2023年10月号「MONEY」はこちら。
年末調整号でお伝えしたように、近ごろは税金について考えさせられることが多いようです。まず思い浮かぶのが定額減税。今のところ伝わっているのは
・令和6年度税制改正において、納税者及び配偶者を含めた扶養親族1⼈につき、令和6年分の所得税3万円、個⼈住⺠税1万円の定額減税を行う
・その規模は、過去2年間の所得税・個⼈住⺠税の税収増と⾒合う額とする。3兆円ぐらい?
……減税というのは政治家にとって究極の人気取り政策。それなのに、現内閣の支持率は釜の底が抜けたように(古くさい表現ですが、ジブリの「天空の城ラピュタ」のおかげで今の子どもたちにも通じます)下降しています。それはどうしてかといえば
・物価高対策と言いながら効果があらわれるのが来年の中ごろなので遅すぎる
・物価高対策と言っているそばから子育て対策だと言い始めて混乱
・いずれ増税することがわかりきっているので国民がニヒっている
・税収が増えたのなら借金返済に回すのが筋ではないかと考える人が増えた
……こんなところでしょうか。しかし最も大きな要因は、身もふたもない言い方になりますが、これが人気取り政策にすぎないことがバレバレだということでしょう。
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そしてまさしく税を考える週間の真っただなかに更迭されたのが財務副大臣。文春が報じたのは、彼が経営する会社が、税金の滞納によって何度も差し押さえをくっていたこと。
これは衝撃的でした。税金を集める担当省庁の副大臣が、税金を滞納していたのです。しかも、驚いたことに、滞納したのは固定資産税だったとか。
よく考えてくださいよ。その年その年によって会社は儲けたり損したりするでしょう。そのたびに税金の額は大幅に変動するはず。だからたまに遅れることだってあるだろう……でも固定資産税は違います。額はほとんど変わらないでしょうから、まともな経営者ならその分は最初に納付するように準備します。
ところが、この税理士の資格を持つ(!)副大臣はそうしなかったのです。うがった見方をすれば、税金の知識が豊富だからこそ、このラインまではひっぱれるだろうと認識していたのではないかとすら。
もっとうがった見方をすると、彼のことを現首相はすぐに更迭しませんでした。“辞任ドミノ”をおそれて、とマスコミは解説していました。しかしわたしはひねくれものなので、首相はもっと違う目的で更迭を遅らせたのではないかと思うのです。
それは、副大臣が安倍派の出身だったことが影響しているのではないかと。
単純な見方だなあ、最大派閥だから気を使って辞めさせなかったってこと?……違います。政務三役の候補については、各派閥がリストアップします。身辺調査が甘いと批判されているようですが、この副大臣が札付きであることが、この派閥のなかで本当に知られていなかったのか。
まあ知られていなかったにしろ、あんたたちが推薦したヤツのせいでこんなにおれは苦労しているんだぞ、というところを安倍派に見せつけたかったのではないかと邪推するのです。
現首相の最優先課題は来年の総裁選の再選だとか。とすれば、リーダーすら決められずにいるあの派閥に、少しでも恩を売っておこうと……ほんとに邪推だといいなあ。
さあくどいようですが年末調整の季節です。さんざんモチベーションを下げるようなことを言っといてなんですが、納税は国民の義務です!(笑)きちんと書類は提出してくださいね。
画像は「愛にイナズマ」(2023 東京テアトル)監督:石井裕也 出演:松岡茉優、窪田正孝、佐藤浩市
酒田には追い風が吹いている(○ジ代行は倒産しちゃったけど)。ラーメンは日本一になったし北の若は新入幕だ。がんばれダイスケ。
とか言いながら東根や鶴岡でこんな映画ばかり観ているので、東根(二代目高橋商店、龍上海東根店)や鶴岡(龍上海鶴岡店)でしか近ごろラーメン食べてません。佐藤浩市が奇跡の名演。すごい役者になったなあ。
2023年12月期末勤勉手当号「税についてもっと考える」につづく。