劇場で予告編を見たら、ピエロの仮面をかぶった人間が疾走し、主人公たちを病院内で追いかけまわしていた。はあ、これはジェイソンとかフレディのタイプの映画なんだな、と得心。すくなくともそういう客を想定してるんだなあと。
違いました。原作が知念実希人だから、堂々たるミステリ映画なのでした。
むかしは精神科の病院で、いまは療養型となってお年寄り向けの施設になっている田所病院が舞台。原作ではわたしが住んでいた狛江にあることになっている。
その、ピエロの仮面の男(?)がコンビニ強盗をはたらき、逃走中に通りすがりの女子大生の瞳(永野芽郁)の腹部を撃ち、田所病院に彼女を連れて逃げ込む。
当直のアルバイトだった速水(坂口健太郎)に、ピエロ男はすぐに手術しろと迫る。施錠されていた手術室は、驚くほど最新鋭の機器をそろえていた……
監督は「99.9」や「屍人荘の殺人」の木村ひさし。脚本は彼と知念が共同で書いている。知念のことだからどんでん返しがあるだろうと観客に思わせて、それ以上にひっくり返して見せている。
エレベーターの上下動が映画的興奮を呼ぶ。まったく退屈しませんでした。拾いもの。