『東京の坂、日本の坂』その219。一駅電車に乗り、東急多摩川線沼部駅で降りる。駅前は道が細い上に踏切を渡るとすぐに二叉路となっているため、渋滞している。
その間をすり抜けると駅前に立派な東光院というお寺がある。その先右側に曲がると長く、割に急な坂がある。
これが『おいと坂』、おいとを漢字にすると『雄井戸』となる。昔、坂の下に井戸があり、これが雄井戸。西側に雌井戸と共に人々に親しまれてきたので付いた名前とのこと。
坂を降りて元の道を右に上がって行くと、『さくら坂』という信号が現れる。この通りは旧中原街道、切り通しで昔は沼部の大坂と呼ばれていた。
福山雅治のヒット曲でいちやく有名になったのだが、両側に植えられたソメイヨシノが見事で坂の上にかかる桜橋からの眺めが素晴らしい。
(2015.4.5訪問時)
ただ、桜のシーズンは大変混雑していて週末にはゆったりと見るのは難しいほどである。葉桜の今の季節も眺めはなかなか良い。
駅まで戻り、さらに少し行くと多摩川の河原に出ることができる。左側には新幹線の架橋、右側には東急線や丸子橋など。野球場があるが、雨の平日は静かなものである。
川の方に歩くと説明板があり、『丸子の渡しの跡』とある。中世以来の渡場で江戸時代には中原街道が整備されたこともあり、大変な賑わいであった。1934年に丸子橋が開通すると役目を終え、1935年に廃止された。
そのまま川岸まで歩いたが、風もなく穏やかな日であったため、江戸時代は馬はそのまま渡り、人は荷物のみを船に乗せ、自らは歩いたというのが分かる気がした。
ちなみに丸子橋は長さが406mなので川幅はもう少し狭いのであろうか。再び沼部駅まで戻った。