アサマシジミ Plebejus subsolanus (Eversmann, 1851) は、シジミチョウ科(Family Lycaenidae)ヒメシジミ属(Genus Plebejus)の属するチョウで、北海道と本州の関東、中部地方の山地の草原のみに分布し、以下の3亜種に分類されている。
- 中部低地帯亜種 Plebejus subsolanus yaginus (Strand, 1922)
- 中部高地帯亜種(別名:ヤリガタケシジミ) Plebejus subsolanus yarigadakeanus (Matsumura, 1929)
- 北海道亜種(別名:イシダシジミ)Plebejus subsolanus iburiensis (Butler, [1882])
アサマシジミは、エビラフジ、ナンテンハギ、イワオオキなどのマメ科植物が食草であるが、生息地がたいへん局所的である上に、開発による生息地の破壊、そして生息地によって異なる班紋から採集者による乱獲が絶えず、各地で絶滅に瀕している。3亜種ともに環境省RDBでは絶滅危惧種に選定されており、長野県においては、中部高地帯亜種を県の天然記念物に指定し、更には、長野県希少動植物保護条例(2016.4.25)によって中部低地帯亜種を含めたアサマシジミの採集を禁止している。
アサマシジミは、2014年に山梨県において中部低地帯亜種を撮影しているが、今回は長野県を訪れた。毎年、ハヤシミドリシジミとウラジロミドリシジミの撮影のために立ち寄るポイントに、実はアサマシジミ中部低地帯亜種も生息地していることが分かったのが昨年。ゼフィルスが撮影できず、近くにいたシジミチョウの翅裏だけを撮って帰った(当初、ヒメシジミと思い込んでいた)ところ、それがアサマシジミ中部低地帯亜種(以後、アサマシジミという)であったことから、今年は生息の確認と翅表を撮影することが目的である。
朝5時。気温17℃。晴れ。ゼフィルスの撮影には良い天候だが、カシワを叩いてもゼロ。例年、7月に入ってからの発生であるから早すぎた。気持を切り替え、昨年、アサマシジミを撮影した辺りで出現を待つ。よく見れば、食草であるエビラフジが生えている。5時48分。朝露に濡れたススキの葉に止まっているアサマシジミを発見。翅を開くと、青い鱗粉が広がった個体である。アサマシジミの青い鱗粉の広がりや色には、地域変異があることが知られているが、同一地域内においても個体変異がある。50mほど離れた草地にも多くのアサマシジミが飛んでいたが、こちらの個体は、山梨県の個体同様に、全て青い鱗粉が少ない個体ばかりで、大きさも小ぶりであった。
この生息地ではヒメシジミも混在しており、参考までに掲載した。また、山梨県で撮影したアサマシジミも比較のために掲載した。
尚、アサマシジミの分類は、研究者によって見解が異なっており、ミヤマシジミ属(Lycaeides属)として分類している場合もあるが、ここでは、ヒメシジミ、ミヤマシジミ、アサマシジミ3種をヒメシジミ属としてまとめた。
参照:長野県希少野生動植物保護条例 / 指定希少野生動植物及び特別指定希少野生動植物一覧(昆虫)
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アサマシジミ(中部低地帯亜種)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 640(撮影地:長野県 2017.6.24)
アサマシジミ(中部低地帯亜種)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F9.0 1/250秒 ISO 500(撮影地:長野県 2017.6.24)
アサマシジミ(中部低地帯亜種)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F9.0 1/320秒 ISO 800(撮影地:長野県 2017.6.24)
アサマシジミ(中部低地帯亜種)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F9.0 1/250秒 ISO 640(撮影地:長野県 2017.6.24)
アサマシジミ(中部低地帯亜種)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 320 -2/3EV(撮影地:長野県 2017.6.24)
アサマシジミ(中部低地帯亜種/山梨県産)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/200秒 ISO 200(撮影地:山梨県 2014.7.21)
ヒメシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F9.0 1/320秒 ISO 800(撮影地:長野県 2017.6.24)
アサマシジミ、ハヤシミドリシジミ、ウラジロミドリシジミの生息地
私が単独で見つけた場所で、採集者は勿論、撮影者も来ないのが良い。
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