事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

合戦屋シリーズ。

2012-12-04 | 本と雑誌

Isbn9784575236644_2 時代小説はいまブームじゃないですか。「居眠り磐音」の佐伯泰英とか、鳥羽亮とか。わざと最初から文庫で出すなどして“延々と購読させる”あたりの仕掛けもうまい。

それに、フォーマットがきちんと定まっているものだから、一度はまってしまえば物語にするりと入っていける。読むのに体力が必要なノワールなどと違い、わたしのような中高年にぴったり。

にしても北沢秋という作家のことは全然知らなかった。同僚の国語教師が「これ面白いんだよー。読んでみてよ」と合戦屋シリーズを貸してくれなかったら、おそらく読むことのなかった作家だと思う。この人も、ベストセラー作家だったのだ。

北沢秋は、東大の理工学部出身ということしかわかっていない。理系の歴史小説?デビュー作「哄う合戦屋」は、双葉社に徹底的に書き直させられるという少年ジャンプと鳥山明みたいな関係性のなかから生まれたのだとか。

でもやっぱり仕上がりはまだまだな部分も。各章の展開がワンパターンなの。

・主人公が意味不明な行動をとって

・その意味を理想の女性だけが理解し

・無能な上司が主人公の意図するところを台無しにしてしまい

・厭世観にとらわれる主人公に(心象風景としての)鳥の声が聞こえる

……これが何度も何度もくりかえされます。いまはこのシリーズを事務室の相方が読んでいるんだけど「とにかく何度も鳥が鳴くでしょ」と笑い合っています。

しかしとにかく読ませる。おかげで全巻読破。いくさ上手な軍師、石堂一徹は架空の存在。そこに武田信玄や村上義清がからんで……大河ドラマ「武田信玄」を見ていた人なら、中井貴一と上条恒彦がここでバトルかあ、と想像できるおなじみの世界。

そう、どうも展開は(全盛期の)大河ドラマっぽく派手でスピード感もある。表紙もふくめて「のぼうの城」的な売れ方なのだろう。面白いですよ確かに。でも、鳥が鳴くのは減らしてほしいなあ。

哄う合戦屋 (双葉文庫) 哄う合戦屋 (双葉文庫)
価格:¥ 650(税込)
発売日:2011-04-13
コメント
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