事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

アルトマン三昧PART4「ザ・プレイヤー」The Player

2009-11-23 | 洋画

PART3「今宵、フィッツジェラルド劇場で」はこちら

Robertaltmantheplayer  実はこのシリーズ、PART3で終えようと思っていたんだけど、あまりにアルトマンがすばらしいのでやめられなくなった。しばらく、おつき合いください。

 今回特集するのは「ザ・プレイヤー」The Player。タイトルが意味するのは映画界の実力者のこと。定冠詞つきの「遊ぶ人」が映画人の生殺与奪の権を握るプロデューサーを意味するあたり、いかにもハリウッド。どのくらいの力をもっているかというと

「ぼくがイエスと言うと、ジャック・ニコルソンとスキーをする夢が現実になる」

ほどなのである。

ティム・ロビンスが演ずるそのザ・プレイヤーに、脅迫状が送りつけられる。脚本をボツにした若者のしわざと考えた彼は、その脚本家に接触をはかり、誤って殺してしまう。脚本家の恋人(グレタ・スカッキがかわいい)に心の安寧を求めた彼は、ライバル(20世紀フォックスからヘッドハンティングされた設定)を蹴落とすために“絶対にヒットしない脚本”を押しつけることに成功する。しかし……

カメラは撮影所を縦横無尽にかけめぐる。「近ごろの映画はカット!カット!カット!の連続だ」と登場人物に批判的に語らせているだけあって、オープニングはなんと8分2秒におよぶ長回し。実験映画じゃないんだから(笑)。相米慎二だってここまではやらない。

一時期、アルトマンを徹底的に無視したハリウッドのことを、冷たいタッチで描くのは無理からぬことかもしれない。出てくる企画は

「『愛と哀しみの果て』(Out of Africa)と『ブッシュマン』を組み合わせたらどうだろう」

「『卒業PART2』はうけるはずだ。あの三人(ダスティン・ホフマン、キャサリン・ロス、アン・バンクロフト)はまだ生きてるし」

もっとも、この提案をするのが「卒業」を書いたバック・ヘンリーであるあたりが笑わせてくれる。大方の評価は、拝金主義のハリウッドを批判した作品ということになっているが、しかしこのようにアルトマンはハリウッドそれ自体の奇矯さを(苦笑しながらも)愛しているのではないかと思う。もちろん、アルトマンの芸はその苦笑ぶりにあるわけで……

あーやっぱり終わらなかった。以下次号

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続・意外なふたり~お札の人

2009-11-22 | うんちく・小ネタ

「おしゃべりな父親」篇はこちら

♯88 岩倉具視 & 加山雄三

500omote_4

加山のお母さん(小桜葉子)が岩倉の曾孫。つまり加山雄三は岩倉の玄孫。そんな耳慣れないことばが出るくらい、この関係はスケールがでかくていい。

今のこどもたちは岩倉のことなんて知らないだろうなあ。っていうか、500円札って存在が想像できないかも。もちろんわたしは板垣退助の100円札をおぼえている世代なんで、500円玉の無遠慮な大きさを……実は愛しています。好きだー500円玉

次回は“便利な夫婦

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「冷戦交換ゲーム」The Cold War Swap  ロス・トーマス著 ハヤカワ・ミステリ

2009-11-22 | ミステリ

Thecoldwarswap ようやくマッコークル&パディロのコンビ初登場の作品までたどりつく。いやはやこれこそが現実のスパイだとストーリーは錯綜しまくり。えーっとこいつはどっち側なんだっけ?と登場人物一覧を何度もチェック。

訳が少し古いので「暗殺のジャムセッション」のときのように名台詞満載、というわけにはいかないのがちょっと残念。

もっとも、第二作との連関はきっちりしているので、続篇を待ち望んだ人たちはいらいらしただろう。それにしてもこれがデビュー作とは……さて、次は「クラシックな殺し屋たち」を……でぇえええええ。古書価格で5250円もするじゃないかっ!誰か復刊してくれーっ。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

刑事コロンボを全部観るVol.09「パイルD-3の壁」

2009-11-21 | テレビ番組

Vol.08「死の方程式」はこちら

Columbo02  またしてもタイトルがいい。原題はBlueprint for Murder(殺人の設計図)。建築家のお話なのである。彼は事業家(典型的な成金。テンガロンハットの男)の妻と関係することで金を引き出し、自分の都市計画を推し進めようとしていた。事業家は計画をせせら笑うのみ。彼を亡き者にして遺産を利用するには、しかし高い壁が待ち受けていた……

 成金が出資を断るセリフが泣かせる。

「真の事業家にとって大事なのは名誉じゃない。財布の中味だ。」

 なるほどね。そんな彼が若い妻に巨額の遺産を無造作に渡すはずもなく、年金として支給される信託扱いにしている。つまり、建築家としては事業家が“死亡したと判明しない形”で彼を排除しなければならないのだ。死体隠しが、今回のキーポイント。

建築家はパトリック・オニール。村井国夫そっくりの色悪ぶりがなかなか。クラシックファンである彼が、ウェスタンしか聴かない成金の車を運転するときに、思わずチューニングを変えてしまうことでコロンボに不審がられてしまう。

「クラシックとウェスタンじゃ、水と油だ。」

「建築屋と殺人も、だ。」

このあたりの丁々発止もいい。演出はピーター・フォーク自身。成金の前妻に愛玩されてしまうあたり、コロンボをかわいく描いている。成金の前妻が全裸でマッサージをうけながら質問に答えるスタイルは、古畑任三郎の「すべて閣下の仕業」にひきつがれたわけだ。そういえば演じた三田和代とジャニス・ペイジは似た雰囲気。

建築家は事業家に向かって

「墓石はわたしが設計させてもらうよ」

と吐き捨てる。事実、その墓石こそコンクリートパイル(杭)D-3なのではないかと思わせて……。あとは見てのお楽しみ。

Vol.10「黒のエチュード」につづく。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

うまい店ピンポイント~ラーメンの町Vol.11「尾浦」

2009-11-21 | 食・レシピ

開花庵特集はこちら

Oura06 鶴岡の西郷地区(わたしの新規採用校はここでした)からひっこして旧平田町の広域農道沿いに出店。なんでも西郷の地主が賃貸料をふっかけたものだから、怒った店主が「だったら出て行く!」と……これ、西郷の読者から教えてもらいました。確かに、怒ったら怖そうな店主だ。

で、おそろしく殺風景な場所に越してどうなったかというと……客が殺到しているのである。かなり広い駐車場なのにほとんど常に満杯。おそれをなして近づかなかったんだけど、行ったことのある人に話をきくと、回転が速いからそんなに待たなくてもいいんですって。

息子と行ってみた。ふたりとも壮絶に腹が減っていたので「大盛りふたつ」。出てきたラーメンを見て呆然。なんだこの量はっ!息子はいきなり携帯で画像を友だちに送っていた。「うけると思う」。

いやしかし食べ終えるのに苦労する。味は……正直、わたし向きではなかった。ケンちゃん系の“強い味”が好きな人にはたまらないのだろうが。

味好(あじよし)関係の人だと聞いていたけど、あれともちょっと味は違うような。

次回は、その「味好

つい先日、内陸の連中が尾浦にチャレンジ。チャーシューメンのチャーシューが、どんぶり以上の面積を誇っていたことに驚いていた。

「肉でふたがしてあるみたい」

そうでしたか(笑)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明細書を見ろ!09年11月年末調整特集号

2009-11-19 | 明細書を見ろ!(事務だより)

09年10月号「いい話と悪い話」はこちら

08年年末調整特集号はこちら

07年年末調整特集号はこちら

Snowprincep  日本のサラリーマンにとって、すでに季節の風物詩である年末調整。そもそもこの年末調整とは……小一時間ほど語ることもできますが退屈な話になるので今回はやめておきます。

 昨年までとの変更点はわずかにふたつ。

1.住宅の省エネ改修のために借金をした場合の控除が創設された。

2.住宅ローン減税額がでかくて所得税だけでは還付しきれなかった場合、住民税の方から還付するために市町村窓口に行く必要があったが、年末調整だけですむようになった。

……おそらく何人か対象者がいると思います。心当たりの人は相談してください。

 さて、それでは注意してほしいことだけ説明します。

◎給与の支払者が昨年とは違うので訂正してください。

→言うまでもありませんが県知事は齋藤弘から吉村美栄子にかわりました。

※どうやらウチの事務は『山形県知事・吉村美栄子』というハンコをつくるのを忘れたんだな、と思ったあなた。正解だけど年に一回ぐらい雇用主の名前を手書きしてもバチは当たりませんてば。

◎共働きの場合、子どもや親の扶養がダブらないように。

学生だからといって稼いでいないと思ってはいけない

→税務署はどうやら学生の所得把握に本腰を入れているようで、追徴される例が数多くみられます。学生をなめてはいけません。

 少しでも疑問点があったら事務に確認してください。間違って記入されるぐらいなら空白の方がまだましなので。

クリアケースに入れて、11月30日(月)までホリへ。○○小(離島)のみなさんは、間に合わなかったら最悪FAXだけでも!

画像は来月公開「スノープリンス」。旧吹浦小学校の校舎が撮影に使われました。某校の事務職員がエキストラで参加しましたが、こいつはメイクのときに隣にすわった壮絶な美人が檀れいだと気づかなかった大馬鹿野郎です。歯ぁくいしばれ。

※09年12月ボーナス号~「明細書を見ても……」はこちら

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続・意外なふたり~おしゃべりな父親

2009-11-19 | うんちく・小ネタ

「夜霧の人」はこちら

♯87 明石家さんま & IMARU

Imaru 元妻や娘のことをさんまがネタにすることを嫌う人もいるかもしれないが、わたしは支持する。なんと言っても芸になっているもの。うけとめる大竹しのぶもたいしたものだ。

IMARUについては、元同僚の子どもがやはりカナダに留学していて(しかも同じ街)、何度も何度も彼女を見かけたそうだ。

「すごく小さくって……派手なんだそうです」

彼女が芸能界デビューした今、その情報はマジで納得できます。

次回は「お札の人」おふだじゃないよ、おさつだよ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本の警察 その28「疑心 -隠蔽捜査3-」今野敏著 新潮社

2009-11-18 | 日本の警察

その27「太陽を曳く馬」はこちら

Gishin01 1作目「隠蔽捜査」、2作目「果断」よりも歴然とレベルダウン。主人公の竜崎が魅力的なのは、自己評価なるものをまったく行わず、原理原則だけで生きることに充足しているあたりだ。だからその有能さを賞賛されても「???」なのがかわいいわけ。このあたりは安積ハンチョウと共通している。

ところが、今回は原理原則から離れて“交通事故のような恋愛”に陥ってしまう。まあ、その恋愛地獄から竜崎らしい方法で脱出(普通の人は絶対無理)するのは笑えるんだけど。

事件そのものがシンプルにすぎるのもいかがなものか。来日するアメリカ大統領を爆殺しようとするテロリストをどう防ぐかの丁々発止が、(今野が大好きな)ニヒルだけれど権力に弱い一匹狼の単独行動だけで収束するのもなあ。

第三作までで、息子・妻・娘のほのぼの家庭劇はほぼ終了か。あ、だから次回からは愛人が必要となったのかな?

重厚長大な「太陽を曳く馬」の直後に読んだので点が辛くなったかもしれません。そこんとこよろしく。

その29「機動隊」につづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続・意外なふたり~夜霧の人

2009-11-17 | うんちく・小ネタ

「もぎりの人」篇はこちら

♯86 石原裕次郎 & 向井千秋(宇宙飛行士)

Nextyujiro 患者と執刀医の間柄。向井さんは旦那の髪型で印象深いけれど、こんな小ネタもあったんだなあ。いまどうしているんだろう。

 ウィキペディアによれば、外科医をしていた1981年に、解離性大動脈瘤で入院した石原裕次郎の担当医の一人を務めている。この時の白衣がカンフーの道着に似ていたため、裕次郎から「カンフー姉ちゃん」とあだ名をつけられていたとか。知らなかった(笑)

7月に行われた裕次郎の法要が、はたして石原プロにとっておいしい商売だったかは微妙ではないだろうか。曹洞宗の檀徒がこんなことを言ってはいけないのかもしれないけれど(父親はその7月に総持寺にお参りに行っています)、小林専務という一種のスターがいても、肝心の“次の裕次郎”が育たないではないか。あのプロダクションから新たなスターがあらわれるのは、いったいいつのことだろう。

次回は「おしゃべりな父親

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

刑事コロンボを全部観る~Vol.08「死の方程式」

2009-11-17 | テレビ番組

Vol.07「もう一つの鍵」はこちら

Roddy_mcdowall02  今回の最大の特徴は、なんといっても“爆殺”という派手な方法をとっていること。犯人は大会社の創業者の御曹司。血のつながっていない叔父によって会社が身売りされそうになっていることに腹を立て、化学の知識を利用して爆弾を叔父の葉巻箱に仕込み……でもね、設定だけ考えるとちょっと疑問も。

 この御曹司は気ままに研究や遊びをつづけ、身売りにあたっては相応の報酬が与えられることになっている。結果的に彼は叔父を殺すことで社長のポストを手に入れ、無邪気に喜んでいるが、社長の椅子ってそんなにほしいものなのだろうか。自由なバガボンドでいるよりもエスタブリッシュメントでいる方を選択する気持ちがわたしにはわからない。あ、そんなことを地方公務員に言われたくはないですか。そうですか。

 まあ、愛人関係にあり、しかし最後には使い捨てにしようとする社長秘書(「禁断の惑星」のアン・フランシス!)がかなり魅力的なので、そっちならわかるんだけど。ラストで、コロンボは秘書についていいセリフをかますしね。

 原題は「Short Fuse」。英語では「かんしゃく持ち」という意味でも使われるのだとか。ヒューズとのダブルミーニングになっているわけ。その、短気な御曹司を演じたのは、「二枚のドガの絵」のキム・ハンターに続いてこれまた「猿の惑星」でおなじみのロディ・マクドウォール。小狡そうな動きがセクシーですらある。

彼には熱狂的なファンがいて、永六輔の娘である千絵などはそのことを常に広言していたっけ。野沢那智のファナティックな吹替ともあいまって、精神のどこかが脆いボンボンをロディは達者に表現している。その脆さゆえに、コロンボの最後の罠が有効だったとも言える。

にしても、ロープウェイという密室を利用したコロンボの策略はかなりリスキー。今回は要するに「かんしゃく持ち」VS「はったり屋」の対決だったわけだ。

Vol.09「パイルD-3の壁」につづく。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする