第14回「都の義仲」はこちら。
黒い。これまでの大河のなかでも相当に黒い回でした。
三谷幸喜は朝日新聞のエッセイで、このあたりの経緯はフリーハンドで書けると正直に言っている。勝者が遺したものが歴史になりがちだから、上総広常(佐藤浩市)がどうやって消えていったかは脚本家としての腕のふるいどころ。
思えば「新選組!」における芹沢鴨と似たようなキャラを佐藤浩市は演じたわけだ。現実を知りながら、それでも自分の資質に意識的な男。少しだけ侠気を見せたために消えていく。死に顔の枯れっぷりはみごとでしたアゲイン。
御家人たちが実利でしか動かないことを彼も義時(小栗旬)もわかっている。だから三浦義村(山本耕史)も指摘する。
お前も頼朝のようになっているんだ。
このあたりから、わたしはうれしくなってしまいました。ええそうですとも。わたしも黒い男です。
思えば、この大河ではまわりが策謀を重ねるけれど、義時だけは無垢な存在で困った顔ばかりしていた。
でも、今回から彼のダークサイドがスタートする。それが八重(新垣結衣)との間に子どもが出来たといっしょであるあたりが深い。
「花束みたいな恋をした」を見終えました。何も起こらないのにこうやって恋愛は壊れていく。むしろ大河ドラマの登場人物たちのように、怒濤の背景がある方がまだしも。いや怒濤の背景があるのもやっぱりしんどいか。
北の方の誰かさんに頼朝(大泉洋)が似てきているあたり、しみじみ。それを足固めの儀式と称するあたり、三谷幸喜も黒い黒い。
第16回「伝説の幕開け」につづく。
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