第44回「徳川幕府誕生」はこちら。
偉大な父親を持ったふたりの二代目の対比。
一方は、位人臣をきわめた小男の忘れ形見。意外なことに美丈夫に成長し、まわりからもてはやされる。
もう一方は、小男に臣従しながら力を蓄え、事実上の覇者となった男の後継者。その人のよさからまわりからは軽侮されている。
美丈夫である秀頼は、星新一によって描かれたように「城のなかの人」であり、世界が大坂城で完結していた。なにしろ、城を出るまで、牛というものを見たことがなかったほどだ。
二代将軍となる秀忠に徳があるとすれば、自分が凡庸であることをはっきりと自覚していることだ。関ヶ原に遅参したために父親に激怒され、その後もお世辞にも戦上手とはいえない秀忠だったが、すでに戦国の世が終わっている以上、自分は戦が下手だと認識している人物が征夷大将軍であることは、徳川幕府にとってプラスにはたらいたのではないだろうか。
二人のプリンスの行く末は対照的。本人の資質というよりも、取り巻きの差と時代がそうさせてしまったとしか。
さて、関ヶ原からまた時を重ね、松潤の老けメイクはいっそう濃くなっている。自分の時代が終わることを意識した彼は、例の鐘の文言にいちゃもんをつけるというタヌキぶりを発揮……ではなくて、この大河では淀君の悪意、呪いがあの文言にはこめられているとしている。
これもちょっと無理筋かなあ。むしろまったく悪意がなかったとした方がドラマとしては深みを増したような気もしますが。
さあ、次週は真田丸だ。