事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「アンダーカレント」(2023 KADOKAWA)

2023-11-09 | 邦画

Undercurrent……①下層の水流、底流 ②(表面の思想や感情と矛盾する)暗流。

わたしにとって「アンダーカレント」とはケニー・ドリューのアルバムタイトルだが、人によってはビル・エヴァンスかもしれない。ビルのアルバムジャケットと同じようなシーンがこの映画では何度も挿入されています。水面に出ている人間の表側と、内面とは違っているという意味がこめられているんでしょう。

ようやくコロナの影響も弱まり、わたしの映画館通いも復活しつつある。といっても今年はまだ14本しか見ていない。そんななかでも、やたらに出てくるのが安藤サクラ、井浦新、永山瑛太、リリー・フランキーだ。なんか近ごろの日本映画は彼らの順列組合せで出来上がっているのではないかと思うくらい。

この「アンダーカレント」も、「福田村事件」の井浦新と永山瑛太(「怪物」でもいい味を出してました)にリリー・フランキーがキャスティングされ、主演が真木よう子。面白そうだ。

しかし絶対に見ようと決めたのは、監督が今泉力哉だったから。「愛がなんだ」「アイネクライネナハトムジーク」の力感あふれる演出に期待。

その期待にみごとにこたえてくれました。「湯を沸かすほどの熱い愛」「時間ですよ」につづいて風呂屋の話に外れなし!

夫(永山瑛太)が失踪した妻(真木よう子)は、銭湯をなんとか切り盛りしている。そこへ、住み込みを希望する男(井浦新)が現れて……

夫をさがすリリー・フランキーが絶妙。ちょうどわたしが買ったばかりのサリバン先生タイプのサングラスをかけていたのでうれしくなる。

山形県庄内町がドラマにからんでくるし、なにしろ瑛太の役名がわたしといっしょなので「〇〇さん」と真木よう子のあの声で呼びかけられるたびにドキドキ。ラストシーンには深く考え込まされる。傑作。

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「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」「青瓜不動 三島屋変調百物語九之続」宮部みゆき著 角川書店

2023-11-09 | 本と雑誌

「魂手形」はこちら

三島屋の百物語は、ここに来て違うレベルに引きあげられたのではないだろうか。

宮部みゆきのライフワークとして、どんなネタでもつっこめるこのシリーズは、政治小説であり、経済小説であり、恋愛小説であり、家族小説であり、もちろんホラーでもある。なんでもありだ。

しかしなによりも道徳小説であるあたりで、すでに国民作家になったんだなあとつくづく。

 

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