『大森』と言えば海苔の産地というのはかなり昔のことである。大森ばかりが千葉の浦安などでも今は殆ど海苔作りは行われていない。しかし、その伝統を残そうとする博物館が平和島にあると聞き、足を運んでみた。
京浜急行平和島駅で降りて海側に歩く。美原通り商店街を右に曲がり、環七通りを左に曲がる。次の通りは旧東海道、路面がレンガ敷風になっている。
そのまま炎天下を歩くが、日を遮るものがなく、こういう時は日傘が欠かせない。反対側に渡ると海苔の工場、直売所も併設している。
その先には美原観音が祀られている。旧日本特殊鋼の用地にあったものが、移転してきたとある。
子育てにご利益があるらしく、観音様が祀られ、お花も供えられていた。
その先を右に曲がり、美原高校の前を歩く。暑いからか、かなり長い距離を歩いた気がする。ふと見ると草に停まっていたのがアサギマダラ、思わず見とれてしまう。
案内板に沿って左に曲がると平和の森公園が見えてくる。この敷地内に『大森海苔のふるさと館』がある。(入場無料)
中に入ると海苔作りには欠かせないベカ船が飾られていて、その横には海苔の乾燥場と作業している人形が飾られている。
2階には海苔作りのいろいろな道具が置かれて一年を通してどのように海苔を作っていたかがわかるようになっている。
夏の間の準備、冬の作業の様子、さらに海苔を乾かし、保存、出荷していく様子などがわかりやすく並べられている。これはきっと大田区の小学生が必ず見学するコースに組み込まれているのだろう。
コーナーを使って『漁のある風景』と題した昔の大森の写真展も行われていた。東京ガスの工場、戦災で焼け野が原となった風景、ベカ船が係留されている海老取川、平和島にあった海水浴場。
道端で海苔網を編む風景、海苔干場で遊ぶ子供など懐かしいというか、ノスタルジックな気分となる。
あまり見学する人がいない中でじっくりと一枚一枚写真を眺めるが、私が生まれた年の写真もあり、歳を取ったことを実感した。
(昭35小さかった羽田空港)
3階は展望室となっていて、目の前に海を見ることができる。ドンピカの昼だったこともあり、ふるさとの浜辺公園と周りの運河がよく見え、とても東京の海とは思えない美しい青でした。