ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

滝雲

2024-10-14 15:12:30 | 風景写真/山岳

 滝雲は、新潟県魚沼市の枝折峠(しおりとうげ)で見られる自然現象。“雲”が山々を越え、”滝”のように流れ落ちているように見えることから「滝雲」と呼ばれている。雲海の発生するスポットは全国にいくつもあるが、スケールの大きな滝雲が見られる場所は、枝折峠をおいて他にないと言っても過言ではないだろう。過去には、2022年9月25日に訪れて撮影し「枝折峠の滝雲」として当ブログで紹介しているが、規模が小さく望遠レンズでしか撮っていなかったことから、今回、再び枝折峠を訪れた。

 滝雲は、発生の条件が限られ、いつ訪れても見られるわけではない。湿度が高く、昼夜の温度差が15℃以上と大きく、夜は風のない晴天でなければならない。その条件が合致すると、夜間から明け方に枝折峠の東側にある奥只見湖から銀山平にかけて霧が発生し、深い谷間に霧が溜まり雲海へと成長する。雲海が谷間を埋め尽くすと溢れて山の尾根を越えてくる。それが滝雲である。
 10月12日からの三連休は、天気予報によれば条件に合致し、滝雲が見られるであろうチャンスである。ただし、前日の夜から出発して12日(土)の撮影は避けたい。なぜならば、枝折峠の駐車場は20台ほどしか止められないため18時前には満車となってしまう。つまり、滝雲を撮ろうとする日の前日18時までに枝折峠に到着してないければならないのである。したがって、撮影は13日(日)の朝と決め、12日(土)の早朝5時に自宅を出発した。
 まずはマダラナニワトンボの撮影である。詳細は次の投稿で記すが、現地には8時半頃に到着し、正午過ぎまで撮影。その後、枝折峠へ向かう途中、関越自動車道小出ICからほど近くにある「道の駅ゆのたに」にて遅い昼食。魚沼産コシヒカリの新米で炊いたおにぎりとイワナの塩焼きを頂いた。そして奥只見シルバーラインの長いトンネルを通り、銀山平経由で枝折峠を目指した。
 現地駐車場には15時頃に到着。5~6台ほど止まっていたが、すんなりと駐車することができた。滝雲ではなく越後駒ケ岳の登山客も多く、下山して車に乗り込み帰っていく方々もいるため、数台の入れ替わりがあるものの、17時過ぎには満車となった。
 到着後は、ロケハンである。2年前は、越後駒ケ岳への登山道を20分ほど登ったポイントから撮影したが、滑落しそうな危険な場所であるため、今回は車道沿いから撮ることにし、魚沼市のWebサイトで滝雲の撮影ポイントとして紹介している④に決定した。標高は、およそ1,050mで駐車場から徒歩5分くらいの距離である。カメラマンに人気があり、流れ落ちる滝雲をほぼ正面から見ることができるポイントである。続いて、前記事に掲載したアトラス彗星の撮影ポイントの確認をし、一旦、車内で休憩。17時から彗星の撮影を済ませ、再び車内で待機である。
 コンビニで買ったもので夕食を済ませ、翌午前3時に起床と決め寝始めたが、撮影ポイントのことが気になる。満車の駐車場には、次から次へと車が進入しては切り返して出て行く。その車は、すべて路上駐車である。やはり三連休の中日で条件が良いとなれば人々が集まる。撮影ポイントは車1台半ほどしかないので、三脚が7本も並べば一杯である。そこで、あらかじめ場所取りをしておくことにした。万が一盗まれても良い予備の三脚をガードレールに紐で結わいておいた。先客が1名。三脚ではなく、小さな踏み台がガードレールに括られていた。
 車に戻り寝ようとしたが、深夜でも車が駐車場でUターンするたびにヘッドライトがまぶしく熟睡はできず午前3時。準備を整え3時半に駐車場を出ると、路上には車の列。係員が交通整理をしており、シャトルバスも待機していた。長袖シャツにフリースとウインドブレーカーを着て撮影ポイントに向かうと、予想通りに三脚の列。もう並べる余地はない。三脚を取り換えてカメラをセットし、準備完了。あとは雲海が溢れ出すのを待つだけである。
 上空には薄雲が広がっており、残念ながら星は見えないが、気温11℃で無風。前日の日中は25℃であったから、この差に期待できる。湿度も十分だ。奥只見湖は霧で見えず、徐々に雲海が出来始めていた。空が白々してくると、あふれた雲が稜線を超えて流れ始める。雲海はどんどん成長し、流れる雲も前回を大きく上回る規模で、ナイアガラの滝のような大瀑布である。その光景は、シャッターを切るごとに違っている。まるで生きているかのように流れ落ちる雲。「凄い!」の一言である。日の出前に朝焼けを期待したが、それは欲張りというもの。また、日の出方向には雲が浮いていたため朝日の直射はなく、雲海の大きな色彩変化はなかったが、雲海の奥に雲間から降りた天使の梯子が良い演出をしてくれた。

以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。 また動画は 1920×1080ピクセルのフルハイビジョンで投稿しています。設定をクリックした後、画質から1080p60 HDをお選び頂きフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

滝雲の写真
滝雲
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F2.8 30秒 ISO 5000 +2EV(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2024.10.13 4:46)
滝雲の写真
滝雲
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F8.0 15秒 ISO 100(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2024.10.13 5:23)
滝雲の写真
滝雲
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F3.2 25秒 ISO 800 +1 1/3EV(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2024.10.13 5:06)
滝雲の写真
滝雲
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F14 15秒 ISO 50 +2/3EV(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2024.10.13 5:32)
滝雲の写真
滝雲
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F14 1/20秒 ISO 50 +1EV(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2024.10.13 6:25)
滝雲
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白馬三山のモルゲンロート

2018-01-08 13:32:58 | 風景写真/山岳

 白馬三山のモルゲンロートを撮るチャンスに恵まれた。
 年頭に掲載した「2018年の撮影目標」を達成するべく、日々、その撮影地の天候をチェックしながら綿密な計画を立てるが、様々な条件が合わなければ、その光景を見ることも撮ることもできない。この三連休は、7日が西高東低の冬型の気圧配置が崩れ、西から高気圧に広く覆われて、北陸と東北の日本海側の一部を除いて晴れ。風も弱いという予報。ただし、星空撮影は月が邪魔をし、また、乾燥しているため霧氷も付かない。となれば「湯西川湖の水没林」のように、時には目標にない被写体に変更する。今回は、白馬三山のモルゲンロートに的を絞った。

 白馬三山(しろうまさんざん)とは、富山県と長野県にまたがる3つの山(白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳)の総称であり、冬の青空に浮かぶ真っ白い姿が朝日に照らされて赤く染まるモルゲンロートが美しい。
 モルゲンロートは、登山用語(ドイツ語)で、モルゲン(Morgen)「朝」とロート(rot)「赤い」というそれぞれの意味を掛け合わせたモルゲンロート(Morgenrot)「朝焼け」という意味で、朝日で山がバラ色に美しく染まることを言う。かつて、霧ヶ峰高原と美ヶ原高原から北アルプスの夜明けを撮影し「モルゲンロート」として掲載しているが、白馬村から間近に見る白馬三山を撮るのは初めてである。
 撮影地である白馬村は年間を通じて晴天が少なく、特に冬は朝から快晴になる日は僅かである。週末しか出かけられない者にとっては、白馬三山の燃え上がるようなモルゲンロートを撮る機会は極めて少ないが、そのチャンスに恵まれた。

 6日19時に自宅を出発。中央道安曇野ICで降り国道148号線を進むと、木崎湖を過ぎた辺りから路面が白くなり始め、一部はアイスバーン。白馬村辺りは、完全に除雪されてはいるものの、幹線道路以外は積雪があり慎重な運転が要求された。無料の大駐車場に23時に到着し車中拍。翌7日。午前5時に撮影場所である白馬大橋に移動し、夜明けを待った。
 5時45分。カメラをセットし撮影開始。気温マイナス7℃。橋の上は特に寒い。白馬村の日の出時刻は7時02分だが、6時55分に白馬岳の山頂に朝日が当たり始めた。朝日は、徐々に白馬三山を赤く染めていく。わずか10分のドラマであったが、その美しさに言葉を失った。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

白馬三山モルゲンロートの写真

白馬三山のモルゲンロート
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F16 1/4秒 ISO 50 -1 1/3EV トリミング(撮影地:長野県白馬村 2018.1.7 7:01)

白馬三山モルゲンロートの写真

白馬三山のモルゲンロート
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F16 0.3秒 ISO 50 -2/3EV(撮影地:長野県白馬村 2018.1.7 7:05)

白馬三山の夜明け(タイムラプス)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM (撮影地:長野県白馬村 2018.1.7 6:45~7:05)

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谷川岳一ノ倉沢の紅葉

2017-10-25 22:30:32 | 風景写真/山岳

 谷川岳一ノ倉沢の紅葉を魔の岩壁とともに収めた。

 群馬県と新潟県の県境に位置する三国山脈の谷川岳。初級者から上級者向までの変化に富む登山コースを有し、ロープウェイも整備され年間4万人を越える登山者が訪れる山であるが、多くのクライマー達の命を奪ってきた山でもある。
 谷川岳の東側にある一ノ倉沢は、その険しさから剱岳・穂高岳とともに日本三大岩場の一つに数えられ、標高差約1,000m近くある切り立った岩壁が連なる急峻な地形で成り立っており、 ロッククライミングの聖地となっている。日本でも指折りのトップクライマーしか挑戦を許されないという岩壁は、2012年までに805名の命を飲み込み、遭難死者の数でギネス認定されているほどである。宙吊りになった遺体に救助隊が近づけず、陸上自衛隊の狙撃部隊が一斉射撃してザイルを切断、数日後にようやく遺体を収容した1960年のニュースはテレビ報道もされた。
  現在では登山道具の飛躍的進歩により滑落死は少なくなったとは言え、見てるだけで飲み込まれるような魔の岩壁。朝日で赤く染まった様を前にすると、圧倒的な威圧感とともに、命を落としたクライマー達の想いが迫ってくる。 裾に広がる紅葉と稜線にわずかに積もった雪、そして真っ青な空との見事な対比を眺めていると、大自然の驚異と人間の小ささを実感する。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

魔の岩壁一ノ倉沢の写真
魔の岩壁一ノ倉沢
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F11 0.3秒 ISO 100 -1 1/3EV(撮影地:群馬県みなかみ町 2010.11.06 6:30)
谷川岳一の倉沢の紅葉写真
谷川岳一の倉沢の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F11 0.4秒 ISO 100(撮影地:群馬県みなかみ町 2010.11.06 6:54)
谷川岳一の倉沢の紅葉写真
谷川岳一の倉沢の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F11 1秒 ISO 100(撮影地:群馬県みなかみ町 2010.11.06 6:34)
谷川岳一の倉沢の紅葉写真
谷川岳一の倉沢の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F11 0.6秒 ISO 100(撮影地:群馬県みなかみ町 2010.11.06 7:11)
谷川岳湯檜曾の紅葉写真
谷川岳湯檜曾の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F6.3 1/50秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:群馬県みなかみ町 2010.11.06 7:45)
谷川岳湯檜曾の紅葉写真
谷川岳湯檜曾の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F6.3 1/30秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:群馬県みなかみ町 2010.11.06 7:47)

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モルゲンロート

2015-12-07 20:25:08 | 風景写真/山岳

 モルゲンロートは、登山用語(ドイツ語)で、モルゲン(Morgen)「朝」とロート(rot)「赤い」というそれぞれの意味を掛け合わせたモルゲンロート(Morgenrot)「朝焼け」という意味で、朝日で山がバラ色に美しく染まることを言う。
 朝焼けが山肌に当たり赤く染まることにより、燃え上がるようにも見えるので「アルペングリューエン」とも言われ、山がもっとも美しく見えるときの一つである。夕陽に染まることは、アーベントロート(Abendrot)「夕焼け」と言われている。
 しかしながら、身近な低い山に朝日が当たっても、或いは富士山に朝日が当たっても「モルゲンロート」とは言わない。冬のアルプスが赤く染まってこその言葉である。(ちなみに、富士が朝日に赤く染まるの様は、「紅富士」と言われている。)

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

北アルプスの夜明け

北アルプスの夜明け
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F18 1/8秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県諏訪市/霧ヶ峰高原 2011.2.19)

北アルプスの夜明け

北アルプスの夜明け
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F4.5 30秒 ISO 100(撮影地:長野県松本市/美ヶ原高原 2012.11.25)

北アルプスの夜明け

北アルプスの夜明け
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 1秒 ISO 100(撮影地:長野県塩尻市/高ボッチ高原 2012.12.02)

南アルプスの夜明け

南アルプスの夜明け
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F18 1/8秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県諏訪市/霧ヶ峰高原 2011.2.19)

穂高連峰の夜明け

穂高連峰の夜明け
Canon EOS 5D Mark2 / EF17-35mm f/2.8L USM
絞り優先AE F18 1.6秒 ISO 50 -2EV(撮影地:長野県松本市/上高地 2013.1.5)

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