『バスシリーズ』㉛、久しぶりに路線バスに乗ってみた。とはいえちゃんと始発から終点まで乗った訳ではなく、途中区間の新宿住友ビル〜西永福のみである。最近のネットニュースを見ていると路線バスの廃止の話題が多く、運転手不足は益々拍車がかかっているらしい。
『新宿住友ビル』バス停は京王バスが停車、系統は永福町(宿33)、佼成会聖堂前(宿32)、渋谷駅(宿51、050)、佼成病院(宿35)の5系統がある。私が乗る予定の永福町行きは出たばかりのため、しばらく待つことにした。まずは渋谷駅行、続いて佼成会聖堂前行がやってきた。
永福町行は1時間に6〜7本あるから10分も待てば来るはずなのだが、1628発のバスは4分ほど遅れで到着する。
乗車すると7割程度の乗車率である。路線バスは優先席比率が高いため、若い人は席が空いていても中々座れない。そのため出口近くに溜まってしまう傾向にある。
そのまままっすぐに方南通りを行くが、『十二社池の下』に停車。十二社と書いて『じゅうにそう』と読む。江戸時代は景勝地、今でいうリゾートで人工の池が2つあり、茶屋で楽しんだ。しかし、新宿副都心計画のもと、1968年に埋め立てられ、今はバス停に名を残すのみである。
『西新宿5丁目駅』では都営大江戸線に乗り換えられる。右手には大きなカニのハサミが見えるが、これはカニ道楽の看板。
『本町三丁目』『本町四丁目』は渋谷区、『弥生町三丁目』『南台一丁目』は中野区となる。『東大附属』は東大附属中高等学校がある。
『栄橋』の右手には東京メトロ丸の内線の車庫があり、『広町住宅』までが中野区。『峰』からは杉並区に入る。僅かな距離で新宿区→渋谷区→中野区→杉並区と4区も跨ぐ。
『方南町駅』で東京メトロ丸の内線に乗換られ、また、環状7号線とクロスする。この辺りまで来ると乗客の大半が降りてしまう。
『大宮八幡入口』のバス停では『大宮八幡に行かれる方は2つ先の大宮町で下車が便利です』とのアナウンス。『大宮町』を過ぎると右手に大きな赤い鳥居が現れる。
バスは西永福交差点を左折、井の頭通りを走り、『西永福』バス停に到着。約35分掛かる。
西永福バス停には小田急バスのものも残っているが、新宿西口〜武蔵境(宿44)は3月15日で休止(但し、日曜の朝に1本のみ)する知らせとその後は新宿西口〜吉祥寺中央口に短縮する旨のお知らせがあった。
都バス資料館のサイトによるとこの路線は古く昭和24年に開設された都営119系統(武蔵境南口〜永福町〜新宿西口〜東京駅南口、25.5km)で京王、小田急と共同運行をしていた。今でこそ週1便まで減ったが、当時は1日55本の運行。ただ、1970年に京王、都営が脱落、その後は新宿西口〜武蔵境と路線を短縮、小田急単独で運行していたものである
ただ、先ほどの『住友ビル』バス停にも停車する京王050は2022年に運行を開始した新しい路線だが、渋谷駅〜新宿駅〜新橋駅〜BT東京八重洲という長大路線を1日3往復となっている。一方で長い路線を廃止しつつ、長い路線をスタートさせるという矛盾があるようにも見えるが、そうではない。新路線は渋谷駅〜新宿駅まではコツコツと停まるが、その先は四谷1丁目→新橋駅→BT東京八重洲しか停車しない。(全区間乗車してもおとな210円、4月以降は220円)
こういった工夫を凝らしながらも新たな路線が増えていくことはバスマニアとしては嬉しい話である。