事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ボトルネック」 米澤穂信著 新潮文庫

2009-12-23 | ミステリ

Bottleneck01 亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。

絶対に成就しないラブストーリー。真に邪悪な存在とはなにかを、こんなフォーマットにのせて語るんだから米澤穂信の底意地はかなり悪い。

自分がもし存在していなかったら、もっと世界は善いものになっているのではないか?とは青春時代だけに許される根元的な疑問。自分が世の中の隘路(ボトルネック)なのではないかという思いこみは誰でもおぼえがあるはず。でも、そこから大人になるまではほんの短い距離なんだけどな。

さて、これで彼のオトナ向け作品は全部読んだことになるのか。え?新作が出てるおーし。

コメント
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