09年9月号「あ、オッパイだ」はこちら。
「組織のトップに対するモノの言い方ではない。」
税金に対する職員の意識の低さを指摘する庁内メールを送った橋下大阪府知事に、ある技師級職員が「愚痴はブログ等で行って下さい」とするレスを返したことに厳重注意処分をくだすとしたときのコメント。府民からは賛同の声が多いと報じられている。
はたしてそうだろうか。橋下の常日頃の発言が“組織のトップとしていかがなものか”という皮肉はさておいて、トップダウンですべてを解決しようとする人間が、こんなレスごときで激昂するのは覚悟が足りないではないか。自分の意図をむき出しの形で職員に通知するのが彼の流儀だとするなら、職員のむき出しの意図を正面から受けとめることこそがトップとしての彼に求められているはず。まあ、あの男にそんな無いものねだりをしてもねぇ。
「私の専門は兵器とか戦争。それで飯を食っていますが、なければない方がいいもの。人命にもかかわることでもあるし、おもしろおかしく取り上げてほしくない」
湾岸戦争時のテレビ解説などで知られた軍事評論家、江畑謙介の亡くなる前の発言。印象深い髪型で話題にもなったが、実際に戦争が始まってみると、彼のようなそれまでまったく知られていなかった、字義通りの“タレント(才能)”が出てくるんだなあと思ったものだった。何よりも、キャスターの挑発に簡単にのらない姿勢が貴重だった。
わたしは今でも非武装中立論に傾倒している。でも、戦争というものの本質を知らないままで、戦争反対戦争反対とお題目を唱えているだけで平和が確立するわけがないと感じるのは(戦争反対戦争反対とお題目を唱えなくては平和は絶対に訪れないわけだが)、江畑の苦い思いの影響か。合掌。
09年11月号「一回どう?」につづく。