三十年前に出た本の復刻。内容は古びるどころか、内橋の警鐘が3.11を経過した日本にきわめて有効であることがつくづく。
原発について、わたしたちがいかに知らないでいたか、あるいは嘘の情報を与えられていたかがくっきりと描いてある。箇条書きでちょっと整理してみましょう。実験段階の技術を強引に導入するなど、要するに最初っから間違っていたのである。
・電気事業連合会は経団連ビルのなかにある。
・放射線は自然界のなかにもあるので多少の被爆は影響ない→大嘘。人工の放射線の一部は体内で“濃縮”されるのであり、そのことが問題なのだった。
・原子力はコストが安い→恣意的な嘘。廃炉(ものすごく金と手間がかかる)、放射性廃棄物の処分が算定されていない。廃棄物にいたっては、まだ最終的に処理する技術が完成していない(トイレのないマンションに例えられている)。
・原発は安定して稼働できる発電の優等生→実際には稼働率が高くないと発電コストの高い劣等生。もちろん現在の稼働率は0%なので金を喰っているだけの存在。だから動かしたくて仕方がないわけだ。
・なぜ初期投資の大きい原発が国策としてとられてきたか→ほかの公共事業と同じように、いろんな業界がもうかるから。電力会社自身も総括原価方式をとっているので高コストの方がもうかる。
・原発は絶対安全→技術はトライアル&エラーで確立するのであり(実際、原発もそのようにして改善されてきた)、本気で絶対を信じている技術者がいるとすれば、よほどの楽天家か……
反原発運動に左翼がからむと電力会社はむしろほくそえむという記述には「やっぱりなー」と。その方が一般市民を分断できるからなのだ。だからわたしも声高ではなく、低い声で言い続けることにします。原発、割に合わないじゃないかと。
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