ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

アタテュルク騎馬像と星空

2021-10-31 17:50:20 | 風景写真/星

 アタテュルク騎馬像と星空を撮りたくて、和歌山県串本町まで行ってきた。本州最南端である潮岬の右隣に位置する紀伊大島の東端にある樫野崎灯台の側。自宅からは、片道600km。所要時間8時間の遠征で、今年の遠征の中では、富山、大阪を抜いて一番遠く、時間も掛かった。
 和歌山遠征の一番の目的は、サツマシジミ開翅写真であり、騎馬像と星空は2つ目の目的である。3つ目に目的とした「天神崎」は、潮位が150cmになると広大な潮だまりができ、風が無ければ鏡のようになる。海との境がないため、ボリビアにあるウユニ塩湖に似た光景が見られる。潮位のタイミングと私の休日が重なるのは年に1~2回しかないが、昨年に引き続き当日は風速4mで諦めるしかなかった。ただし、2つの目的は達成できたので、順を追って紹介したいと思う。

 騎馬像の正式名称は、ムスタファ・ケマル・アタテュルク騎馬像。アタテュルクとは、トルコ共和国の初代大統領でトルコ国民の偉大な英雄であるという。
 何故、その騎馬像が串本町にあるかと言うと、1890年(明治23年)9月16日夜、 オスマン帝国最初の親善訪日使節団を乗せた軍艦 「エルトゥールル号」が串本町樫野埼沖で 台風による強風と高波により座礁し沈没。 587名の命が奪われる大惨事であったが、事故の知らせを聞いた大島島民の懸命の救助活動により69名を救出することができたという。この騎馬像は、日本トルコの友好の礎を築いたエルトゥールル号の事故後120年となる2010年に、更なる両国友好の発展を祈って駐日トルコ共和国大使館より串本町に寄贈されたものとの事である。

 手綱をひき、南の海に向かって右手を指す凛々しい姿に果てしない宇宙を重ねることで、浪漫溢れる絵になるだろうと思い、私の風景写真では初めて人工物を入れ、更には主役とした。
 当日夜は誰もおらず、灯台からの薄明りの下、様々な角度から右手が見える構図で撮影。まず、アタテュルク騎馬像が指す右手の先に、南の一つ星「フォーマルハウト」を配置してみた。南の一つ星は、今井美樹の「PRIDE」の歌詞にも出てくる。「私は今 南の一つ星を・・・」写真では、惑星である木星と土星の方が目立つが、南のうお座のフォーマルハウトは、秋の夜空に輝くたったひとつの一等星である。他には、南西方向と北東方向に見える天の川とのコラボも撮影した。
 星景写真は、まだ撮り始めて数年で課題が山積ではあり、今回は、すぐ近くに灯台があるため、その明かりが入らないようにするのが難しかった。撮影時刻の関係で主要な星座を入れた構図ではないが、アタテュルク騎馬像という人工物を入れた星景写真ならではの絵としては、私的には手応えがあった。

 新型コロナウイルスの新規感染者数も激減し、飲食店等の時短要請も25日から全面解除された。アタテュルクが指し示す先には、きっと明るい未来があるはずである。皆で手を取り合って突き進もうではないか!

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

アタテュルク騎馬像とフォーマルハウトの写真
アタテュルク騎馬像とフォーマルハウト(南の一つ星)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 20秒 ISO 2500(撮影地:和歌山県 2021.10.29 19:02)
アタテュルク騎馬像と天の川の写真
アタテュルク騎馬像と天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 20秒 ISO 2500(撮影地:和歌山県 2021.10.29 19:09)
アタテュルク騎馬像と星空の写真
アタテュルク騎馬像と星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 20秒 ISO 25100(撮影地:和歌山県 2021.10.29 19:22)
アタテュルク騎馬像と星空の写真
アタテュルク騎馬像と星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 20秒 ISO 2500(撮影地:和歌山県 2021.10.29 19:27)
アタテュルク騎馬像と天の川の写真
アタテュルク騎馬像と天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 20秒 ISO 2500(撮影地:和歌山県 2021.10.29 19:09)

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オータム・ブルー

2021-10-24 20:57:40 | 風景写真/紅葉

 今月は、10月2日夜に乗鞍高原で星空を撮って以来、全く撮影をしていない。あまりに更新しないため、ご心配下さった方々には心より御礼申し上げたい。恥ずかしながら近況を報告しておきたい。
 10月9日と10日は、宮城県仙台市の作並温泉郷にてホタルの生息環境調査に費やした。次の土日は、その調査報告書をまとめ上げることで終了。この週末は土曜日が出勤。24日日曜日は快晴の天気。新型コロナウイルスの感染者も少なくなり、紅葉を楽しむ絶好の日和であったが、出かけることなく自宅で一日を過ごした。
 秋は、メンタルヘルス不調になりやすい季節と言われている。症状が重ければ「秋うつ」になってしまう方もいるようである。私の場合は、元気ではあるが、何となく「オータム・ブルー」である。実は、10月4日から勤務地が変わり、慣れない環境で精神的ストレスが蓄積。これまでより通勤に時間がかかるため、連日朝4時半に家を出なければならず睡眠不足。寒くなってきたこともあり「あと5分寝かせてくれ・・・」朝起きるのが、かなり辛い毎日である。ストレス解消のために、こんな天気の良い日は太陽を浴びて「セロトニン」と呼ばれる脳内物質を多く生産するべきなのだろうが、車中泊して出掛けて美しい紅葉を見ても、感動ゆえの写真作品にする自信が持てず、いつもより2時間朝寝坊を する選択をしたのである。

 そんな訳で、新たに撮影した写真はないので、過去に撮った中から、この時期に合うものをいくつか現像して掲載した。尚、癌の手術から12月で3年になる。定期検査のため休暇を取り、2週連続で週末は3連休にした。検査の異常もなく天候も良ければ、和歌山遠征を予定している。今年最後の昆虫写真撮影として2015年から追いかけているサツマシジミ、 樫野崎灯台での星景撮影、無風で波が穏やかであれば天神崎で奇跡の絶景を撮りたいと思っている。11月の上旬は、奥日光小田代ヶ原の霧氷、その後は、信州美ヶ原の霧氷等をスケジューリングしているので、ご期待いただきたいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

御射鹿池の紅葉の写真

御射鹿池の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F14 6秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県 2011.10.23 6:16)

美ヶ原高原の紅葉の写真

美ヶ原高原の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 1/4秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県 2012.10.20 10:02)

美ヶ原高原の紅葉の写真

美ヶ原高原の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 1/10秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県 2012.10.20 10:11)

霧ヶ峰高原の紅葉の写真

霧ヶ峰高原のススキ原
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/15秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県 2012.10.20 16:45)

霧ヶ峰高原の紅葉の写真

霧ヶ峰高原のススキ原
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 1/15秒 ISO 100(撮影地:長野県 2012.10.20 16:54)

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黄道光クロス

2021-10-05 17:59:11 | 風景写真/星

 黄道光クロスを乗鞍高原で撮影。

 宮沢賢治の戯曲「銀河鉄道の夜」に「天の川はよくは知らないが 何でもXという字の形になって しらじらとそらにかかっている・・」という一文がある。一体どんな光景なんだろうか?
 この「Xという字の形」は、黄道光と冬の天の川がクロスした様子だと言われている。黄道光(こうどうこう)とは、太陽の通り道である「黄道」に沿って東西に広がる淡い光のこと。黄道付近には彗星からの放出や小惑星同士の衝突で生成された小さな塵がただよっており、それらに太陽光が散乱されて、春は日没後の西の空に、秋は日の出前の東の空に淡い光となって見えるのである。そして秋は、黄道光と冬の天の川がクロスすると言う。
 黄道光クロス(または「天の川クロス」とも言う)を撮ろうと思い、夏の天の川撮影のラストチャンスで訪れた乗鞍高原にてチャレンジした。

 10月2日は、20時で夏の天の川の撮影を切り上げ、その後車中泊。翌日は午前3時過ぎに起床。気温は7度。駐車場に止めた車の側にカメラをセットし、まずは西方向。夏の天の川は沈み、代わって冬の天の川が乗鞍岳から淡く昇っていた。東に向ければ「オリオン座」の赤い1等星ベテルギウス、その下で一番明るい「おおいぬ座」のシリウス、そしてベテルギウスの左下にある「こいぬ座」の1等星プロキオンが作る「冬の大三角」が輝いていた。
 さて、目的の黄道光クロスは見えるのだろうか?日の出は5時44分。東の空には三日月が昇ってきており、その周囲は明るいが、とりあえずシグマのフィッシュアイレンズを向けて撮影してみた。肉眼ではよく分からなかったが、撮影した画像をモニターで見ると、冬の天の川へ淡い光の帯が向かっている様子を確認できた。三日月でもかなり明るいからだろう。天の川とクロスしているまでは捉えることができなかった。
 黄道光は、過去に撮影した写真を見直してみると、2012年11月に長野県の美ヶ原高原で薄明の頃に撮った1枚にわずかばかり写っていたので一緒に掲載しておきたい。

 宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」では、孤独の中で「本当の幸せとは何か」ということを問うている。こうして秋の夜空を一人で眺めていると、若かりし頃の苦い思い出も蘇ってくるが、満天の星による壮大で素晴らしい光景は、私たちは決して孤独ではないこと、そして夢のある未来を予感させる。
 コロナとの闘いが一年半続いている昨今、新たに発足した内閣には、雨にも負けず、すべての人々が幸福になる明るい未来へ光の道筋を示し、実現に向けて努力て欲しいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

夏の天の川の写真
夏の天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 1600(撮影地:長野県 2021.10.02 20:07)
冬の天の川の写真
冬の天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 3200(撮影地:長野県 2021.10.03 3:23)
冬の大三角の写真
冬の大三角
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 3200(撮影地:長野県 2021.10.03 3:38)
黄道光クロスの写真
黄道光クロス(乗鞍高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 3200(撮影地:長野県 2021.10.03 3:24)
黄道光の写真
黄道光(美ヶ原高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 9秒 ISO 1600(撮影地:長野県 2012.11.25 5:19)

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乗鞍高原にて夏の天の川

2021-10-03 18:15:48 | 風景写真/星

 乗鞍高原にて夏の天の川を撮ってきた。乗鞍高原では何度か星空を撮影しており、夏の天の川も撮ってはいるものの、天の川のいて座からたて座の辺りの濃い部分、いわゆるグレートスタークラウドとスモールスタークラウドと呼ばれるところが沈んでしまってからであった。季節は10月になり、この週末が夏の天の川を撮るラストチャンスであるため、星がとても美しく見える乗鞍高原で締めたいと計画した。

 緊急事態宣言が9月30日の期限をもって解除され、10月1日からは日本全国で緊急事態宣言もまん延防止等重点措置もない日々が始まった最初の週末。しかも1日は、大型で非常に強い台風16号が千葉県や茨城県の一部を暴風域に巻き込みながら進み、翌日の土曜日は将に台風一過の秋晴れ。高速道路の下りは、どこも朝から渋滞とのニュース。今回の目的は、あくまでも「夏の天の川」。午前11時半の最新の天気予報、GPV気象予報を確認してから自宅を出発した。
 中央道は、小仏トンネル手前から上野原ICまでの期間で断続的な渋滞があったが、談合坂SA辺りから先はガラガラ状態であった。上信越道の「みどり湖PA」で休憩をとり、乗鞍高原の「どじょう池」近くの駐車場に16時半に到着した。
 紅葉は、まだ半分という感じだが、傾きかけた西日の逆光で輝く赤やオレンジの葉、風に揺れるススキの穂がとても美しい。もし、あと1時間早く到着していればあちこち撮影をしただろう。ちなみに真っ赤に色づく大カエデは9割が緑色の葉で、おそらく2週間後くらいが見頃であろう。「美しいものを一番美しい時に美しく写す」ことがモットーであるから、紅葉の撮影は2週間後に計画したいと思う。
 さた、日の入り時刻は5時半。それまでの間に撮影場所を決めるためにロケハンを行う。高原は見晴らしが良く満天の星なのだが、星や天の川だけを撮ってもつまらない。「まいめの池」でも撮ったことがあるため、今回は、開田高原のように木々を入れる構図にした。
 18時からセッティング開始。おそらくこの方向に夏の天の川が真直ぐに立つだろうとの予測でカメラをセットした。金星が沈みかけた薄暮の頃に一枚撮ってみると、運よく流れ星が写っていた。しかしその後、乗鞍岳方面から黒い雲が高原に次々に流れ込んできた。多くは上空で消えてしまうが、どうしてもカメラを向けた南方向だけは雲が居座り、いつまでたっても消えない。その雲で天の川が見えないのである。
 気温12度。冬用のジャンバーを着ながら待つこと1時間40分。ようやく雲が無くなり、夏の天の川を捉えることができた。残念ながら、グレートスタークラウドは沈みかけてハッキリと写すことができず、乗鞍高原にて夏の天の川を撮るという目的は半分の達成で終わった。

 今回の遠征は乗鞍高原にて夏の天の川を撮る以外に、もう1つの目的があった。それは、「黄道光」の撮影である。20時に天の川の撮影を切り上げ、駐車場で車中泊し、午前3時半より「黄道光」の撮影を開始した。これについては、次の記事で紹介したいと思う。

最新記事参照:乗鞍高原まいめの池より天の川

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

乗鞍高原の星空写真

乗鞍高原の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 20秒 ISO 1600(撮影地:長野県 2021.10.02 18:30)

乗鞍高原にて天の川の写真

夏の天の川(乗鞍高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 3200(撮影地:長野県 2021.10.02 19:47)

乗鞍高原にて天の川の写真

夏の天の川(乗鞍高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 3200(撮影地:長野県 2021.10.02 19:49)

乗鞍高原にて天の川の写真

夏の天の川(乗鞍高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 3200(撮影地:長野県 2021.10.02 19:53)

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