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まったく、それはもうまったく事前情報なし。読者からすすめられなければ絶対に観るはずのなかった映画。なんと県内では鶴岡まちなかキネマが独占上映とか。
製作は、怖すぎていまだに観ることができない「ゲット・アウト」のジェイソン・ブラム。脚本と監督はあの「ソウ」を書いたリー・ワネル……どう考えればいいんだろう、期待していいのか?ジェイソン・ブラムは「パラノーマル・アクティビティ」も作った男だぞ。変なこけおどし映画じゃないだろうな。
いやー面白かったです。観てよかった。
ストーリーが意表をつきます。近未来。AIによる運転が常識になっている世界で、むかしながらの大排気量スポーツカーを整備するグレイ(ローガン・マーシャル=グリーン)。彼はそのクルマを富豪のIT会社経営者エロン(ハリソン・ギルバートソン)に売り、妻のAIカーで帰途につく。なんらかのエラーによって横転したそのクルマに、ならず者たちがしのびよる……
妻を殺され、四肢が不自由になったグレイの復讐譚が始まると誰だって思う。エロンにAIを埋め込まれたことによって身体の自由を取りもどしたグレイは確かに意欲満々だし。
ところが、AIがグレイと会話できるようになってから話はひねくれ始める。行動の自由を得たAIは暴走を始め、残虐な行為をグレイに強いるのである。
よく話のマクラに「これからはAIの時代ですので」とか言う人を、わたしはちょっと警戒する。自分の主張を強引に通すためにAIの存在を利用しているのではないかと。で、この映画ではAIを邪悪なものでもあるという観点で描いてあり、実相はそちらに近いのではないか。
オープニングに、製作会社の名をすべて女性AIふうに読み上げるアイデアに爆笑。そのセンスは最後まで保たれていた。女優の趣味もすばらしい。SFでホラーでアクション映画ではあるけれど、まずはミステリ映画でしょこれ。悪党どもが集まるバーの名前が「古い骨」なのは作り手がミステリファンだとしか思えん。
肌合いとしてはニール・ブロンカンプの「第9地区」に近いかな。あれが好きだった人はお見逃しなく。わたし?もちろん大好きでしたよ。