メルマガの方でも反響が大きかったのでブログでもとりあげておきましょう。
人情とよそ者と /山形
「瓶ビールを注文したのはきょうはあんたが初めてだよ。ほら、だから冷えてる」と言われた。酒田に着任の4月のこと。うまいと教えられ、ある焼き鳥店に入った。まちの人情を知ろうと旅行者と分かる服装で繰り出した。もつ煮はうまくもう1本注文した。すると生ビールが出てきた。「瓶はぬるいから」。前言を翻す言葉にあぜんとした
▲ラーメン店に入ったという旅行者から同様の話をきいた。注文するとそのメニューはないと怒鳴られ金額を払う際も追い立てられるように、しかもあとで多めに取られたのに気づいたという
▲よそ者に対する警戒心からか、それともそうした人情なのか。映画「おくりびと」効果で観光客が増えているのに残念至極。あの焼き鳥店をその後は再訪していない。
毎日新聞 2009年12月8日 地方版
……2ちゃんねる方面で盛り上がっている酒田ネタだ。まことに申し訳ない次第ではある。酒田人として謝罪はしておこう。
でも、ちょっとおかしくないか?
“まちの人情を知ろうと”
“旅行者と分かる服装で”(どんな服装なのだろう)
某有名焼き鳥店(まあ、想像はつくけれど)に出かけた新聞記者の、『ネタを拾いにいく』姿勢がどうにも鼻につく。
記者である前に客でもあるはずなのに、この上から目線はどうだろう。
日本語もかなりあやしい。
考えてもみてほしい。ラーメン店で“多めにとられる”とはよほどのことではないか。いったいその“旅行者”は、どんなオーダーをしたのだろう。
もちろんこれは地元民としての偏狭な物言いだ。署名原稿であることにはいつも敬服している。しかし皮肉と自戒をこめて、『うまい店ピンポイント』がこんな調子にならないように気をつけよう。あの焼き鳥店を、明日あたり再訪してみようか。