2021年10月号はこちら。
さて、国家公務員の給与などが、人事院の勧告にもとづいて変わっていくのは8月号で説明したとおりです。それではわたしたち山形県職員は?
そうです県の場合は人事委員会(県庁の15階にあります)というところが勧告を発し、労働組合との交渉と県議会での条例成立でようやく反映されます。
今年の人事委員会勧告の内容はだいたいこんな感じ。
・民間給与との差はあまりないので、給料額の改定はしない
・ボーナスについては0.1ヶ月分を引き下げて、一年の合計を4.25月分とする
そして予想通り
・定年の引上げ
について大きく取り扱っています。どうやら用語として「定年延長」ではなく「定年の引上げ」とするようです。どんなニュアンスの差があるものだか。
具体的にはこうあります。
「定年を段階的に引き上げるための改正地方公務員法が令和5年4月から施行されることを踏まえ、定年の引上げが円滑に行われるよう、新たに導入される制度の構築や関係条例の整備など、国家公務員の制度に準じて、所要の措置を講ずることが必要」
この件については改めて特集することとして、勧告は他に
・(コロナ対策などの)特殊業務を必要最小限に
・時間外勤務の縮減
・年次有給休暇の年5日以上の確実な取得
そして学校について
「学校においては、教職員の多忙化の解消に向け、教育委員会規則等を踏まえた勤務時間縮減の徹底、業務の見直しや役割分担の適正化等の取組を一層推進することが必要」
……と特別に求めています。
さて、ボーナスの引き下げに話をもどしましょう。0.1ヶ月分をどう下げるか。6月のボーナスは支給済みですから、下げるとすれば12月10日に支給される分になります。
そのためには、12月1日よりも前に県議会で条例改正を行わなければなりません。ボーナスは12月1日が基準日だから。そこで、わざわざそのためだけに11月下旬に県議会が招集されたこともありました。
ところが今年はどうもむずかしいようなのです。それは国会のせい。地方公務員に激しく影響する国家公務員の給与改定を審議する臨時国会の召集が12月6日あたりなので、ボーナスに間に合わないのです。前首相の退陣と、しゃにむに急いだ衆院選の影響がここに。
さあどうしましょう。
・国がどうあろうと、県議会で強行突破する(12月定例会の開会は12月2日の予定)
・来年6月のボーナスで調整する
……現内閣は6月を考えているようですが、今年度末に退職する職員に請求することができない(不利益不遡及の原則)など、こむずかしい問題が山積。さて、どうなるか。
PART2につづく。
画像は「燃えよ剣」(2021 東宝=アスミックエース)
土方歳三を描いた高名な司馬遼太郎の原作を、かつて伝説の映画評論家と呼ばれた原田眞人が映画化。池田屋事件は壮絶だし沖田総司が死ぬ近くにはちゃんと黒猫がいるなどサービスたっぷり。
そして、どこまで運動神経がいいのか岡田准一がくり出す実践的剣法(膝から下を狙う)がすばらしい。新選組ファンならずとも、ぜひ。