第36回「栄一と千代」はこちら。
脚本の大森美香さんの手管に感じ入ったので、近ごろ彼女のドラマをDVDで見ています。
「この声をきみに」「東京バンドワゴン」……泣かせる。この「青天を衝け」でもそのテクニックは健在で、最愛の妻を亡くした(そのくせお妾さんもしっかりキープした)栄一が、さっそく後妻を迎えるてんまつを豪腕で納得させてくれる。
千代を失った栄一は、三菱とのディスカウント合戦に明け暮れる。それが誰のためにもならないと知りながら。
大森さんはこう仕掛けた。これまで栄一は父や母や妻の支えがあったからやってこれた。しかし今はそれがないために暴走している。だからこそ、後添えである兼子(大島優子)に協力を求める……
無理筋です(笑)。でも、それを押しとおすために必要だったのは大島優子の演技力だ。
あれま。
素晴らしいですねえ。偏見だけどAKBのメンバーのうなじに納得させられるとは。わたしはあのユニットからは秋元才加と前田敦子しか生み出さなかったと思っていたので不明を恥じます。
そして、おそろしいくらいに子孫がエリートとなっていった渋沢家のなかで、負の部分を請け負う次男の篤二を演じたのが泉澤祐希。あれ?わたしはきみに近ごろ会ったよね?「マスカレード・ナイト」でした。そうかあのベルボーイか。いい味だしてたもんな。
次々に登場人物が退場。五代友厚、岩倉具視、岩崎弥太郎……そうかまもなく12月だ。大河の店じまいの季節。必ず、そうです必ず徳川家康はまた登場します。
第38回「栄一の嫡男」につづく。