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五穀豊穣

2013-08-15 | 心の体験的日記
国道294は、
左に筑波山をみなが一本道
両側は、たんぼ
稲がたわわに実り
豊穣そのもの
経験したことのない豪雨にも無縁
あと1月もすれば、黄金色一色になる
田畑は、生産のためにのみあるにあらず
景観も作り出している
暑いが、実にすばらしい光景



少年H

2013-08-15 | 心の体験的日記
ひさしぶりに映画をみた
自分が生まれたころ、終戦前後の日本
記憶には何もないが、多くの場面は共感できる

月並みな感想だが、
戦争はなにがなんでもだめ

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少年H 下
少年H 下
この戦争はなんなんや?―忘れられかけている太平洋戦争とその時代を、純粋な「少年H」の眼を通して現代に記した、著者初の自伝的長編小説。戦争のまっただ中を逞しく生きる悪童とその家族が感動を巻き起こす大ベストセラー作品。戦争を知らない少年少女はもちろん大人たちもぜひ読み継いでほしい名作。毎日出版文化賞特別賞受賞作。


「人にやさしいドキュメント作りーーマニュアルを素材にして」(保存用)

2013-08-15 | わかりやすい表現
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04/10/27海保 
30文字/1行   12000字  400行
「システム/制御/情報」46巻、8号(システム制御学会誌)  
注意<図と例とがある>

「人にやさしいドキュメント作りーーマニュアルを素材にして」


概要
 関連知識が乏しい読み手やユーザにとってやさしいドキュメント(文書)作りを、マニュアル(取扱説明書)をもっぱら素材にして考えてみる。まず、人にやさしい文書とはどういうものかを考えてみる。そして、それを実現するためには、説明内容の正確さと充足性の制約のもとで、操作支援、参照支援、理解支援、動機づけ支援、さらには学習・記憶支援の趣向を作り込むことが必要であることを述べ、それぞれの趣向を実現するための指針を提案してみる。

はじめにーー人にやさしい文書とは

 人にやさしい文書とはどんなものかを考えるには、少なくとも、次の3点を念頭におく必要がある。
 一つは、読み手意識である。どんな読み手がどんな状況でその文書を読むかについて、はっきりと意識して文書が作られていることが、人にやさしい文書ということになる。
 2つは、読み手に過度の認知的な負担をかけない配慮である。文書の内容を理解するには、関連知識や注意などの認知資源が必要である。できるだけ少ない認知資源の投入で読めてわかるような工夫をすることが、人にやさしい文書ということになる。
 これを実現するためには、一つには、想定される読み手に文書を読んでもらう、もっと大掛かりには、ユーザビリティテストをおこなうのが最も有効な方策である。国際標準化機構による インタフェースにかかわる標準規格ISO13407の義務づけが2002年頃から日本でもはじまって以来、マニュアルのユーザビリティテストも避けて通れなくなってきている。
 さらに、書き手(作り手)を誰にするかも極めて大事となる。
 説明する内容を知悉している人が書き手として、必ずしもふさわしいわけではない。彼等にそもそも文書作成の能力がないということもあるが、さらに、図に示すように、ユーザの知識や状況に配慮した説明をするのが不得意ということもある。マニュアル制作で言えば、最近では、技術の設計者とユーザとの間を介在する形でテクニカル・ライターが、書き手なることが多い。

図1 技術とライターと読み手とユーザと 
 
 さて、本稿では、以下、マニュアル作りを想定した、人にやさしい文書作りのための指針を提案してみる。マニュアルには、関連知識の乏しい読み手に専門的な知識や複雑な操作をわかりやすく指示するための文書作りの一般的な技法が豊富に作り込まれているからである。

第1 マニュアルの5つのユーザ支援機能

 マニュアルの使命は、情報を過不足なく正確に文書にしてユーザに提供することである。しかし、この使命のみに拘泥してしまうと、ユーザにやさしくないマニュアルができてしまう。
 なぜなら、過不足なく正確に情報を提供しようとすると、あれもこれも説明しなくては、ということになり、情報過剰になってしまうからである。技術を知悉している人が書くとえてして、こういうことになりがちである。これを「正確さ中毒者」の書くマニュアルと呼んでみたことがある。
 提供される情報が増えれば、正確さも充足性も増すことは確かである。しかし、関連知識の乏しい読み手にとっては、処理できないままの情報が増えるだけで、結局、必要な情報が得られないことにもなる。コンピュータ(日本語ワープロ)が一般に普及しはじめた30年前頃には、こうしたマニュアルが市場に氾濫したため、ユーザからの苦情が殺到した。この「マニュアル問題」の克服に、メーカーが苦闘したことがあった。
 さらに、1995年に製造物責任法が施行されたのを受けて、マニュアルに書かれていないことによる事故の発生の責任を取らされるのを恐れたメーカーは、想定される危険情報を事細かにマニュアルに記載するようになった。これも、マニュアルでの過剰な情報提供をもたらすことになった。
 こうしたことを克服するには、前述したように、書き手としてテクニカル・ライターを使うことが一つであるが、さらに、図に示すように、マニュアルの持っている多彩なユーザ支援機能にも配慮した提供情報の精選が不可欠である。
 
図2 マニュアルの5つの支援機能 別添 ppt

 そこで、以下、5つのユーザ支援機能をマニュアルに作り込むための方策を指針の形で提案してみる。


第2 操作支援

 マニュアルでは、操作支援と参照支援とが中核になる。とりわけ、文書で操作(組み立て操作も含む)を説明するのは、非常に難しい。
 操作は時間的制約のあるアナログ世界、文書は絵を使ったとしても基本的にデジタル世界である。両者をいかにつなぐかが、操作支援の説明の中核になる。
 操作を教えるのに一番効果的なのは、ユーザの目の前で実演してみせることである。それができないときは、VTRマニュアルを作ることになる。しかし、制作コストの高さ、制作技術の難しさなどの現実的な制約があって、いつも可能というわけではない。不特定多数を想定した文書による操作説明をせざるをえない。
●指針1「ビジュアル表現を使う」
 たとえば、「用紙送りキーを押してください」と文章で指示したとする。しかし、キーボードのどこにそのキーがあるか、どのように押すのかが、この文章だけではわからない。しかし、これを、例1のように、テクニカル・イラストを使った表現にすれば、たちどころに、キーの場所、押し方がわかる。
 なお、ビジュアル表現は操作説明には、なくてはならないが、それだけでは必ずしも十分とは言えない。ビジュアル表現には、読み手による解釈の自由度があるため、伝えようとする情報だけを伝えることができないことがあるからである。図の説明(キャプション)を言葉で入れるように、マニュアルでも言葉による説明も併用することになる。
●指針2「矢印、手の動き、連続絵を活用する」
 操作を説明するビジュアル表現では、連続的な操作を、時には1枚のイラスト、あるいは数個のイラストで説明することになる。その時に有効なのが、例1に示すような、矢印、手の動き、連続絵を使った表現である。
 矢印は、マニュアルでは、主に、動きを示す以外にも、指し示したり、状態の変化を示すのに使われる。簡単にそれらの意味を表示できるので多用されるため、逆に過った意味に解釈されることがないように注意する必要がある。
 手の動きは、描くのが難しいが、適切に描けば、どこをどのように動かせばよいかについて豊富な情報を提供する。まさに「手は口程にものを言う」である。
 連続絵には、一枚の絵の中に要所となる一連の動きを重ねるものと、例1のように数枚の絵を並べるものとがある。後者のほうがマニュアルでは一般的である。この場合、操作と結果の連鎖(指針6)を示すことが原則である。
 
例1 連続的な操作を説明するための趣向 別添

 第3 参照支援

 マニュアルは、チュ-トリアル(導入用)以外は、最初から最後まで通して読まれることは想定していない。必要なときに必要な情報が得るために使われる。これを支援するのが、参照支援である。
 参照支援のための趣向については、マニュアルに限らず、文書一般でさまざまな工夫がなされているので、それらをそのまま使うことになる。たとえば、目次、索引、フッター/ヘッダー、扉、爪である。
 しかし、初心者用のマニュアルで参照を支援するには、さらに次のような指針に従う必要がある。
●指針3「目次で使う用語は、ユーザの意図、知識に配慮したものにする」
 ユーザの不満調査をすると、「目次から情報を探せない」がトップになる。その最も大きな理由としては、目次が馴染みのない用語で表示されているため、ユーザのしたいと思っている意図と照合しにくいことが挙げられる。「書き出し位置をそろえたい」という意図と、「タブ設定」とが対応していることがわからないのである。
例2は、目次の表示を、日常言葉とダブルにすることで、この点の解決をはかろうとしたものである。

例2 日常用語と専門用語とをダブルで表示した目次 別添

●指針4「マニュアルの構成をユーザのタスク志向にする」
 マニュアルの構成は、ともすると、機械/システムの説明になりがちである。しかし、ユーザは、それを道具として使ってタスク(仕事)をしたいのである。マニュアルはユーザが仕事をするのを助けるように構成されていなければならない。そうでないと、一つの仕事をするために、あちこちを参照し回らなければならない。そこで、ユーザのタスク(仕事)を志向した内容構成をすることになる。
 たとえば、小さいところでは、「F1キーを押すと電源がつく」ではなく、「電源を入れたい時には、F1キーを押す」とするのが、タスク志向の表現である。マニュアル全体の構成で言うなら、目次が「電源、各種の機能、出力仕様」のような表現で作られているのは機械/システム志向、「文字を表示させる」「印刷する」などの表現で作られているのがタスク志向ということになる。
 

第4 理解支援

 初心者(関連知識の乏しい人)が高度な技術を日常的に使うような環境が急速に出現してくると、マニュアルにも理解支援、つまり、わかることを助ける機能を組み込む必要が出てくる。
 十分な時間があれば、教育を通してじっくりと初心者のほうに情報を移転していくことができるが、技術の普及が急速だと取りあえずマニュアルに記載する情報の説明の仕方を工夫して、なんとか理解してもらえるようにすることになる。それが理解支援である。

図3 技術情報の移転の図式 ppt 別添

 ところで、わかりにくさは、提供された情報を処理するユーザの認知資源の不足からくる。そこで、新情報だけを提供するのではなく、ユーザの既有の知識と結びつきやすい解説情報も一緒に提供したり、大事なところに注意を引き付けて処理効率を高めてもらうような工夫が必要となる。
●指針5「メリハリのある表示にする」
  新しい技術は新しい知識を生み出す。それがマニュアルの形でユーザに提供される。ユーザは、その情報のすべてを取り込もうとするが、あまりの情報の多さで処理できなくなってしまう。かくして、マニュアルについてのユーザの不満調査をしてみると、「大切なところとそうでないところの区別がつかない」という不満が多く出てくることになる。
 こうした状態にユーザを追い込まないためには、大事な情報とそうでない情報を見てわかるように、メリハリをつけて表示することで、処理情報の焦点化を支援してやるとよい。
 メリハリ表示とは、情報内容の似たものはまとめること(区別化)、大事な情報は目立つようにすること(階層化)である。
 区別化は、空白や囲みなどを使うことで処理効率を高めてもらうことをねらう。階層化は、数字、文字種、書き出し(インデント)などを変えることによって注意配分の最適化を支援する。


例3 メリハリのある表示  別添

●指針5「解説情報を入れる」
 新情報をわかってもらうには、解説情報を提供し、その解説の仕方を工夫することで理解を支援することになる。
(1)日常用語への言い換え
 専門用語が理解の妨げになる。そこで、日常的な言葉によって解説をする。ここでよくみられる失敗は、用語の定義をしてしまうことである。
 例「レジューム機能とは、電源を切る前の画面が、電源を再度入れたときに表示される機能です」
(2)たとえの使用
 たとえは、読み手がよく知っている世界に新しい世界(技術)を丸ごと結びつけて理解させようとするものである。「嘘」の部分も入り込むが、わかりやすさを作り込むには非常に効果的である。
 例「レジューム機能とは、本をどこまで読んだかを知るためにしおりをはさんでおくのと同じような機能です」
(3)具体例の使用
 具体例は、それが読み手に親しみのあるものなら、豊富な既有知識を活用してもらえる。
 例「レジューム機能は、辞書の使用を一時中断せざるをえないときに使用します」
(4)図解
 図解にはいろいろの理解支援効果があるが、解説するときの図解で留意したいのは、部分と部分との間、部分と全体との間の関係を一目でわかるようにすることである。

●指針6「操作とその結果を示す」
 コンピュータの操作の特徴の一つは、一つの操作とそれに対するコンピュータからの反応(結果)、またそれに対する操作ーーーの繰り返しである。この一連の操作ー結果の流れを示すことが、自分の操作の正しさを確認させることになるし、操作がわかったという感触を与えることになる。
 
例4 操作説明のモジュール 別添 

●指針7「目標、全体を先に表示する」
 例4の冒頭には、一連の操作の最終目標が示されている。これをめざして一連の操作をしていくことになる。このように、先に目標やするべきことの全体が見えていると、自分が今していることの位置づけもできるし、やっていることの意味もはっきりとわかる。

●指針8「読み方をガイドする」
 慣れ親しんだ文書では、それをどのように読めば、必要な情報が得られるかはだいたいわかっている。大事そうなところとそうでないところとを読み手のほうで選択することができる。しかし、初心者にとって、これができない。すべての記載情報がすべて同じ大切さにみえてしまう。そして、すべての情報を処理しようとして失敗してしまう。
 そこで、読み方をガイドするようなメタ情報を与えると、その負担から開放することができる。なお、ここでメタ情報と呼ぶのは、このように文書の内容とはかかわりのない情報だからである。

例5 読み方をガイドする情報 オアシスより 別添

第5 動機づけ支援

 購入したコンピュータは早く使ってみたい。しかし、マニュアルを読むのは面倒というユーザに、必要最小限の知識はマニュアルから得てほしいというのがメーカーやライター側の願いである。そこで、マニュアルを読んでもらう、さらには技術を使ってもらうための趣向が必要となる。
 いずれの指針も、あまり過度にやると、子ども向けの文書のようになるので、節度が必要である。
●指針9「親しみを演出する」
 「です/ます」調にしたり、漫画風のイラストを入れたりする。さらに、文字数を減らし、行間をあけ、余裕のある版面構成にして情報満載感を与えないレイアウトにしたりする。
●指針10「基本的な機能を早く使わせる」
 ごく基本的な機能だけを早く使えるように、マニュアルの最初のほうで、ビジュアル表現を多用して(あたかも紙面でVTR映像を見せるかのように)示す。
●指針11「出来上がりをはじめに見せる」
 「こんなことができます」という目標をマニュアルの最初のほうで絵で見せると、知的好奇心を刺激し、かつ実益がわかるので、動機づけが高まる。
●指針12「動機づけを高めるメタ情報を入れる」
 文書におけるメタ情報には、前述した理解支援のためのものと、動機づけを支援するためのものとの2種類がある。
「あと少しで終わるからがんばって」とか「ここは難しいが大事なのでしっかりと読んでください」などなど、読み手を励ます言葉である。ただし、この趣向に限らないが、動機づけ支援は、文書を読む動機づけが低いときに限って使うのがよい。動機づけの高い人にとっては、余計な配慮として嫌われるし、文書の品格を下げることにもなる。

図4 知識の過多と動機づけの高低による読み手のタイプ

第6 学習記憶支援

 チュートリアル(導入)用のマニュアルでは、大事な内容,たとえば、機械/システムの概要や基本操作は記憶してもらわなければならない。
 理解支援で述べた指針はそのまま、ここでの指針として使うことができる。なぜなら、わかれば記憶をできるからである。これに加えてさらに、次のような指針も有効である。
●指針13「問を入れて、理解の自己チェックができるようにする」
 わかっているかどうかを自己確認するのは意外に難しい。章末などで簡単な問を用意するとよい。さらに、知識を深めて(高度化して)もらう問も時には、使ってみるのもよい。

おわりにーー読み手のタイプと文書のタイプと読む状況のタイプ
 
 マニュアルには、一般のドキュメント作りに役立つ豊富な制作技術が作り込まれているということで、マニュアルを素材にして初心者ユーザにやさしいドキュメント作りの指針を提案してみた。
 とはいっても、ドキュメントには、その内容にしても、読み手にしても、またそれを読む状況にしても、多様なタイプがある。それぞれにふさわしい「人にやさしいドキュメント作り」があることも確かである。そこで、最後に、それぞれのタイプ分けの試案を提案して、本稿で提案した指針がもっとも有効なタイプ(「」で示す)はどれかを指摘しみる。
● ドキュメントのタイプ 
  「説明型」vs説得型
●読み手のタイプ(図4参照)
  「機械不信型」VS「流行追随型」vsマニア型VSへんくつ型
● 状況のタイプ 
「時間切迫型」vs時間自由型
「課題解決型」vs知識獲得型
 など

 いうまでもなく、それぞれのタイプにふさわしい、より効果的なドキュメント作りの指針が開発されることが望ましい。その基盤的な指針を本稿では、提案してみたつもりである。

参考文献
海保博之ら 1987 「ユーザ読み手の心をつかむマニュアルの書き方」共立出版
海保博之 2002「くたばれ、マニュアル!」新曜社
富士通/HTC 1985 「オアシスライトのマニュアル」