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◆「ステキな金縛り」
(物語の破綻には強さがあるという主張から)エミ(深津絵里)と同じ事務所の先輩弁護士速水悠(阿部寛)が途中で死んじゃうっていう(笑)。あれはすごい破綻。とってつけたような死に方だし。なぜかというと、もともとあの役はおじいさんの設定だったんです。たとえば藤村俊二さんが演じるような。阿部さんに決まってもそこは変えなかった。でもその破綻には強さがある。あれは阿部さんがいいんですよ。あまり感情移入しなくても済む軽いキャラと演技だから。もっと生活感のある俳優さんが演じてたら、観客は「速水にも家族はいるし、死んだ後どうなっちゃうんだろう」と思うけど、阿部さんだから何も感じないんです(笑)。
……英米のウェルメイドなコメディを信奉する三谷にとって、背が高く、美男で、自分の身体が制御できない不器用な男は最高のキャラだ。ジェームズ・スチュワートの再来ですもんね。わたしは「ステキな金縛り」をあまり評価していない。それは、主演女優があまりにも堅かったから。彼女は台本は完璧に頭に入れて現場に臨むし、絶対にNGを出さないのだそうだ。うーん、だからこそ向いていなかったのではないかと。
◆「清須会議」
僕はもともと好きなことを1つずつやっていくしか出来なくて、時代ものも好きだから映画で1回やりたかったから撮らせてもらったんです。(「古畑任三郎THE MOVIE」とかは)絶対やらないです。
……そんな三谷の映画の次回作はなんとSFで、香取慎吾と綾瀬はるかで「ギャラクシー街道」(笑)。そしてそして来年の大河を堺雅人主演で「真田丸」!期待しちゃうじゃないですか。できうれば、それらが終わったあとに、またしても「創作を語」ってもらえるとうれしいかも。