事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

明細書を見ろ!2023年11月号 税を考える週間2

2023-11-21 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2023年10月号「MONEY」はこちら

年末調整号でお伝えしたように、近ごろは税金について考えさせられることが多いようです。まず思い浮かぶのが定額減税。今のところ伝わっているのは

・令和6年度税制改正において、納税者及び配偶者を含めた扶養親族1⼈につき、令和6年分の所得税3万円、個⼈住⺠税1万円の定額減税を行う

・その規模は、過去2年間の所得税・個⼈住⺠税の税収増と⾒合う額とする。3兆円ぐらい?

……減税というのは政治家にとって究極の人気取り政策。それなのに、現内閣の支持率は釜の底が抜けたように(古くさい表現ですが、ジブリの「天空の城ラピュタ」のおかげで今の子どもたちにも通じます)下降しています。それはどうしてかといえば

・物価高対策と言いながら効果があらわれるのが来年の中ごろなので遅すぎる

・物価高対策と言っているそばから子育て対策だと言い始めて混乱

・いずれ増税することがわかりきっているので国民がニヒっている

・税収が増えたのなら借金返済に回すのが筋ではないかと考える人が増えた

……こんなところでしょうか。しかし最も大きな要因は、身もふたもない言い方になりますが、これが人気取り政策にすぎないことがバレバレだということでしょう。

そしてまさしく税を考える週間の真っただなかに更迭されたのが財務副大臣。文春が報じたのは、彼が経営する会社が、税金の滞納によって何度も差し押さえをくっていたこと。

これは衝撃的でした。税金を集める担当省庁の副大臣が、税金を滞納していたのです。しかも、驚いたことに、滞納したのは固定資産税だったとか。

よく考えてくださいよ。その年その年によって会社は儲けたり損したりするでしょう。そのたびに税金の額は大幅に変動するはず。だからたまに遅れることだってあるだろう……でも固定資産税は違います。額はほとんど変わらないでしょうから、まともな経営者ならその分は最初に納付するように準備します。

ところが、この税理士の資格を持つ(!)副大臣はそうしなかったのです。うがった見方をすれば、税金の知識が豊富だからこそ、このラインまではひっぱれるだろうと認識していたのではないかとすら。

もっとうがった見方をすると、彼のことを現首相はすぐに更迭しませんでした。“辞任ドミノ”をおそれて、とマスコミは解説していました。しかしわたしはひねくれものなので、首相はもっと違う目的で更迭を遅らせたのではないかと思うのです。

それは、副大臣が安倍派の出身だったことが影響しているのではないかと。

単純な見方だなあ、最大派閥だから気を使って辞めさせなかったってこと?……違います。政務三役の候補については、各派閥がリストアップします。身辺調査が甘いと批判されているようですが、この副大臣が札付きであることが、この派閥のなかで本当に知られていなかったのか。

まあ知られていなかったにしろ、あんたたちが推薦したヤツのせいでこんなにおれは苦労しているんだぞ、というところを安倍派に見せつけたかったのではないかと邪推するのです。

現首相の最優先課題は来年の総裁選の再選だとか。とすれば、リーダーすら決められずにいるあの派閥に、少しでも恩を売っておこうと……ほんとに邪推だといいなあ。

さあくどいようですが年末調整の季節です。さんざんモチベーションを下げるようなことを言っといてなんですが、納税は国民の義務です!(笑)きちんと書類は提出してくださいね。

画像は「愛にイナズマ」(2023 東京テアトル)監督:石井裕也 出演:松岡茉優、窪田正孝、佐藤浩市

酒田には追い風が吹いている(○ジ代行は倒産しちゃったけど)。ラーメンは日本一になったし北の若は新入幕だ。がんばれダイスケ

とか言いながら東根や鶴岡でこんな映画ばかり観ているので、東根(二代目高橋商店、龍上海東根店)や鶴岡(龍上海鶴岡店)でしか近ごろラーメン食べてません。佐藤浩市が奇跡の名演。すごい役者になったなあ。

2023年12月期末勤勉手当号「税についてもっと考える」につづく

 

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明細書を見ろ!2023年11月年末調整号 「税を考える週間」

2023-11-20 | 明細書を見ろ!(事務だより)

Wynton Kelly - Willow Weep For Me

11月11日から11月17日までは、税について考える週間になっています。国税庁によれば

「国民の皆様に租税の意義や役割、税務行政に対する知識と理解を深めていただくため」

だそうです。しかし今年に関しては、別に国税庁が旗を振らなくても、納税者はみんな税について考えることになりました。それはもちろん、例の定額減税と財務副大臣の不祥事によるものです。

詳細については11月号にまわすとして、まずは年末調整。

具体的にどんなことをするかというと……。

◆令和5年分扶養控除申告書の内容をチェック。たいがいの人は去年の年末調整時に作成しているので、その内容に変更がないか。

◆令和6年分扶養控除申告書の内容をチェック。

◆基礎控除申告書の内容もチェック。

◆令和5年分保険料控除申告書を記入する(学生協扱いの証明書は同封しておきました)。自宅に届いているであろう保険会社の証明書を忘れずに。

◆住宅ローンがある人は、住宅借入金控除申告書を記入する。

◆iDeco関係の控除がある人は直接相談を。

◆申告書に押印は必要ありません!

これらの書類を事務室へ11月28日(火)までに提出を。

ネットフォルダの「事務部」に「年末調整」というフォルダをつくり、各申告書のPDFファイル(入力できます)をしこんでおきました。こちらを利用していただいてもけっこうです。ただ、端末によっては相性の悪い人もいたので、その際は手書きで全然かまいません。

本日の1曲はウィントン・ケリー。夜の国道を走っていたら、この曲が流れてきて興奮。

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どうする家康 第44回「徳川幕府誕生」

2023-11-19 | 大河ドラマ

歴史探偵「どうする家康 名場面総選挙」ライブストリーミング

第43回「関ヶ原の戦い」はこちら

行政府としての幕府が誕生(復活?)し、戦功のあった武人たちの居場所がなくなっていくのではないか、と見せて……な回。

本多忠勝(山田裕貴)は目を病み、榊原康政(杉野遥亮)は腸がいけない。もう出番はないと康政は諦観しているが、忠勝は“西に睨みをきかせる”ために異相の自画像を描かせ、まだまだだと槍をつかむ。

テーマソングもBGMも、ほとんどピアノでしか流れない回だったが、ふたりの立ち会いの瞬間からいつものブラスが入る演出がすばらしい。

関ヶ原が豊臣家内部の争いという形である以上、家康が天下をとるためにはアタマと同時にチカラも必要になってくる。それなのに二代将軍となる秀忠(森崎ウィン)はたよりない。

才ある者は後継ぎには向かない、それに関ヶ原に間に合わなかったので豊臣の受けも悪くない……という本多忠信(松山ケンイチ)の口車に簡単にのる秀忠。やれやれ。

家康の母である於大の方(松嶋菜々子)が久しぶりに登場。北政所(和久井映見)に

「この子は寅年生まれなどではありませぬ。兎です」と暴露。

「いつまでそれを信じていたのです?」との問いに

「今日まで」

とショックを受ける家康がおかしい。そして、このエピソードが忠勝と康政がいつから家康を主君と認めたかにつなげてみせる脚本も周到。

わたしは小学校4年生くらいだった娘に

「サンタさんを何才くらいまで信じてた?」

と不用意に訊いたら

「あたし、まだ信じてたのに!」

と怒られてしまったことを思い出しました。

大坂城の柱の傷で、秀頼の成長と徳川四天王の退場を一気に描くラストも考えてある。ただ、ついに登場した秀頼役が、旧ジャニーズ事務所のなかでもスキャンダルのあったお兄ちゃんだったのはリスキー。

あ、今回の動画はこのブログでは再生できなかったんだ。YouTubeんとこをクリックしてね。

第45回「二人のプリンス」につづく

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追悼酒見賢一

2023-11-18 | ニュース

三井不動産が、バブルまっさかりの頃に金を出して、新潮社と組んで日本ファンタジーノベル大賞をスタートさせた。1989年のことです。

この文学賞のおかげで恩田陸森見登美彦、佐藤亜紀、小野不由美、小田雅久仁らがメジャーになったので率はよかった。バブルありがたし。

その第1回の大賞作品が「後宮小説」。作者の名は酒見賢一だった。審査員の井上ひさしは「天才の出現か」と選評で述べていた。それほどに、とんでもない作品だったのである。

既定の路線として日本テレビでアニメ化されて、「雲のように風のように」とタイトルを変更して(さすがに後宮小説というタイトルでは無理だったろう)祝日のお昼にオンエアされた。わたし、それ見てました。暇だったのか。でもこちらも面白かったなあ。DVD出てるのかな。

以降、酒見はその中国関係の該博な知識を生かし、「墨攻」(南伸坊のイラストが最高だった。なんとアンディ・ラウとアン・ソンギ主演で映画化もされた)「陋巷に在り」(孔子とその弟子、顔回の物語。ほとんどエスパー合戦。文庫で全13巻。きっと終われなくなってしまったんだと思ってました)「泣き虫弱虫諸葛孔明」(パリピ孔明が人気の今こそ読まれるべきだ!三国志の入り口がこの小説だったら、わたしはあの複雑なお話にもっと熱中していたはず)と書き続けてきた。

しばらく新作が出ないな、と思っていたらこの訃報である。59才。彼の作風からいって、確実にこれから名作を量産できるはずだった。くやしい。くやしい。

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日本の警察 その143「可燃物」米澤穂信著 文藝春秋

2023-11-17 | 日本の警察

その142「臨場 劇場版」はこちら

米澤穂信が警察小説?「黒牢城」で時代小説と本格ミステリをみごとに融合させた米澤が、今回も成功させています。意外に、表題作には賛成できないんだけど、その他はすばらしい。

まるで警察小説のパロディかと思えるくらいに周到な警察論、組織論がくり広げられます。名探偵である葛警部ものとして、シリーズ化必至と読みました。

その144「陰の季節」「刑事の勲章」につづく

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「これは経費で落ちません!」(2019 NHK)

2023-11-16 | テレビ番組

このドラマを妻は絶賛していた。

「とにかく面白いの」

経理部のお話。主演の森若さんが大好きな多部未華子だし、そこに伊藤沙莉吹越満角田晃弘、映画ファンにはおなじみの韓英恵が加わる。確かに面白そうだ。でも……

「うちに帰ってからまで経理のお話を見たくないなあ」

「なに言ってるの。見てごらんなさい!」

面白かった。原作のライトノベル(青木祐子)も相当なものであることがうかがえる。民間の経理のやり方(領収書の裏書きとか)は参考になるし、勤務する石けんの会社、天天コーポレーションの改革派と守旧派の争いといった単純なつくりにもなっていない。

江口のりこが(いくら外資からの転職組でも)やたらに英語を使うとか、権力争いにずぶずぶのベッキーが、そのためにヒロインたちに利用されるとか、笑える。

なにしろ阿部真央のエンディングテーマ「どうしますかあなたなら」が「どうしますか森若さん」に替えてあるあるあたり、スタッフも気合いが入っている。でんでんがゲストで出た石けん職人の回など、脚本の周到さもあって泣けてくるぐらいだった。

で、好評だったこともあり、NHKとしてはPART2を制作したいようなのだが、多部未華子が了承していないのだそうだ。

それは、PART1そのままのキャストでなければやりたくないということらしい。伊藤沙莉は朝ドラのヒロインに抜擢されたし、江口のりこは人気がうなぎのぼり。実現は、なかなかむずかしいでしょうねえ。

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「心のおもらし」 佐藤二朗著 朝日新聞出版

2023-11-16 | 本と雑誌

芸能界広しといえども、佐藤二朗の芸風はやはり唯一無二。そしてまさか、エッセイ集まであの芸風だったとは。笑った笑った。

いやはやそれにしても、この人はここまで“書ける”人だったんだ。勇者ヨシヒコの、あの仏のシーンに役作りとして考えに考えて……嘘でしょう?(笑)

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地元の収穫祭だYo

2023-11-15 | 日記・エッセイ・コラム

犬神家の一族~あるいは甘太のことはこちら

「今日は地区の収穫祭。ヨーヨー釣りの担当。昔取った杵柄かの」

「伍長、どんな商売やってたんですか」

てなことを言いながらもぶきっちょなものだから、ヨーヨーをうまく結ぶことができないんだYo

お昼はご近所のお姉さんたちがつくったうどんを食べて満足だったYo

いかん、わたしはやっぱりラッパーにはなれないみたいだYo(T_T)

 

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「大河への道」(2022 松竹)

2023-11-15 | 大河ドラマ

伊能忠敬を大河ドラマにしようと努力する地元公務員たち……立川志の輔の落語が原作。全然期待しないで観たのだが(失礼)、けっこう面白かった。ラストはみごとに泣かせるし。

中井貴一松山ケンイチなどのキャストも大河っぽい。それに岸井ゆきのや橋爪功、西村まさ彦まで加わり、知事役にあの人が登場するんだから……あ、脚本が森下佳子さんじゃないすか。さすがだなあ。

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「愛にイナズマ」(2023 東京テアトル=日本テレビ)

2023-11-14 | 邦画

土曜の朝、映画館に行こうと心に決める。候補は鶴岡まちなかキネマで「春に散る」(ちょうど沢木耕太郎の原作を読み終えたばかり)か、フォーラム東根で「ゴジラ-1.0」。東根に決めたのは、この「愛にイナズマ」もちょうどいい時間帯だったから。まあ、どっちにしても佐藤浩市の作品ではあった。

主演の花子に松岡茉優。映画監督志望の彼女は、斬新で個人的な作品を作り上げようとしているが、老獪なプロデューサー(MEGUMI)と保守的な助監督(三浦貴大)によって企画自体をとりあげられてしまう。

……ここまでの展開はちょっとしんどいんですよ。確かにプロデューサーと助監督は薄汚い業界人のように描かれてはいるけれども、それなりに魅力的。だけれども、花子は世間知らずのはねっ返りにしか見えないのだ。

やばい、と思いました。あの「ぼくたちの家族」「舟を編む」「夜空はいつでも最高密度の青色だ」の石井裕也監督にして、妙に独りよがりな映画にしてしまったのではないかと。

ところが、一種の天使として窪田正孝(殴られて血のにじむマスクが妙におかしい=この作品の英題はMasked Hearts)が登場してからの展開が意表をつく。花子は自分の家族を題材にして映画を完成させようと父(佐藤浩市)とふたりの兄(池松壮亮若葉竜也)にカメラを向けるが……

母親がいないのはなぜか、余命一年を宣告されている父親がそのことをどう娘に伝えるか、などがからみ、わたしの涙腺は決壊した。タオル地のハンカチがぐしょぐしょ。

これまで、常に意識的な人物を演じてきた佐藤浩市が、なすすべもなく人生に流されていく弱い人間を演じて絶妙。すばらしい映画だった。東根まで来てよかったよー。

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