滝雲は、新潟県魚沼市の枝折峠(しおりとうげ)で見られる自然現象。“雲”が山々を越え、”滝”のように流れ落ちているように見えることから「滝雲」と呼ばれている。雲海の発生するスポットは全国にいくつもあるが、スケールの大きな滝雲が見られる場所は、枝折峠をおいて他にないと言っても過言ではないだろう。過去には、2022年9月25日に訪れて撮影し「枝折峠の滝雲」として当ブログで紹介しているが、規模が小さく望遠レンズでしか撮っていなかったことから、今回、再び枝折峠を訪れた。
滝雲は、発生の条件が限られ、いつ訪れても見られるわけではない。湿度が高く、昼夜の温度差が15℃以上と大きく、夜は風のない晴天でなければならない。その条件が合致すると、夜間から明け方に枝折峠の東側にある奥只見湖から銀山平にかけて霧が発生し、深い谷間に霧が溜まり雲海へと成長する。雲海が谷間を埋め尽くすと溢れて山の尾根を越えてくる。それが滝雲である。
10月12日からの三連休は、天気予報によれば条件に合致し、滝雲が見られるであろうチャンスである。ただし、前日の夜から出発して12日(土)の撮影は避けたい。なぜならば、枝折峠の駐車場は20台ほどしか止められないため18時前には満車となってしまう。つまり、滝雲を撮ろうとする日の前日18時までに枝折峠に到着してないければならないのである。したがって、撮影は13日(日)の朝と決め、12日(土)の早朝5時に自宅を出発した。
まずはマダラナニワトンボの撮影である。詳細は次の投稿で記すが、現地には8時半頃に到着し、正午過ぎまで撮影。その後、枝折峠へ向かう途中、関越自動車道小出ICからほど近くにある「道の駅ゆのたに」にて遅い昼食。魚沼産コシヒカリの新米で炊いたおにぎりとイワナの塩焼きを頂いた。そして奥只見シルバーラインの長いトンネルを通り、銀山平経由で枝折峠を目指した。
現地駐車場には15時頃に到着。5~6台ほど止まっていたが、すんなりと駐車することができた。滝雲ではなく越後駒ケ岳の登山客も多く、下山して車に乗り込み帰っていく方々もいるため、数台の入れ替わりがあるものの、17時過ぎには満車となった。
到着後は、ロケハンである。2年前は、越後駒ケ岳への登山道を20分ほど登ったポイントから撮影したが、滑落しそうな危険な場所であるため、今回は車道沿いから撮ることにし、魚沼市のWebサイトで滝雲の撮影ポイントとして紹介している④に決定した。標高は、およそ1,050mで駐車場から徒歩5分くらいの距離である。カメラマンに人気があり、流れ落ちる滝雲をほぼ正面から見ることができるポイントである。続いて、前記事に掲載したアトラス彗星の撮影ポイントの確認をし、一旦、車内で休憩。17時から彗星の撮影を済ませ、再び車内で待機である。
コンビニで買ったもので夕食を済ませ、翌午前3時に起床と決め寝始めたが、撮影ポイントのことが気になる。満車の駐車場には、次から次へと車が進入しては切り返して出て行く。その車は、すべて路上駐車である。やはり三連休の中日で条件が良いとなれば人々が集まる。撮影ポイントは車1台半ほどしかないので、三脚が7本も並べば一杯である。そこで、あらかじめ場所取りをしておくことにした。万が一盗まれても良い予備の三脚をガードレールに紐で結わいておいた。先客が1名。三脚ではなく、小さな踏み台がガードレールに括られていた。
車に戻り寝ようとしたが、深夜でも車が駐車場でUターンするたびにヘッドライトがまぶしく熟睡はできず午前3時。準備を整え3時半に駐車場を出ると、路上には車の列。係員が交通整理をしており、シャトルバスも待機していた。長袖シャツにフリースとウインドブレーカーを着て撮影ポイントに向かうと、予想通りに三脚の列。もう並べる余地はない。三脚を取り換えてカメラをセットし、準備完了。あとは雲海が溢れ出すのを待つだけである。
上空には薄雲が広がっており、残念ながら星は見えないが、気温11℃で無風。前日の日中は25℃であったから、この差に期待できる。湿度も十分だ。奥只見湖は霧で見えず、徐々に雲海が出来始めていた。空が白々してくると、あふれた雲が稜線を超えて流れ始める。雲海はどんどん成長し、流れる雲も前回を大きく上回る規模で、ナイアガラの滝のような大瀑布である。その光景は、シャッターを切るごとに違っている。まるで生きているかのように流れ落ちる雲。「凄い!」の一言である。日の出前に朝焼けを期待したが、それは欲張りというもの。また、日の出方向には雲が浮いていたため朝日の直射はなく、雲海の大きな色彩変化はなかったが、雲海の奥に雲間から降りた天使の梯子が良い演出をしてくれた。
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