監督・脚本・VFXを担当した山崎貴が「続・三丁目の夕日」を撮ったとき、オープニングにゴジラを登場させ、東京を蹂躙していたことを思い出す。ああ、山崎はゴジラを撮りたいんだろうなあとつくづく。なにしろあのシーンは、のちに「シン・ゴジラ」が登場するまで、もっとも精緻な特撮だったので。
「ゴジラ-1.0」(ゴジラマイナスワン)を見た人たちが、とにかく泣けると教えてくれた。ほお。となれば山崎は
・ゴジラを撮るように三丁目の夕日を撮り
・三丁目の夕日を撮るようにゴジラを撮った
のかな。息子は初日の一回目に観に行き、とにかく混んでいたと言っていたので、念のためにとフォーラム東根まで遠征。知り合いと会うのはいやなの(だからなんで?)。
朝9:30からの回だったので、お目当ての足がのばせる席を確保できる。オープニングは特攻機の着陸から。乗っていた敷島(神木隆之介)は、特攻から逃げてきたのである。その、味方からも見放された孤島には、伝説の生物ゴジラが生息し、整備兵たちに襲いかかってくる……
敵から逃げたという負い目があるので、敷島の戦争は終わらない。そこへ、核実験によって巨大化したゴジラが東京へ向かって来る。敗戦によってゼロになった日本に、災厄としてのゴジラが現れ、マイナスの状態に陥ってしまう。
前半は木造の小舟で機雷を除去する場面がメイン。船長は佐々木蔵之介で吉岡秀隆と山田裕貴がチーム。もうまるっきりJAWSなのが笑える。そして、お偉いさんがゴジラの殲滅を担うこれまでのゴジラと違い、民間の英知を結集して、という狙いもよくわかる。
日本が圧倒的にアメリカの支配下にある(それはシン・ゴジラの時代でもいっしょだったが)時代。ちょっと泣かせがあざといくらいではあるけれど、神木隆之介と浜辺美波の朝ドラコンビ、そして安藤サクラの芝居のうまさがこの映画を(きわどいところで)成立させていました。
ゴジラの背びれが膨張するギミックと、日劇が吹っ飛ぶシーンは必見。ポスターのかっこよさは比類がない。