「ザ・ホエール」
劇作家サミュエル・D・ハンターが2012年に発表した同名タイトル舞台劇を実写映画化。
主演のブレンダン・フレイザーが本作で今年のアカデミー賞主演男優賞を受賞+本作はメイクアップ&ヘアスタイリング賞も受賞しています。
あらすじ
同性の恋人アランに先立たれてから過食状態になり、極度の肥満体となった40代の男チャーリー(ブレンダン・フレイザー)。看護師であるアランの妹のリズ(ホン・チャウ)に支えられながら、オンライン授業でエッセーを指導する講師として生計を立てていた。そんな中、心不全となり死期が近いことを悟った彼は、8年前にアランと暮らすために家庭を捨てて以来、疎遠になっていた娘エリー(セイディー・シンク)に会おうと決意する。彼女との関係を修復しようとするチャーリーだったが、エリーは学校生活や家庭にさまざまな問題を抱えていた。(Yahoo!Movieから丸パク)
上のあらすじは余りにも意味不明に省略されていたのでちょっと加筆した。まあどーでもいいわ。
主演を演じたブレンダン・フレイザーは272kg(約600ポンド)の巨漢役を特殊メイクで演じていて、まあだから主演男優賞+メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞している訳ですが、日本にはここまでイッちゃう人はまずいないと思うけど、アメリカって時々いるよね人間離れしたレベルに太る人さ。救急搬送しようと思ったけど玄関を通り抜けられないから家の壁壊して運んだとか、亡くなって荼毘に付したら身体の脂肪が溶け出て引火して火葬場が火事になっちゃったとかニュースで見た事あるじゃんね^^;
恋人のアランは元々プロテスタント系新興宗教の宣教師をしていたけどチャーリーと恋に落ちた事で信仰を捨てて2人で暮らし始めるものの、我欲と信仰の板挟み状態に精神が耐えられずに結局は拒食症のような形で自死してしまう、と話が進むと分かってくる。だからなのか?元々ぽっちゃり体型だったチャーリーはアランの死後やっぱり心が耐えられなくてアランとは真逆の過食に走って慢性的な心不全状態になって余命数日NOW!という状況で、ここに来てアランと恋仲になる為に捨てた我が娘に最期に会って和解したいという…ぶっちゃけ、「はぁ?ご都合主義もいい加減にしておけよこのクソデブがっ💢」て感じなんですが(ヲイ)、ご安心下さい当の娘のエリーも全く同じ反応でした!w
本作のタイトルと「主人公は270kg超のデブ」と聞いただけで勝手に「タイトルは主人公の体型を表しているのね」と思っていたんだけど…まあ、それも間違ってはいないんだけど、もう1つ意味があってというかコッチの方が多分メインなんだけど…映画冒頭でチャーリーが心不全を起こした時にハーマン・メルヴィル著の「白鯨」のエッセイ(感想文)を読んでいて(たまたま家に訪ねてきた宣教師のトーマスに読み上げて貰う)どうやらこの白鯨のエッセイがチャーリーにとっては重要な意味があるらしくチャーリーはこのエッセイをほとんど暗記して諳んじてるのですが、これについては最後の最後に理由が明らかになります。
という訳で、本作はハーマン・メルヴィルの「白鯨」を読んでいるか(内容を知っているか)がもしかしたら重要なキーになってるかもしれません。
自分は学生時代に白鯨読んだんですが…正直に言うとね、自分には全然刺さらなかったんだよなーこの小説。て言うかすんげー退屈だったんだよーどうしようー(滝汗)
とにかくね、「白鯨」ってすんげー長いのよ。長い小説って割と好きな方なんだけどこの小説の長さはまたちょっと異質でさ、本筋が熱く語られている長さだったら全然自分好きなんだけどこの作品はどーでもいいウンチクがとにかく長いのよ全然頭に入ってこないのよ読むのがもう苦痛で苦痛で…って事が一番印象に残ってるレベルなのヨッ!💦
あーすいません脱線しました。まあ「白鯨」の内容を知らなくても本作を観て意味不明になるという事はないです、が、知っていた方が「なるほど…」と思い当たる部分もあるのではないかな?と思った次第です。その一番大きな要素としては、まあ当然ですが白鯨の登場人物と本作の登場人物を重ねて見る事が出来るというか明らかに当て込んでるなーと感じるという事です。
チャーリーが「モーヴィ・ディック(大きな白鯨)」、娘のエリーがモーヴィ・ディックに片足を食いちぎられて白鯨への復讐に燃えている「エイハブ船長」、そしてエセ宣教師のトーマスが物語の語り手にして唯一の生き残りになる「イシュメール」に当て込める。内容もほぼ白鯨のそれに沿っているように感じます。恋人のアランとアランの妹でチャーリーの世話を焼くリズ、元妻(エリーの母親)が誰に当て込めるかちょっと分からないけど…敢えて言えばリズは「スター・バック」辺りが妥当かな?
8年振りにあった娘のエリーは元妻に言わせると「邪悪」な子供に育っていて、エリーご本人曰く「自分は頭がいい」らしいけど高校の学業は赤点まみれで落第寸前、学校に友達は1人もいない、クラスメイトをディスってネットで暴言を吐いた事がバレて学校を停学処分にされているという分かり易い「問題児」。彼女がひねくれだした原点が正に8年前に自分(と母親)はゲイの父親が男の恋人とよろしくする為に捨てられたのだ、という事に集約されている。
なんかね…チャーリーが不自然な程ポジティブ?と言うか娘にエゲツない暴言吐かれてるんだけどその返しが「君は最高だよ」「君は美しい」のオンパレードなんですよね。
それが何というか、エリーが父親を恨む裏返しで父親の愛を欲していた事へのアンサーだったのか?とも受け取れる。劇中でも言われてるけど「だったら何でもっと早くに娘に会いに行って抱きしめてやらなかったんだよ」と思いますけどね。まあ行きたい気持ちもあったけどその内太り過ぎて家から出られなくなった、って事か?(苦笑)
チャーリーは落第しそうな娘に代わってエッセイ(読書感想文)のリポートを書いてあげる(一緒に書こうとエリーを誘うもののけんもほろろに断られている)という約束をすると同時にオンライン授業の生徒達に「これが最後の授業だ」として「自分に正直になりなさい。正直に書きなさい。」と投げかけている。それで数人の生徒が今の自分の事だったり自分の気持ちをありのままチャーリーにメールして来ると、それを取り上げて大絶賛してあげている。
宣教師のトーマスは自分の気持ちに蓋をして金を持ち逃げして故郷から飛び出して来ているのだが、エリーによって真実をバラされた事がきっかけで家族と和解して故郷に戻れる事になった。チャーリーは何度もトーマスに「俺の事がおぞましいか!?」と投げかけている(最後はとうとうトーマスも認める)シーンもある。そしてエリーの暴言に対してありのままに受け入れているのも全てが「自分に正直に」という彼の言葉と合致している気がする。
そもそもがチャーリー自身自分の心のままに正直に生きて来てるよね…それで妻子やリズも振り回されてるんだけどさ(苦笑)
キリスト教的宗教観だったり「白鯨」の小説だったり、ちょっと日本人には汲み取りにくい部分の多い作品ですが…終始部屋の外が大雨降り続いているのに最期の時は扉を開けると輝くほど空が明るくなっている感じとか…いかにも宗教的な感じしますわね。
小説の「白鯨」ではモーヴィ・ディックがエイハブ船長を海の底深くへ引きずり込んで沈んで行きますが、本作ではエリーに導かれるかのようにチャーリーは自分の足で立ち上がって一歩足を前に踏み出したかと思うと輝く空に向かって浮き上がっていく…まあ、やっぱ小説の「白鯨」の方も読んでみて下さい。すんげー読み下し難いけど(ヲイ
劇作家サミュエル・D・ハンターが2012年に発表した同名タイトル舞台劇を実写映画化。
主演のブレンダン・フレイザーが本作で今年のアカデミー賞主演男優賞を受賞+本作はメイクアップ&ヘアスタイリング賞も受賞しています。
あらすじ
同性の恋人アランに先立たれてから過食状態になり、極度の肥満体となった40代の男チャーリー(ブレンダン・フレイザー)。看護師であるアランの妹のリズ(ホン・チャウ)に支えられながら、オンライン授業でエッセーを指導する講師として生計を立てていた。そんな中、心不全となり死期が近いことを悟った彼は、8年前にアランと暮らすために家庭を捨てて以来、疎遠になっていた娘エリー(セイディー・シンク)に会おうと決意する。彼女との関係を修復しようとするチャーリーだったが、エリーは学校生活や家庭にさまざまな問題を抱えていた。(Yahoo!Movieから丸パク)
上のあらすじは余りにも意味不明に省略されていたのでちょっと加筆した。まあどーでもいいわ。
主演を演じたブレンダン・フレイザーは272kg(約600ポンド)の巨漢役を特殊メイクで演じていて、まあだから主演男優賞+メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞している訳ですが、日本にはここまでイッちゃう人はまずいないと思うけど、アメリカって時々いるよね人間離れしたレベルに太る人さ。救急搬送しようと思ったけど玄関を通り抜けられないから家の壁壊して運んだとか、亡くなって荼毘に付したら身体の脂肪が溶け出て引火して火葬場が火事になっちゃったとかニュースで見た事あるじゃんね^^;
恋人のアランは元々プロテスタント系新興宗教の宣教師をしていたけどチャーリーと恋に落ちた事で信仰を捨てて2人で暮らし始めるものの、我欲と信仰の板挟み状態に精神が耐えられずに結局は拒食症のような形で自死してしまう、と話が進むと分かってくる。だからなのか?元々ぽっちゃり体型だったチャーリーはアランの死後やっぱり心が耐えられなくてアランとは真逆の過食に走って慢性的な心不全状態になって余命数日NOW!という状況で、ここに来てアランと恋仲になる為に捨てた我が娘に最期に会って和解したいという…ぶっちゃけ、「はぁ?ご都合主義もいい加減にしておけよこのクソデブがっ💢」て感じなんですが(ヲイ)、ご安心下さい当の娘のエリーも全く同じ反応でした!w
本作のタイトルと「主人公は270kg超のデブ」と聞いただけで勝手に「タイトルは主人公の体型を表しているのね」と思っていたんだけど…まあ、それも間違ってはいないんだけど、もう1つ意味があってというかコッチの方が多分メインなんだけど…映画冒頭でチャーリーが心不全を起こした時にハーマン・メルヴィル著の「白鯨」のエッセイ(感想文)を読んでいて(たまたま家に訪ねてきた宣教師のトーマスに読み上げて貰う)どうやらこの白鯨のエッセイがチャーリーにとっては重要な意味があるらしくチャーリーはこのエッセイをほとんど暗記して諳んじてるのですが、これについては最後の最後に理由が明らかになります。
という訳で、本作はハーマン・メルヴィルの「白鯨」を読んでいるか(内容を知っているか)がもしかしたら重要なキーになってるかもしれません。
自分は学生時代に白鯨読んだんですが…正直に言うとね、自分には全然刺さらなかったんだよなーこの小説。て言うかすんげー退屈だったんだよーどうしようー(滝汗)
とにかくね、「白鯨」ってすんげー長いのよ。長い小説って割と好きな方なんだけどこの小説の長さはまたちょっと異質でさ、本筋が熱く語られている長さだったら全然自分好きなんだけどこの作品はどーでもいいウンチクがとにかく長いのよ全然頭に入ってこないのよ読むのがもう苦痛で苦痛で…って事が一番印象に残ってるレベルなのヨッ!💦
あーすいません脱線しました。まあ「白鯨」の内容を知らなくても本作を観て意味不明になるという事はないです、が、知っていた方が「なるほど…」と思い当たる部分もあるのではないかな?と思った次第です。その一番大きな要素としては、まあ当然ですが白鯨の登場人物と本作の登場人物を重ねて見る事が出来るというか明らかに当て込んでるなーと感じるという事です。
チャーリーが「モーヴィ・ディック(大きな白鯨)」、娘のエリーがモーヴィ・ディックに片足を食いちぎられて白鯨への復讐に燃えている「エイハブ船長」、そしてエセ宣教師のトーマスが物語の語り手にして唯一の生き残りになる「イシュメール」に当て込める。内容もほぼ白鯨のそれに沿っているように感じます。恋人のアランとアランの妹でチャーリーの世話を焼くリズ、元妻(エリーの母親)が誰に当て込めるかちょっと分からないけど…敢えて言えばリズは「スター・バック」辺りが妥当かな?
8年振りにあった娘のエリーは元妻に言わせると「邪悪」な子供に育っていて、エリーご本人曰く「自分は頭がいい」らしいけど高校の学業は赤点まみれで落第寸前、学校に友達は1人もいない、クラスメイトをディスってネットで暴言を吐いた事がバレて学校を停学処分にされているという分かり易い「問題児」。彼女がひねくれだした原点が正に8年前に自分(と母親)はゲイの父親が男の恋人とよろしくする為に捨てられたのだ、という事に集約されている。
なんかね…チャーリーが不自然な程ポジティブ?と言うか娘にエゲツない暴言吐かれてるんだけどその返しが「君は最高だよ」「君は美しい」のオンパレードなんですよね。
それが何というか、エリーが父親を恨む裏返しで父親の愛を欲していた事へのアンサーだったのか?とも受け取れる。劇中でも言われてるけど「だったら何でもっと早くに娘に会いに行って抱きしめてやらなかったんだよ」と思いますけどね。まあ行きたい気持ちもあったけどその内太り過ぎて家から出られなくなった、って事か?(苦笑)
チャーリーは落第しそうな娘に代わってエッセイ(読書感想文)のリポートを書いてあげる(一緒に書こうとエリーを誘うもののけんもほろろに断られている)という約束をすると同時にオンライン授業の生徒達に「これが最後の授業だ」として「自分に正直になりなさい。正直に書きなさい。」と投げかけている。それで数人の生徒が今の自分の事だったり自分の気持ちをありのままチャーリーにメールして来ると、それを取り上げて大絶賛してあげている。
宣教師のトーマスは自分の気持ちに蓋をして金を持ち逃げして故郷から飛び出して来ているのだが、エリーによって真実をバラされた事がきっかけで家族と和解して故郷に戻れる事になった。チャーリーは何度もトーマスに「俺の事がおぞましいか!?」と投げかけている(最後はとうとうトーマスも認める)シーンもある。そしてエリーの暴言に対してありのままに受け入れているのも全てが「自分に正直に」という彼の言葉と合致している気がする。
そもそもがチャーリー自身自分の心のままに正直に生きて来てるよね…それで妻子やリズも振り回されてるんだけどさ(苦笑)
キリスト教的宗教観だったり「白鯨」の小説だったり、ちょっと日本人には汲み取りにくい部分の多い作品ですが…終始部屋の外が大雨降り続いているのに最期の時は扉を開けると輝くほど空が明るくなっている感じとか…いかにも宗教的な感じしますわね。
小説の「白鯨」ではモーヴィ・ディックがエイハブ船長を海の底深くへ引きずり込んで沈んで行きますが、本作ではエリーに導かれるかのようにチャーリーは自分の足で立ち上がって一歩足を前に踏み出したかと思うと輝く空に向かって浮き上がっていく…まあ、やっぱ小説の「白鯨」の方も読んでみて下さい。すんげー読み下し難いけど(ヲイ