事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「拳銃使いの娘」She Rides Shotgun ジョーダン・ハーパー著 ハヤカワ・ミステリ

2019-12-25 | ミステリ

棚の本が“呼んでいる”ってことはないですか。どう考えてもお前向きの本じゃないかと。わたし、呼ばれたんですよこの「拳銃使いの娘」に。

でも、図書館で借りたら返却期限が来てしまい、泣く泣く読まないままで返してしまいました。そしたら年末のミステリランキングを騒がせてやがる。こういうときは悔しいよね。

さあ再チャレンジ。こんな描写が出てきます。

“弾傷のことは昔ニックが教えてくれた。弾をえぐり出すなんてのは、映画の中のでたらめだ。むりにひっぱり出すのは、そのままにしておくより傷によくない。ニックは留置場で聞いた話をネイトにしてくれた。ロサンジェルスの三人組の拳銃強盗の話だ。ひとりが肩に弾を食らい、放っておくと死にそうなほどひどく出血していた。しかし弾傷があると、怪我人を病院へ連れていくわけにいかないから、そいつらはどうしたかというと、獰猛なピットブルを怪我人の肩に食いつかせた。そして犬が弾傷をぐちゃぐちゃのハンバーグにすると、怪我人を犬に襲われたといって病院にかつぎこんだ。この話の教訓は、撃たれるなということだ。

……やっぱり俺向きじゃないか(笑)。このオフビートさは大好き。

刑務所のなかでボスの弟を殺してしまい、家族全員の抹殺命令が出る中で、11才の娘と強盗しながら逃亡する拳銃使い。モデルになっているのはどう考えても「レオン」。殺し屋ジャン・レノナタリー・ポートマンを守るお話。娘が実は天才児であるあたりも参考にしたはずだ。書いたのはテレビ業界でヒットを飛ばしている新人ジョーダン・ハーパー。

勢いだけでなく、父親は死んだ兄の言葉で、娘はマスコットの熊を通じてしか親子がなかなかコミュニケートできないあたりの設定もにくい。おすすめですこれ。

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明細書を見ろ!2019年差額号PART2 袋の中身

2019-12-24 | 明細書を見ろ!(事務だより)

PART1「先生になりたくない最終回」はこちら

差額の内容をお知らせします。

額としていちばん大きいのは勤勉手当の0.05月分でしょうか(残念ながら再任用者は据え置きです)。

若年層(20代)の給料額を500円~1000円アップさせ、それ以上は100円から200円アップにとどまっているので(残念ながら管理職は据え置きです)、総額としては近年でいちばん小さいものになっているかも。

でもね、たとえ100円でも、生涯賃金や年金額を考えると、少しでもアップしたのは大きいことなんですよ。と、自分を納得させています。それではみなさん、よいお年をお迎えください。

画像は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」Star Wars: The Rise of Skywalker

ジョージ・ルーカスが40年以上も前にエピソード4を撮るときに、全9部作で考えていたのは有名な話。ただし、本人は6作でギブアップ。そしてようやくエピソード9の公開。年休とって初日に映画館へ。ルーカスフィルムのロゴが映るだけで喜ぶ単純な客なので、あの終わり方に納得。ひたすら納得。あの場所で終わってくれるなんて……1作目は新宿で見たよな、4作目は山形だ。息子や娘と観ることもできたし、満足なスター・ウォーズ人生でした(笑)

2020年1月号「2020」につづく

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うまい店ピンポイント 2019年冬 雲ノ糸

2019-12-24 | 食・レシピ

忘年会篇その2「ほたる」はこちら

いいもんばっかり食ってんじゃねーよっ!

と吉本系のアニキに怒られそう。ちゃんとラーメンも食べてますよ。ある理由で指に絆創膏(カットバン、キズバン、サビオ?)を貼りつつ、さあ煮干しをいただきましょう。雲ノ糸酒田店。

おいしい。それは間違いないんだけど、行った連中がみんな言うのは

「あのカウンターはきついなあ」

馬蹄形、というかU字型のカウンター。満員のときはフィーリングカップル15VS15って感じ。

わたしが行ったときもとなりがカップル。でも顔をちょっと上げると女性のほうと目が合ったりする。いやわたしには妻がいるしあなたにも彼氏が、とか余計なことを(笑)。

同僚が

「え?あそこは危ない店じゃないんですか?なんか、宗教っぽくないですか店名が」

芥川龍之介は関係ないと思います。

忘年会篇その3「善べえ&紅蘭」につづく

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明細書を見ろ!2019年差額号 先生になりたくない最終回

2019-12-23 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2019年12月号PART2「差額支給日」はこちら

さて、長々とつづけてきたこの特集もさすがに終わりにします。講師が足りないという話でしたね?

少人数指導などを達成するために、同じ金額で教員を増やすには非正規の職員を増やせばいいのは道理。それが恒常化したことで、いざという時に欠員を補充する候補者が物理的に減ったのが原因のひとつ。

もうひとつは、採用試験の倍率が低くなったために、合格するまで講師として勤めようという人材も少なくなったことです。

その結果、今年の5月1日現在で(確定値はこの日に出ます)全国の小中学校で1200人以上の教員が足りていないという衝撃の数字が出ました。そしてこの欠員は年度末に向けてどんどん増えています。これは決してよそのお話ではなくて、この地域でも実際に起きたことなのです。

学校という職場のブラックさが表ざたになる → 教員の志望者が減る → 採用試験の倍率が下がる → 講師の候補がいない → 欠員が生ずる → ますます学校という職場がきつくなる

……こんな負のスパイラルに陥っているのが現在の学校かと。この流れを断ち切るにはどうすればいいのでしょうか。

簡単です。誰でも思いつくことです。

解決策その1:人を増やす

解決策その2:4%の支給をやめて教員にも時間外勤務手当を支給する

解決策その3:講師の待遇を改善する

変形労働時間制などというわけのわからない策(ですらない)などより、はるかに実効が上がるはず。

もちろんすべての解決策には金がかかります。だからこそ効果があると考えられるのです。もしも教職調整額の支給をやめて、教員の時間外勤務に手当を出すことにしたら、総がかりで教員の勤務を短くする方策が本気でとられるはず。

講師の待遇に至っては、号給が頭打ちになるなど、現在の待遇が悪すぎるのです。正規採用になったら改善されるから、という理屈が通じる時代ではなくなったのに気づかない結果がこの状態を生んだのではないかと。【先生になりたくない・おしまい】

画像は「興行師たちの映画史 エクスプロイテーション・フィルム全史」柳下毅一郎著 青土社
映画とは単体では成立せず、そこに観客がいることでようやく映画になる。だから興行という側面はとてもあのメディアにとってだいじ。多くの、そしてそのなかの多くが多分に山師である興行師という存在はひたすら面白いっす。

PART2「袋の中身」につづく

 

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「十二国記 白銀の墟 玄の月(一)~(四)」小野不由美著 新潮文庫

2019-12-22 | 本と雑誌

発売1ヶ月で4巻合計して254万5千部。シリーズ累計が1200万部というお化け小説。出版界で今年もっとも景気のいいお話は文句なく「十二国記」だ。

約18年ぶりの長篇。短編集は出ていたものの、あまりに久しぶりなので前の作品とどう連関しているのかさっぱり忘れてました。でもそんなことが気にならないくらいの面白さであることは保証します。

「魔性の子」に始まる十二国記の世界観に付き合い始めて二十年以上になる。その間、勤務校の図書館に次々に購入しつつ(笑)、さあ新作だ。

今回は十二の国のうち、北東に位置する戴国のお話。正当な王が何らかの理由で行方が知れなくなり、偽王が立つ。このお話が周到なところは、この偽王がライバルだった真の王を排除したにもかかわらず、国政への興味をまったく失ったように見えること。それはなぜか。

同世代である小野不由美が、これまでよりも冷徹な眼で人間を見つめるようになったからこその展開か。で、困ったことにこの偽の王もまた魅力的な人物なの。

この物語は、政治小説であり、山岳小説であり、架空世界の紀行文でもある。そして圧倒的に戦記なのだ。これだけの濃密で重い物語がベストセラーになるのは、これまでのシリーズがコンスタントに受け入れられていたからだろう。

十二国記は、その時々の現実に対する小野不由美の批評が(うっすらとではあるが)仕込まれている。国を統べるとはどんなことなのか、権力に歯向かうにはどのような覚悟が必要なのかが静かに語られ、このシリーズが少女小説スタートだったことを忘れさせてくれます。世界のルールを監視する“天”が、実はさほどに万能でも寛容でもないあたり、渋い。

読み終えて、しみじみと満足。長い物語に伴走してきて、ほんとうによかった。

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「スカイウォーカーの夜明け」をもういっちょ。

2019-12-21 | 洋画

PART1はこちら

9作目の「スカイウォーカーの夜明け」がうれしいのは、きちんと活劇としての面白さがつまっていることだ。宝(「道を示すもの」)探しと追いかけっこ、そして肉弾戦。ヒロインのレイ(デイジー・リドリー)とカイロ・レン(アダム・ドライバー)のライトセイバーを使った対決は見応えがあるし、まさか海まで舞台にするとは思わなかった。

それにしても主役のふたりは魅力的。特にデイジー・リドリーは超人的なアクションをこなしながら、のようなものまで感じさせてくれた。スター誕生だ。

SWは基本的に“父親を殺しながら主人公が成長する”お話で、ネタバレぎりぎりだけれども今回もその線は守られている。だからファン、というよりマニアな客が多いこのシリーズをどう終わらせるか、作り手たちがかなり考えたであろうことがうかがえる。

特に、わたしのようにリアルタイムに全作品を見てきた人間にとって、ラストの舞台があそこ(ふたつの太陽が浮かぶ星ですよっ)なのには感涙。そのふたつの太陽に……あぶないあぶない。

さて、もちろんこれからもSWは作り続けられることと思う。そうでもなければディズニーがルーカスにたいそうな金を支払ったりするものか。でもね、わたしの心の中では既に完結しているし、なんとか生き延びて全作品を見ることができたことで、大げさに言えばわたしの世代の人間として“やらなければならないことを成しとげた”ぐらいの気持ちでいます。

1作目は新宿で見たんだよな、4作目は山形の今は無きシネマ旭だった気がする。息子とも、娘ともいっしょに見ることができてしあわせなSW人生だった。

遠い遠い昔、はるか彼方の銀河で繰り広げられたお話の終章。レイアが一度だけ「お姫様」と声をかけられるシーンをお見逃しなく。

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「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」Star Wars: The Rise Of Skywalker

2019-12-20 | 洋画

ジョージ・ルーカススターウォーズ(以下SW)を全9部作で考えていたのは、わたしの世代にとっては常識。エピソード4から開始して3本、そしてエピソード1から3まで撮り、ルーカスはここでギブアップ。もうお腹いっぱいということだったろう。というか、1作目がとんでもなくヒットしたのだから、勢いにのって2作目に向かえばいいのに、彼は監督を他の人にまかせたのだ。

ここ重要ですよ。テストに出しますよ。

つまり彼は、SWの世界をコントロールしようという気持ちはあまりなかったのだと思う。結局、最初の三部作でもっとも評価が高かったのは2作目の「帝国の逆襲」だったし。

そこからエピソード1の製作までやたらに時間がかかったのも、実はルーカスはSWそのものよりも、おかげでいくらでも金を注ぎ込めるようになった特撮スタジオや音響に淫してしまったのだと思う。

それでもなんとか理力(フォース)をふりしぼって6作まではつくりあげた。で、退場。権利を近ごろ絶好調のディズニーに渡し、さあ最後の三部作。J.J.エイブラムスが監督したエピソード7「フォースの覚醒」は傑作だった。あの人はこの偉大なシリーズを撮ることにあまり気負っていなかったように見える。職人として、やることはやるよと。

エピソード8「最後のジェダイ」には、思ったより批判が集まった。まあ、ルーク・スカイウォーカーはあいかわらず駄々っ子だなあとは思いましたが(笑)。

そしてついにエピソード9。朝からそわそわ。年次有給休暇をとって映画館にかけつける。およそ我慢できるものではない。年休ってこういうことのために使うのが本筋ですよ。館内には平日にもかかわらずわたしと同じようなタイプ(どんなだ)のオヤジがいっぱい。みんな、我慢できなかったんだねえ。

そしてルーカスフィルムのロゴが画面に。じーん。以下次号

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明細書を見ろ!2019年12月号PART2 差額支給日

2019-12-19 | 明細書を見ろ!(事務だより)

PART1「先生になりたくないPART5」はこちら

「差額支給日を推理する」はこちら

ということで本日(20日)、県議会は最終日を迎え、本会議でわたしたちの給与に関連する議案の採択を、ちょうど今ごろ行っているところだと思います。まもなく教育事務所から支給日の連絡がくるでしょう。その内容はSSAでお知らせします。

ってことでネタはまたしても開店閉店

ただでさえ渋滞しているイオンタウンから泉陸橋までが、近ごろもっと混みあっているのにお気づきですか。そうです。某パチンコ店のグランドオープンを明日にひかえ、この一週間ずっと整理券を配布しているからです。

いいですか、パチンコをやるんじゃなくて、整理券をゲットするだけでこの状態。明日はあの道は通らないほうがいいかも。

本日の一冊は「ミステリーの人間学 英国古典探偵小説を読む」廣野由美子著 岩波新書
こういうミステリ論が読みたかったんだよなー。京都大学ではこういう講座もあったのか。英文学としてのミステリって側面は確かにある。ディケンズを読み直さなければ。

……すみません嘘つきました。ディケンズをがっちり読んだことないって(これでも英文卒)。にしても、綾辻行人有栖川有栖などの関西系の人たちが当時、一気にミステリに突き進んだ動き(それにはもちろん小野不由美もからんでいる)って何だったんだろう。うらやましい。

2019年差額号「先生になりたくない最終回」につづく

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明細書を見ろ!2019年12月号 先生になりたくないPART5

2019-12-18 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2019年12月期末勤勉手当号「先生になりたくないPART4」はこちら

令和元年度 千葉市講師登録のご案内

~子どもたちの成長のためにいっしょに働きませんか~

《勤務時間》 (相談に応じます)

〇常勤講師(週5日 38時間45分勤務) 産休・育休期間中の代替講師など

〇非常勤講師(週2~5日勤務) 

※本年度内に勤務できる方を探しています。

……SNSなどで拡散し、一気に有名になった千葉市教育委員会が保護者宛に配布した求人チラシより。千葉市だけでなく、全国いたるところで事態が顕在化しました。講師が、足りないのです。

直接の原因として、教員免許法の改正が影響したという考え方もあります。10年しか有効ではなく、更新は有料という泣かせる“改正”が引き金になったというのはうなずける話です。

しかし、もっと根本的な問題が。

こむずかしい話はやめておこうと、前はスルーした【総額裁量制】というやつが影響しているのは確実。また昔話をすると、教職員の数は、定数法と義務教育費国庫負担法というふたつの法律によって全国一律に決まっていました。この学級数なら教職員はこれだけ必要、その給料の半分は国が負担する、という形で。

ところが、その負担が1/3に減り、おまけに導入されたのが総額裁量制です。これはどんなものかというと、国が定めた基準を充たせば、地方ごとに自由に教職員の給与や人数を変更してもかまわないという制度。

学校事務職員がなぜこの制度に詳しいかというと、こう想像したから。

【教職員の配置の自由度が上がるのなら、学校事務職員や栄養職員を減らして教員を増やそう】

という自治体が出てくるのではないかと。

この心配は無理ありませんでした。学校事務職員と栄養職員は、国庫負担からはずせと旧大蔵省から何十年も要求され続けていたからです。だからこの総額裁量制が適用されるとすれば、学校事務職員を各校に配置するのをやめて(中心校に複数配置するなどして)浮いた人数を教員に振り向ければ教育効果があがるのではないか……

ところが、地方は別の選択をしました。進んだのは教員の非正規雇用化です。ああこんな長い話をするつもりじゃなかったのに。つづきは差額号で。

画像は「屍人荘の殺人」(東宝)

主演:神木隆之介、浜辺美波

昨年のベストミステリの座を総取りした原作の映画化。事務室の相方はさっそく子どもといっしょに見たそうで

「どうしてあんなに怖いって教えてくれなかったんですかっ!」

そんなに怖かったかなあ。“あれ”が出てくることは教えたよねえ?タイトルにもちゃんと書いてあるし(笑)。

PART2「差額支給日」につづく

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「牯嶺街少年殺人事件」(1991 台湾)

2019-12-17 | 映画

3時間56分の大長篇。世評高く、映画好きの間ではよくこの作品の名が出るが、わたしは観たことがなかった。あ、タイトルは「クーリンチェ少年殺人事件」と読みます。実際に台湾で起きた事件をもとにしたエドワード・ヤン監督作品。91年製作。

実は評判のわりに、実際に観たことがある人は圧倒的に少ない。なぜなら、初公開のときは日本では大コケ。おまけにコンテンツの権利を持っていた会社が倒産したため、DVD化もされていなかった。

ここで登場したのがなんとマーティン・スコセッシ。彼の会社がデジタルリマスター版を製作。おかげで再公開され、鶴岡まちなかキネマでも上映された。行けなかったけど。

さて、作品情報をほぼ皆無の状況で見始める。4時間もある作品だからきっと退屈するに違いない。酒でも飲みながら……そんなやわな観客を弾き飛ばすような映画だった。

背景は60年代はじめの台北。大陸から渡ってきた外省人たちの屈託。そのいらつきは彼らの子に伝染し、少年たちは抗争をくり広げる。そして、ひとつの殺人が起こり……

ああ、タイトルの殺人はこのことをさしているのかと納得し、はたしてこれからどんな展開になるのかと思ったら……うわあ。

3時間56分間という時間が必要だったのがよくわかる。それはある人物の絶望と、日本とアメリカの影響、そして大陸への思慕と憎悪に揺れる台湾という国を描くために。

光り輝く夏の一日(英題はA Brighter Summer Day)になるはずだったその日が、一転して漆黒に染まる展開を、エドワード・ヤン(59才で病没)は絶妙に描く。特に懐中電灯を利用して、光によって闇を切り裂く映像がすばらしい。退屈なんかまったくしませんでした。大傑作

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