海外ミステリが売れない時代に、この作品はしっかり売れたのだそうだ。ミリタリーおたくは常に新しいネタ、新しい政治状況を求めているということだろうか。
レッド・メタルとはレアメタルを指していて、アフリカのダイヤモンドが民族紛争まで巻き起こすことからブラッド・ダイヤモンドと呼ばれるように、レアメタルも大国同士が激突するお宝になっている。
しかし本筋のレアメタル鉱山の陣取り合戦よりも、ロシアの野心的な軍人が用意した陽動作戦の方が魅力的。なにしろ台湾の“中国寄り”の政治家を、米軍を東シナ海に張り付かせるためだけに暗殺するのだから。
経験者が書いているだけに、兵器や戦況の描写は圧倒的。ほとんど意味がわからないのに「ほえー」と納得させられるぐらいでした。こういうポリティカルなものはちゃんとリアルタイムで読まなくちゃ、うん。こうやって売れていくんだなとこちらも納得。