第二十三回「攻略」はこちら。
前回の視聴率は18.9%。華やかな回だったからなあ。さあ今回は北条がいかに滅んでいくかを、世代の違いによって描く。
旧世代である北条氏政は死を覚悟していて、それを家康、上杉景勝、真田パパは翻意させようと必死(でもパパは上杉のように髻=もとどりを切る覚悟はない)。しかし氏政は例によって汁かけ飯を最後の晩餐にして冥土に向かう。
籠城するうちに、外の世界が見えなくなるのは“城のなかの人”秀頼といっしょ。小田原城の鉄壁さを信じた彼もまた、偉大な祖先に負けたといえるかもしれない。にしても、高嶋政伸はずいぶんと奇怪な役者になってたんだなあ。かつてナンシー関に“ぬいぐるみ演技”と喝破された彼だけれど、ぬいぐるみも突き抜ければ味が出てくるわけだ。
新世代の信繁や信幸は、無駄な争いはもうおしまいだと考えている。しかし新しい世の代表格である石田三成は、頭でっかちな戦しかできず、真田パパの卑怯な手を評価せざるをえない。このあたりの皮肉は効いています。
問題は、伊達政宗。真田パパは「片倉某」に謀議を持ちかけようとする。おお、「独眼竜政宗」でひときわ目立っていた(名前も最高)の片倉小十郎ですか!あのときの西郷輝彦はよかったなあ。しかしいざ現れた政宗は、秀吉のご機嫌取りに終始する。失望する旧世代。彼が最後の望みだったのに。しかし、政宗の胸中は……
おそらく宮城県の方々は激昂するかもしれない設定なので、彼がやるのは秀吉のためにずんだ餅を搗くことだ。わたしは苦手だけど、山形県の内陸から宮城の方々は大好きなんだよねあれ。うーん、わからん。
今回のテーマが集約されているのは、氏政を旧世代がうらやみ
「あやつは、おのれのための戦をやっておる」
というセリフ。戦のない世のために、新世代は面白くもない戦を志向しているではないかという苦言に聞こえる。しかし、何万という兵を率い、日の本を分ける戦を行うのは、無駄な争いを拒む信繁だったという歴史の皮肉もこれから効いてくる。
ラストシーンでようやく女優登場(笑)。こりゃあ視聴率的には苦しいだろう。17%台かな。
第二十五回「別離」につづく。