その13「指標す(しめす)」はこちら。
岸谷刑事(吉高由里子)は、帝都大なぎなた部の先輩である冴子の告別式に参列している。新興IT企業につとめる冴子は、社長との不倫の果てに自殺したと噂されていた。その社長はいきなり耳をふさいで叫びだし、会場を飛び出す。彼は翌日、遺体となって発見される。覚悟の自殺と思われた。
彼の会社は、社員が決まった机に座らないフリーアドレスを導入している。そして、特定の社員に聞こえてくる声「次はお前だ」と。冴子の呪いなのか。錯乱した社員はその場にいた岸谷にカッターナイフで切りつけ……
お尻を二針縫った岸谷のお見舞いに、湯川が桃を持ってくるあたりが可笑しい。
今回の事件は、他の人にはまったく聞こえない音を、特定の誰かに(耳をふさいでも)聞かせる方法とは、というものだ。
誰でも想像するのは超指向性スピーカーだけれど、単なる音では耳をふさげば防ぐことができる。そこで湯川は……
映像化の強みは、無響室に実際に湯川と岸谷を訪れさせ、それ風の音響になるのを再現できること。映像としても強烈です無響室。
冒頭の告別式で、受付をしているのが大島優子と松尾諭(「シン・ゴジラ」での彼はよかったなあ)。犯人は最初からまるわかり(笑)。しかしそこからどうひねるか。
湯川も岸谷も、恋愛についてはさっぱりわからない状態にあるあたり、ラブコメとして実は王道をこのドラマは歩んでいます。にしても、底意地の悪い先輩を演じたのが、あの傑作「駆込み女と駆出し男」で原田真人監督を魅了した(でしょ?)陽月華だったとはっ!
その15「曲球る(まがる)」につづく。