事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

明細書を見ろ!2016年6月号 特別徴収・普通徴収

2016-06-18 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2016年5月号「服務事故その1」はこちら

今月の給料袋には、住民税の特別徴収税額通知書というのを同封しておきました。これ、なかなか味わい深い書類です。源泉徴収票と違い、給与所得以外も含めてすべての所得が記載されていることと、居住している市町村によって微妙に税額が違うのが透けて見えるから。

それはともかく住民税。ほとんどの人がまったくこれについて意識していません。自分が山形県にどれだけ税金をおさめているのか、酒田市民、鶴岡市民、遊佐町民、庄内町民、三川町民として地元にどれだけの貢献をしているか、考える人は少ないのです。

理由は簡単。天引きされてるから。

よほど明細書を毎月読みこむ優等生でもないかぎり、ひと月あたりいくら住民税を納めているかすぐに答えることは……(実はわたしもできません)。

所得税だって天引きされているじゃないかとお思いでしょうが、あちらはまだしも年末調整という機会があるので、11月から12月にかけていろいろと考えますよね(考えろよ)。

でも住民税は、前年の所得が確定してからおよそ半年後に反映するし、(引っ越すとか、扶養親族の数が変わるとかしないかぎり)あまり変化がないので興味を持てないのも仕方ないかな。

でも「税額」「納付額」の欄を見てください。びっくりするはず。こんなに払ってたのか!と。住民税って実はけっこうでかいんですよ。それでも意識されないですんできたのは、さきほども言ったように

特別徴収」

という形で給料から“天引き”され、しかも毎月だから12分割されているからです。おいおいそれって普通のことじゃないのか、なにが特別なんだと思うのも当然。しかしこれはあなたがサラリーマンで、事業所(わたしたちの場合は山形県)が給料から差し引き、税務署に翌月の10日までに納付するという代行しているわけで、税の在り方としてはやはり特別。

それでは普通徴収とはどんなものかというと、年に4回、自分で銀行やコンビニに納付書をもっていき、身銭を切るのです。普通徴収でも特別徴収でも税額に変わりはありませんから、さきほどの年税額を4分割してください。それを自分で用意することを考えると、いかに住民税が大きいか、なお理解できます。

前は期限付職員もそのような形態をとっていましたし、経験のある人はその重みを十分に理解している。で、どうして税務署は必死で特別徴収にシフトさせようとしているかといえば、こちらの理由も簡単。普通徴収だと、払わない人が出てくるからです。だからいかに特別な徴収が、県民市民に税を意識させないようにはたらいていることか。

逆に、負担感があれば、税金の使い方にも敏感になる。どこかの知事が王侯さながらの生活をしていることに怒りが爆発したのも無理はない話。

でもまあ、あれは一種の意趣返しの色彩が強く、都知事(あ、言っちゃった)が辞めたことで問題点など都民はすっかり忘れ、次の知事は誰だという報道に興味は移っていくのでしょう。まるでマスコミに鼻面を引きまわされるかのように。

さて、住民税への負担感を逆手にとって、知恵者が創設したのが「ふるさと納税」制度。寄付行為によって税の控除を受けるというシステムが浸透するのはいいにしろ(日本に寄付はなかなか根付きませんでしたから)、でもなんかお返しを期待する制度になっちゃってるのはどうもなあ。

え、酒田のお返しに富重の胡麻豆腐とおむすび用の岩のりセットが加わったって?お店でも岩のりおむすびが出てくることは少なくなったのに!

画像は「64(ロクヨン)前編後編

原作:横山秀夫 主演:佐藤浩市

前後編大ヒット続映中。しかし不満もある。このミステリの最大のキモである“犯人が平成元年から14年間にわたって行ったこと”が、後編のしょっぱなに明かされてしまうのだ。うーん。まあ、三浦友和の好演があるから許す。元クラリオンガール烏丸せつこを久しぶりに見たので許す(何様だおれは)。

2016年6月期末勤勉手当号「服務事故その2」につづく

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