メジャーのありようを(批判的にであれ、好意的にであれ)語りながら、それがそのまま日本プロ野球への冷静な警鐘になっている。
アメリカの市民の税金を(はっきり言えば)搾取することでのMLBの隆盛がまず事実としてあり、日本プロ野球機構はその黒船に対峙する覚悟があるのか?というわけだ。MLB=アメリカへの反感がオリンピック=ヨーロッパからの野球の脱落につながっているという指摘など、納得。
また、日本のスポーツジャーナリズムが伝えるメジャーの姿と、ホワイティング(「和をもって日本となす」は必読)が定点観測のように語る姿のあまりの相違にびっくり。
たとえば、彼が考える日本メジャーリーガーのベスト&ワーストはこうだ。
ベスト
1.野茂英雄
2.松井秀喜
3.イチロー
ワースト
1.井川慶
2.福盛和男
3.中村紀洋
きわめてまっとうじゃないですか!特に野茂の評価はうれしい。彼こそがまさしくパイオニアであり、革命児だったのだ。それから、ヤンキースのチームメイトに松井がいかに愛されているかなど、今だからこそキャッシュマンGMに聞かせてやりたい情報てんこ盛り。
日本語訳がもうちょっとスムーズだともっとうれしい本だったかも。ぜひ。