SONPO美術館で開催中のロートレック展『時をつかむ線』に行く。
ロートレックは1846年にフランスの伯爵家に生まれたフランスを代表する画家の1人だが、14歳の時に右大腿骨、左大腿骨とつづけて骨折し、足の成長が止まるという大怪我をした。自ら不具になったことを知り、20代で絵画を習い、画家を志す。その始めの頃のデッサンなどからの展示となっている。
ロートレックの素描を200点以上保有するフィロスコレクションが並ぶ。物によっては紙の表裏に描かれているものもある。特に習った画家が動物の素描が得意だったこともあり、老人や婦人といったモデルに加えて、犬や馬を多く描いている。
次のコーナーではムーランルージュ、自由劇場、制作座といった彼が好んで通った劇場やキャバレーなどでの役者や踊り子の素顔、特にイベット・ギルベールとアリスティド・プリュアンの素描、台本、ポスターが並べられている。
ポスターのコーナーには有名な見たことのあるものが並んでいて写メを撮ることもできる。特にディバン・ジャポネはかつて行った展覧会で写しを買って部屋に掛けていたこともある。
最後のコーナーには自らが企画した食事会の招待状や母親宛の手紙、写真なども出品されていてロートレックの洒脱で粋な面を垣間見ることもできる。ただ、私に取って印象的だったのは最後に飾られていた『馬』と題した絵画。
馬にも乗れない彼がどのようにこの構図を考え、描いたのか、やはり天才のなせる技と感心した。楽しい展覧会なのだが、フランス語の素養が自らにあったのならばもっと楽しむことができたであろう。
ただ、多くの若いカップルが楽しげに鑑賞していたのはいい意味で予想外であった。もちろん、ゴッホのひまわりの絵も見ることができた。