
事前になんの情報もなく読み始める。佐藤義清(のりきよ)という武士と平清盛の友情物語がつづく。義清はある女性を恋慕し、清盛は権力欲をむき出しにしていく。
で、この義清がとにかくスーパーマンで、剣も弓も乗馬も、そして蹴鞠も超一流。いったいこの人は誰なの。なにをした人なの。
西行法師でした。
そんな過去をもった人物とはつゆ知らず。しかも時代背景が保元・平治の乱。うわーしまった。日本史知らずにとってはきつい時代だ。だいたい、西行と清盛が生涯の友だったって常識なんですか。
こういう時に便利なのは、毎週大河ドラマを見ているので、その配役イメージで背景をとらえるという安直な方法。ひとつの解釈としてありでしょ。最適なのはもちろん「平清盛」。見てなかったけど(笑)。「宿神」の登場人物たちは、あの大河でこのようにキャスティングされた。
・西行……藤木直人
・平清盛……松山ケンイチ
・後白河法皇……松田翔太
・鳥羽法皇……三上博史
・崇徳上皇……井浦新
・待賢門院璋子……檀れい
・堀川局……りょう
あ、そう。さっぱりわからない(笑)。
しかしある能力をもった西行が、朝廷から武家へ権力が移っていく怒涛の時代を苦い思いを抱きながら(そして歌を詠みながら)生きていく過程はとんでもなく面白い。源平合戦は確かに派手だけれども、それ以上に保元・平治の乱は重要だったんだね。
にしても朝日新聞で一年間連載されたにもかかわらず、全然終われなかったあたり、さすが夢枕獏。書きたくて書きたくて書きたくて仕方がないんだろう。すごい膂力。