第33回「論語と算盤」はこちら。
タイトルの伝説の商人とは岩崎弥太郎のこと。もちろん、三菱の創業者。大河ドラマでは「龍馬伝」で香川照之が虫かごを背負って小汚く演じていた彼です(笑)。
今回はすでに、海運業を中心に戦争がいかに商売に直結するかを知っている権威として登場する。あからさまな仇役。演じているのは八代目中村芝翫。「毛利元就」でいかにも線の細い人物だったあの人がねえ。芸の肥やしをいっぱい味わってるようで。
商売は力の強いものが勝つ、という持論の弥太郎と、みんなを底上げしなければ意味がないとする栄一の激突。ちょっと話が美化されすぎているような気もするけれど、新自由主義が幅をきかせている時代が長かったことへの大森美香さんの異議申し立てと考えれば納得は出来る。
ダメ押しは、栄一と妻の千代の養育院への肩入れで、めぐまれない子どもたちをなんとかするのが一等国というものだという割り切りはありだと思う。弱肉強食がすべてだという弥太郎の考えでは日本は尊敬される国にはなりえない……
と言いつつも、栄一の流れをくむ銀行が不祥事乱発で、弥太郎系の銀行がお公家さんとして紳士的になっている状況はなかなか考えさせられます。いや別にわたしの新婚旅行が三菱系の日本郵船の主催で、いろいろと世話になったからひいきにしているわけではありませんよ。
そして大島優子登場。またこの人にも手をつけるんじゃ……あ、後にそういうことになる人なんですか。彼女との関連に平岡円四郎の妻、やすがいることが心強い。つくづく、伝法ですばらしい。木村佳乃は「マスカレード・ナイト」でも光り輝いてたなあ。
第35回「栄一、もてなす」につづく。