THREE DAYS OF THE CONDOR (Masters of Cinema) Original Theatrical Trailer
PART6はこちら。
くどいようだけれども、朝のフェイ・ダナウェイの美しいこと!そこへふたたび郵便配達人が急襲。キャシー(写真家らしい手段で)とコンドルはなんとか撃退する。もう、こちらから反撃するしか手はない。コンドルはキャシーの助けを得て、CIA内部を探る……
「コンドル」が傑作たりえた要因はいくつかある。
1 脚本が圧倒的によくできている。書いたのはロレンツォ・センプル・ジュニア。70年代の彼は絶好調で、ほかにも「パララックス・ヴュー」「新・動く標的」など、シャープな脚本をいくつも書いている。まあ、これもくどいようだけれども「キングコング」でちょっとしくじっちゃったんですけど。
2 この脚本はすでに教科書あつかい。だから四十年近くたってから、「ウィンター・ソルジャー」の製作陣が「コンドルのような作品にしたかった」と語るぐらいなのだろう。ロバート・レッドフォードがあの作品に登場したのは、だから必然。
3 CIA内部に、もうひとつのCIA的存在があり、その組織の作戦がコンドルの報告と酷似していたというアイデアは、実はジョン・グリシャムが「ペリカン文書」でいただいていて、ためにグリシャムは作中で「コンドル」へのリスペクトを挿入している件は前にもお伝えしたとおり。エスピオナージュ映画にとって、魅力的な展開だ。
4 レッドフォードといえば、反骨、反体制の人。彼はCIAをある手段で告発するが、しかしそれは確実ではないというラストは、苦味のあるアメリカンニューシネマの残像そのもの。
5 組織にひきずられるコンドルたちと、フリーランスの殺し屋の対比がすばらしい。彼はコンドルがいずれ組織によって抹殺されると予言し(その予言がラストで効いてくる)、むしろヨーロッパで自分のようにならないかとスカウトまでするのだ。
「(殺し屋の生活は)静謐で、平和だ」
「アメリカを離れられない」
……いいですなあ。まさしく、傑作ですコンドル。