ライターが書いた芸能史と違い、エノケンやミヤコ蝶々、森光子などの芸人にたいする視線がクールなのにたじろぐ。
これは中山千夏が彼らと“共演”していた当事者だからこそなせる技だろう。ただし、そのためにかなり息苦しい書になっているのも確かだ。
天才子役だった時代の千夏を知らないので、どんな子どもだったかは想像するしかないが、よほど付き合いづらい、ませたガキだったのであろうとは思う。誰よりも自身がそう語っているぐらいだし。この書で描かれた芸能人たちに、そのあたりの千夏観を訊いてみたいぐらいだ。
ああ、だからこそ森光子の死は痛い。
蝶々にエノケン 私が出会った巨星たち 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:2011-10-06 |