタフェース研究歴と基本的立場

 15年間、「取扱説明書のわかりやすさ」を、認知心理学の枠組の中で考えてきました.

「ユーザは、マニュアルをこんなふうに読むのだから、こんなふうにマニュアルを作ってほしい」という形で、テクニカル・ライター向けに、マニュアルの設計ガイドラインを認知心理学的の知見に基づいて提案してきました.

 取扱説明書も、まぎれもなく、ヒューマン・インタフェースの一つ.しかし、それ単独では存在意義のないしろもの.機械・システムがあって、かつ、画面やキーボードインタフェースがあってのマニュアル.となると、他のインタフェースにも、当然、関心がいくことになる.というわけで、画面インタフェースについても、マイナーな関心ではありますが、同じようなスタンスで仕事をしてきました.


●さて、こんな過去と立場から、本日は、ヒューマン・インタフェースの「未来」についてパネル提言をさせていただきます。


●まず、現在の話を一つ。

 ここ2か月くらいで立て続けに、NHKの番組で、電子機器のインタフェースがらみの番組が放映されました。一つは、私が関係した「機械音痴の話」もう一つは、「マニュアル活用法の話」です。

 両者とも、独立に作られましたが、共通点があります。

 ユーザ啓発にかかわる話である点です。つまり、これまでよくあった、機械・インタフェース批判ではなく、電子機器とそのインタフェースの特徴を踏まえて、それをユーザが賢く利用するにはどうするかという話です。

 こういうスタンスでの話はやや危険なところもあります。つまり、インタフェースの改善努力への圧力を弱めてしまう恐れがあるからです。

 しかし、ユーザの操作リテラシーの向上は、メーカーにとっては、ありがたいことです。インタフェースの不備をユーザ側で克服してもらえるからです。


 2週間前にも、クリントン大統領が、コンピュータ教育重視の演説をしておりました。また、日本でも、中学校の技術・家庭科に、「情報基礎」の単元がもうけられて、ほぼ10年になります。

確実にコンピュータの操作リテラシーの底が上がってきています。こうした若いユーザ層がユーザの中心を占める事になる10年後には、今日私がお話しさせていただくような、ユーザ・インタフェース問題は、消失するかもしれません。

 

●次に過去の話。

 こんどは、「未来は過去にあり」ということで、

23年前の「過去(1975)」に立ちかえります。


●1975年に、日本のコンピュータ・開発の草分け的存在である高橋秀俊先生が、「コンピュータを人間の忠実な奴隷にするために」----逆ではありません.念のため---、これからのコンピュータ開発者は、人間について8つの特性に配慮すべきであると述べております.

 それを心理学の枠組の中に整理してみると、OHPのようになります.


****  OPH****


・動機づけに関するもの  怠けもの

・感情系に関するもの 気まぐれ

・注意系に関するもの 不注意 根気がない 

           単調を嫌う

・知性系に関するもの 論理的思考力が弱い

・動作系に関するもの のろま  何をするかわか           らない

   

           高橋秀俊 1975 「数理と現象」 

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●一見すると、ユーザを小馬鹿にしたような提言かもしれませんが、たかが「道具である」コンピュータを使うときだけなら、こんなユーザを想定するのも有効です.

 さて、こんなユーザにもつかってもらえるコンピュータにするためには、インタフェース設計上、どんなことに配慮すればよいかを、考えてみたいと思います.

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1)「怠けもの」ユーザに使ってもらえるインタフェ  ース

エネルギー変換マシーンは、肉体的怠惰を可能にしました。

認知的人口物コンピュータは、知的怠惰を可能にしてくれます。しかしその分、インタフェースに知的努力を要求されて、とまどっています。

 これに関しては、


 カスタマイズと個人適応型(エージェント型)について一言。


いずれも、怠けられる仕掛けとしてありがたいことではあります。

 また、道具は自分で使いやすいようにすることが肝心ですから、その点でもありがたいと思います。

 しかし、これほど、コンピュータを使った何もかもやるような作業環境になると、作業モードによって、カスタマイズやエージェントが邪魔になるとい事態が起こり得ます。

 かりに文書作りでも、論文を書くときと、手紙を書くときとでは、かなり違ったカスタマイズやエージェントが必要です。

 おせっかいもほどほどほどに、ということでしょうか。






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2)気まぐれなユーザに使ってもらえるインタフェース


「いつでもどこでも」(ユビキュイタス性、携帯性)について一言。


 かつて、文庫本イメージ(11x15x1.5 重さ150グラム)のコンピュータあたりかな、と考えていたことがあるが、今や腕時計の時代に突入。


 こうなると、入出力モードとして音声を使わざるをえなくなります。コンピュータの携帯電話化です。


 しかし、知的作業に音声はあまり有効なメディアではありません。今こうして話をしていることを原稿に落としてもちんぷんかんぷんです。特に私のはなしはそのようです。

話したことがそのまま原稿になる方もいるそうですが、普通は、知的作業には、視覚的な支援が必要です。携帯電話に視覚的コミュニケーション支援の仕掛けをどう組み込むかが問題になってくるように思います。





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3)「不注意 根気がない 単調を嫌う」ユーザにも使ってもらえるインタフェース


 巨大システムにおける人為ミスによる事故との関係で一言。

 人為ミスを恐れて、システムを自動化して人の介入をできるだけ排除するという設計思想があるのは、ご承知の通りです。

 しかし、それも自動化が行きすぎると、かえって、人為ミスを誘発するインタフェース環境を作りだしてしまうといことがあるこもよく知られています。いわば、自動化のパラドックスが起こってしまう。

 いろいろの話が、これに関連してはありますが、一つだけ申し上げれば、

自己効力感の喪失が一番の問題ではないかと思います。

人は、自分のしていることが何かプラスの結果をもたらしているという感触がないと、無力感を持ちます。

その無力感を払拭するために、人は、ミスをしてみせる、やらずもがなのことをして、巨大システムに挑戦する、といようなことがあるような気がします。ちょうど、偉い親に対する子供の反抗のようなものです。

しかし、子供の自立にとって親への反抗は必須です。人にも、巨大システムへの反抗を許容するような仕掛けをあえて導入する必要があるのではないでしょうか。

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4)「論理的思考力が弱い」ユーザにも使ってもらえるインタフェース

 

 人は、お金の節約もしますが、頭の資源の節約もします。論理を展開するような面倒はできるだけ避けようとするようです。

 ましてや、インタフェースの部分に論理展開の資源を無駄に費やしたくないというのが本根です。論理は、仕事そのものに使いたいわけです。

 したがって、

○論理を使わなくともすむインタフェースが求められます。


  モデル世界メタファの活用

  マルチ・モーダル・インタフェースの開発    情報圧縮とその視覚的表示


がかなり成功しているわけですが、これを一層、高度化していただきたいということになります。

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5)「のろまで何をするかわからない」ユーザにも使ってもらえるインタフェース


○のろまとはいっても、人にはそれなりの心理的時間サイクルがあります。コンピュータの速度が向上すればするほど、人の時間サイクルへの配慮が求められます。「あっという間にできてしまう」ということの評価が必要だと思います。

○何をするかわからないことへの対処は、先程の、プラントでの人為ミスがらみの話の文脈で一言。それは、思い込みエラー対策です。

何をしているかをわからせれば、何をしてはいけないかが自然にわかる。巨大化、複雑化したシステムは、何が何やらわからない状態を引き起こします。そんな事態では、思い込みエラーが事故を引き起こします。

それを防ぐためには、

○システム内部の処理の可視化、ことばを変えて言うなら、

ブラックボックスからグラスボックスへということを考える必要があります。

・全体を見せる

・操作の意味がわかるようにする

・関係情報を提示する

といったことが必要です。

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●最後に


 私も一部関係しました答申ですが、

「ヒューマン・インタフェースの高度化に関する総合的な研究開発の推進策について」という答申(科学技術庁)があります。そこでは、未来のインタフェース開発として、OHPに示すような5つが提言されています。コメントはいたしませんが、パネル討論の素材にでもなればと思い持ってきました。

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*******OHP

1)情報の構造化・適切な表現

   連想や文脈に依存した情報の蓄積と検索

2)発想を促す機能

   マルチメディア化による発想の触発

3)曖昧な情報、感覚的情報の処理

   感性のメディア上への表現と、感性データの   蓄積

4)リアルな表現や仮想世界の表現

   マルチモーダルな入力技術と、臨場感ある表   現技術

5)操作性や表現の快適性

   メタファ利用技術と、美的デザイン手法の実   現

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この5つの提言。いずれも、すでに、かなりのレベルにまで到達していると思われます。こうした方向へのインタフェースの進化を切に希望することはもちろんですが、一方では、「たかが道具、したがって道具の使い方に貴重な頭の資源を使わせないためのほんのちょっとの配慮」も、未来にわたって必要ということを申し上げて、私のパネル・スピーチを終わらせていただきます。


夜桜
桜氏提供