目白、柏木、黒門町……つまりそれぞれ五代目柳家小さん、六代目三遊亭圓生、八代目桂文楽の弟子たちが、名人の奥さんを中心に内弟子時代を語る。
こんなもん面白くないわけがない。花柳界との関係がまだ強い時代のことだから、奥方はそちら出身のことが多く、芸人も徹底して遊び続ける。小さんの奥さんはそのことに嫉妬し、圓生の奥さんは知らぬふりを決めこむ。文楽の奥さんは自らが桂文楽の妻であることの誇りで矜持を保とうとする。
そして同時に、破天荒な弟子たち(ハンパじゃないです)の母親として、時に理不尽で、時に聖母として君臨する。師匠をしくじっても内儀さんだけはしくじるな、と言われる所以。なるほど。
小さんはともかく、圓生と文楽は気難しい人だと思っていたので、語られるエピソードがひたすらおかしい。噺家ってぇのはしかし……。