最初はどうなることやらと思ったんですよ。なにしろ解雇された会社に忍びこんで逮捕された青年。どこか投げやりな彼が主人公。だいじょうぶかこいつが主役で。
刑務所行きを逃れるただひとつの方法。それは、彼の唯一の血縁者である伯母の土地に立つクスノキの巨木の“管理”をすることだった……
新月と満月の夜に、そのクスノキを訪れる人々。彼らと交流することで青年は次第に変わっていく。うまいなあ東野圭吾は、とつくづく。最後の最後にそう来たか。
ちゃんとミステリとして成立しているし(いきなり名探偵になるのはちょっと無理ありましたが)、ちょいと泣かせる。娯楽小説の書き手として、彼の腕前は落ちていない。さすがです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます