第二十二回「裁定」はこちら。
前回の視聴率は16.6%。やっぱり、黒い回はそんなものなのであろう。
でも今回は小田原攻め。大河ドラマで何度も何度も描かれ、「軍師官兵衛」のオープニングも確かこれ。きわめつけは「独眼竜政宗」の勝新太郎(秀吉)と渡辺謙(伊達政宗)の小便遭遇。それまでこの二人をNHKは会わせなかったってほんとですか。いわゆる、名場面です。
三谷幸喜はそのあたりを十分に承知していて、基本線は秀吉や家康のオシッコ。どんなリスペクトだ。それぞれのイチモツ(すみません下品な表現で)に関して、信繁がいちいち驚くのがおかしい。どんな驚きだったかはわからないのだけれど(なんとなくわかるんだけどさすがにそれは)。
話はオシッコだけではなくて、「のぼうの城」の引用も露骨に。これは次週がメインかな。いくさとは勝たなければ無駄の極致、という石田三成の考え方は理にかなっている。しかし、一見して無駄なことをやらなければならない局面もあるというのがあの映画の教訓だった。有能な官僚ではあったけれども、三成がそれを突き抜けることができなかった経緯は、これから徹底して描かれるんでしょう。
茶々(竹内結子)に、
「城が焼け落ちるまで見ていたい」
と自虐的なセリフまで吐かせるあたり、戦国ドラマとしてやはり真田丸は秀逸だと思います。自分のトラウマに、なお塩をすり込むようなことをしたい女性という伏線だ。
伏線といえば、この小田原攻めほど、あのときあいつはこう動いたというオールスターな合戦はないのでは?関ヶ原は、肝心の秀吉がいない。その点、小田原攻めは上杉、徳川、伊達などの名家をそろえ、なんと総勢21万。それでも、出浦(寺島進)は小田原にくみしたいという業の深さ(笑)。まあ、合戦というより政治的パフォーマンスな場でしょうが。
信繁はメッセンジャーとして背中に金ぴかの袋をつけて右往左往。この設定でなければ、歴史の分岐点にはおよそいることができなかったはず。北条氏政(高嶋政伸)は、その視点が持てなかったわけだ。
小田原評定とはいうけれど、しかし最後に小田原は小泉今日子というおそるべきトリックスターを生み出す風土を残すことができたじゃないですか。もって瞑すべし。今回はさすがに視聴率18%近辺と読みました。
第二十四回「滅亡」につづく。