自己表現
---豊潤な自己を作りそれを効果的に表現する
ポイント*************************************
1)仕事は自己表現なり
2)自己を強くし豊かにする
3)自己表現だからこそ、表現の場の分析をきちんとする
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●仕事は自己表現なり
****氏・ホンダ(株)社長がインタビューに答えていわく。
「技術者は会社を自己表現の場と考えてほしい。そのためには、5つくらいの夢を絶えずもっていてほしい。」
日本人の自己表現の弱さ、まずさは、よく知られているが、会社のトップがこうしたセリフを吐くようになったのは、日本の会社も変わりつつあるのかなとの思いもある一方では、徹底して自己を殺しひたすら組織のために献身する人々もまだまだ日本社会のあちこちに多い。
●自己を豊潤にする
図に示すように、自己には3種類がある。自己表現というときの自己は、主体的自己(I)のことである。この強さと質(内容)とが問題となる。
主体的自己の強さとは、俗に言う、「押しの強さ」という側面と、客体としての自己を冷静かつ客観的に見つめられる(フォーカスイング;focusing)側面とがある。
両者は乖離していることがある。たとえば、タイプA性格の人。自信満々で仕事に熱中し
時間に追われるごとく仕事をしてしまうような人は、自分の内面を見つけるというようなことはない。
しかし、真の主体的自己の強さとは、みずからの性格をきちんとつかみ、自分の能力の弱点を冷静に知る度胸もなくてはらない。クイズで、そのあたりを知って欲しい。
もう一つ、自己表現というからには、表現するに値する「自己の内容」がなければならない。ただ、大声で叫ぶ度胸だけしかないのでは、表現になりえない。
やや曖昧な言い方になるが、「自己の内容」を作り出すのは、教養と信念、換言するなら、知識と自分なりの考えだと思う。
● ****60行
図解「3つの自己がある」*******************
図は別添
「解説」
自分は一体何者なのかを知ろうとする自己を主体的自己(I)、知られる自己を客体的自己(me)、さらに、周囲からそうであるとみなされている自己を社会的自己(social ego)という。
3つの自己が完璧に一致していることはまれであるが、ほどほどの一貫性はあるのが普通の状態。3つの自己に極端なずれがあるときが、不適応な状態。
クイズ「自分を知るのを恐れない」***********
次の質問に「はい」か「いいえ」で答えよ。
1)自分の過去、現在、未来をよく考える
2)自分の感情に動きが気になる
3)自分の長所と短所をチェックするほうである
4)1日を振り返って反省する
5)距離をもって自分自身を見つけることがある
「解説」
自己意識尺度と呼ばれているものから主なものを抜き出してみたものである。「me」意識とは、具体的には、こうしたことができるかどうかである。
真実の自己を知るのは意外に怖い。そこでタイプAのごとく、忙しさに紛らわし自己認識を回避する心性が働く。それは、しかし、自己の弱さの表れでもあり、それが続くと、脆弱な自己の持ち主になってしまう。
(参考;押見輝男「自分を見つめる自分」サイエンス社)
図解「表現の場の分析をする」*************
表は別添
「解説」
表現の場の分析は、表に挙げるものにとどまらない。目的によってもさらに分析の観点は増える。大事なことは、繰り返しになるが、自己表現だからこそ、場分析が大事、という認識である。