ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

ゲンジボタル 千葉県2022

2022-05-31 21:25:09 | ゲンジボタル

 今年初のホタルは、石垣島でのヤエヤマヒメボタルの観察と撮影であったが、ゲンジボタルの観察と撮影は、千葉県からスタートである。
 前記事のムカシヤンマの産卵を撮影後に向かったのは、2004年から観察を続てけいるゲンジボタルの生息地。2006年には、テレビ東京の番組「トコトンハテナ」の収録で当時のお笑いタレント「クワバタオハラ」さんらを案内した場所でもある。自然発生の東日本型ゲンジボタルが乱舞する素晴らしい生息地であるが、2019年の台風15号、台風19号、そして低気圧による1時間100mmの雨という甚大な被害によってゲンジボタルも影響を受け、翌年から発生数が激減してしまっていた。谷戸の細流に生息している場合は影響をそれほど受けないが、河川の場合は台風や大雨の影響を受けやすいのだ。
 この生息地では、幼虫の上陸や産卵も観察し写真も撮影しており、成虫の飛翔風景はリバーサルフィルムとデジタルでも撮影済である。ただし映像は残していなかったので、今回は映像を主に撮影することを目的とした。この日は、月明りはなく気温も23℃であったが、少々風が強かった。それでも19時41分に一番ボタルが発光を開始し、少しずつ数が増え始めた。決して乱舞ではなく10頭ほどの飛翔だが、台風の被害から3年。ようやくここまで復活してきたかと思う光景に感動である。元のように乱舞するには、あと2年はかかるだろう。
 ここに生息している東日本型ゲンジボタルは、西日本型に比べて発光の間隔が4秒で、飛翔もかなりゆっくりである。そのため、写真に撮ると光跡が弧を描かないので写真芸術的には「絵」にならない。掲載写真を見て「物足りない」と思う方もいらっしゃるかもしれないが、これが台風の被害から復活してきた姿であり、光跡は東日本型の確かな証でもある。ただし映像では、ゆったりと発光飛翔する様子に優雅を感じて頂けると思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

水田の風景の写真

水田の風景
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 320 +2/3EV(撮影地: 千葉県 2022.5.29 17:14)

東日本型ゲンジボタルの飛翔風景の写真

ゲンジボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 5秒 ISO 400 2分相当の多重(撮影地: 千葉県 2022.5.29 20:00~)

東日本型ゲンジボタルのの映像

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ムカシヤンマの産卵

2022-05-30 17:06:27 | トンボ/ムカシヤンマ科

 ムカシヤンマの産卵を写真と映像に収めることができた。

 ムカシヤンマは、丘陵地から山地の周囲に樹林のある湿地や、水が浸み出す斜面などで見られるが、幼虫(ヤゴ)は他のトンボ類と違い、水がしたたり落ちるゼニゴケなどが一面に茂っているような斜面湿地に穴を掘って棲んでいる。当然、メスはそう言った場所に産卵に来る。昨年は午前8時半から12時半まで、幼虫が生息する崖で待機したが、結局メスは産卵には来なかった。
 撮影に向かった生息地では、ゴールデンウイーク頃に成虫は羽化を完了している。羽化後は、しばらく林内などで過ごし、5月下旬頃になるとオスは産卵場所に集まってきて、メスがやってくるのを待つようになるが、問題は、産卵の時間帯である。主に朝夕と書いてある文献もあれば、昼頃と書いているブログもある。昨年の経験を考えると早朝かもしれないが、今回は昼頃という情報に賭けることにした。
 現地におけるムカシヤンマの産卵場所は2ポイントあり、最初は林道奥のポイントに9時過ぎから待機。オスは2頭がメスを待っているが、11時半を過ぎてもメスの飛来はない。当日は朝から快晴で、しかも5月としては異例の30度越えの気温。ポイントは日陰が一切ないので、我慢の限界になり、もう1つの産卵場所へ移動。
 谷になっているため産卵場所となる崖の下部に太陽が当たるのは、11時半頃から14時頃まで。到着すると、すぐさま1頭が崖に止まって産卵を開始した。数分後に、もう1頭。オスも飛んできて下草に止まっているが、メスは1カ所で丁寧に産卵すると、また少し飛びながら移動し、また産卵。5~6カ所ほどに産卵している。産卵中は、かなり近づいても平気である。魚眼レンズが翅に当たっても平気で産卵を続けている。
 下草に止まっているオスも、手で捕まえることができるし、人の肩や脚にも止まる。メスが産卵中は待機しているが、産卵場所の移動しようと飛んだ瞬間は、ものすごい速さで飛んでいき、メスと交尾するために高所へ連れ去るのである。今回は、2カ所目のポイントにおいては、12時から13時過ぎまでの間に4頭のメスが産卵に訪れた。ここに限って言えば、産卵場所に直射日光が当たる時間帯のみに産卵に来ていた。
 ムカシヤンマの産卵は、初見初撮影で、写真だけでなく映像も収めた。また産卵場所には、あちこちに穴が開いており、羽化していない留年幼虫が生活をしているわけだが、ゼニゴケが茂っている場所では、ゼニゴケを上手く丸い形に切り取っている様子も観察することができた。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

ムカシヤンマの産卵の写真

ムカシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 3200 +2/3EV(撮影地: 茨城県 2022.5.29 12:02)

ムカシヤンマの産卵の写真

ムカシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 3200 +2/3EV(撮影地: 茨城県 2022.5.29 12:15)

ムカシヤンマの産卵の写真

ムカシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 3200 +2/3EV(撮影地: 茨城県 2022.5.29 12:17)

ムカシヤンマの産卵の写真

ムカシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 3200 +2/3EV(撮影地: 茨城県 2022.5.29 12:48)

ムカシヤンマの産卵の写真

ムカシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/100秒 ISO 3200 +2/3EV(撮影地: 茨城県 2022.5.29 12:50)

ムカシヤンマの産卵の写真

ムカシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / 絞り優先AE F8.0 1/25秒 ISO 2500 +2/3EV(撮影地: 茨城県 2022.5.29 13:18)

ムカシヤンマのオスの写真

ムカシヤンマのオス
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / 絞り優先AE F8.0 1/50秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地: 茨城県 2022.5.29 13:09)

ムカシヤンマの産卵場所の写真

ムカシヤンマの産卵場所
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / 絞り優先AE F8.0 1/20秒 ISO 640 -2/3EV(撮影地: 茨城県 2022.5.29 13:01)

ムカシヤンマの巣穴の写真

ムカシヤンマの幼虫の巣穴
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / 絞り優先AE F8.0 1/25秒 ISO 1000 -2/3EV(撮影地: 茨城県 2022.5.29 13:04)

ムカシヤンマの巣穴と幼虫の写真

ムカシヤンマの巣穴と幼虫
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / 絞り優先AE F8.0 1/20秒 ISO 1000 -2/3EV(撮影地: 茨城県 2022.5.29 13:05)

ムカシヤンマの産卵(映像)

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5月のトンボとチョウ(絶滅危惧種)

2022-05-23 20:57:28 | その他昆虫と話題

 5月21日(土)は、ホタルの講演会を行ってきた。相模原での講演は2回目である。前回は2019年11月24日で相模原市主催の講演会であったが、今回は国際ロータリー第2780地区主催、相模原市共催で「ホタル舞う相模原」と題した講演会である。
 まずは、三ケ木地区のゲンジボタル生息地の視察(こちらも2回目)をし、保存会の皆さんに具体的な環境保全指導を行った。その後、津久井中央公民館大ホールにて、60分の講演と45分のパネルディスカッション(勉強会)を行った。講演会では、ホタルの基礎知識や生態と生息環境、光害などについて話し、最後に映像を2本ご覧いただいた。5,000ルーメンのプロジェクターを用意して頂いたお陰でホタルの映像(フルHD)は、まるで映画館で見るような高画質でご覧いただくことができた。
 勉強会においては、地元ホタル保存会4団体の会長さんとともに、相模原地区のホタル保全・育成の諸問題や具体的な改善方法・対策についてパネルディスカッションを行い、有意義な時間となったと思う。
 尚、この講演会の様子は、J:COMチャンネル神奈川(デジタル11ch)で放送される予定である。番組名 WEEKLY トピックス神奈川 放送日時 6月4日(土)6月5日(日)11:00~ 14:00~ 17:00~ 20:30~

 さて、来週末からは、いよいよホタルの観察と撮影(今年は映像に力を入れようと思っている)で、7月上旬にかけて千葉県、埼玉県、岐阜県、東京都内、宮城県、静岡県などへの遠征を予定しており、今から一か月後は、沖縄本島への遠征も計画に入っている。この週末は、講演会を除いて、自宅にてそれらの準備に費やすことにした。
 とは言え、日中は晴れ間も広がる休日。小一時間でいける多摩西部へ探索に行けば、様々なトンボやチョウが生息している。昆虫たちの貴重な生態写真を残すチャンスではあるが、今後の事も考えての我慢である。
 今年になって撮った昆虫写真と言えば、ゴールデンウイーク中に証拠程度のギフチョウ・イエローバンド1枚のみ。当ブログには風景や星景写真ばかりが目立つ昨今なので、過去に撮影したトンボとチョウの写真の中から、主に5月に見られる種で、環境省や地方自治体のレッドデータブックにおいて絶滅危惧種として記載されているものを選んで掲載してみた。
 ホタル同様にそれぞれの生態と生息環境を理解し、環境保全を行わなければならない種ばかりである。環境省カテゴリに記載されている種は、全国的に絶滅が危惧されているが、各地方自治体のレッドデータブックにおいて記載されている種も多く、地域によっては絶滅しているトンボやチョウが多い。尚、地方自治体RDBでは、ランクの上の地域だけを記載している。
 撮影した写真は主に図鑑的なもの選別して掲載したが、撮れていない羽化や産卵などの生態シーンは、今後残していきたいと思っている。枚数が多いために1枚目以外はサムネイル表示としたが、写真をクリックすると拡大表示されるので、クリックして拡大表示してご覧いただきたいと思う。

  • クモマツマキチョウ Anthocharis cardamines isshikii/環境省カテゴリ:準絶滅危惧
  • オオルリシジミ Shijimiaeoides divinus barine/環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠA類
  • ヒメシロチョウ Leptidea amurensis amurensis/環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠB類
  • ミヤマシジミ  Lycaeides argyrognomon praeterinsularis/環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠB類
  • アオバセセリ  Choaspes benjaminii japonica/千葉県RDB 絶滅危惧Ⅰ類
  • トラフトンボ  Epitheca marginata/青森県・東京都・神奈川県RDB 絶滅 千葉県・群馬県・静岡県RDB 絶滅危惧Ⅰ類
  • オオトラフトンボ Epitheca bimaculata sibirica/群馬県RDB 絶滅危惧Ⅰ類
  • カラカネトンボ Cordulia amurensis/栃木県・富山県RDB 絶滅危惧Ⅱ類
  • ムカシトンボ Epiophlebia superstes/群馬県RDB 絶滅危惧Ⅰ類
  • サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri/東京都・神奈川県・群馬県RDB 絶滅危惧Ⅰ類

参考:日本のレッドデータ検索システム

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。サムネイルの写真はクリックしますと拡大表示されます。

クモマツマキチョウの写真

クモマツマキチョウ
Canon EOS 7D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 200(撮影地: 富山県)

クモマツマキチョウの写真 オオルリシジミの写真 オオルリシジミの写真 ヒメシロチョウの写真 ヒメシロチョウの写真 ミヤマシジミの写真 ミヤマシジミの写真 ミヤマシジミの写真 ミヤマシジミの写真 アオバセセリの写真 アオバセセリの写真 トラフトンボの写真 トラフトンボの写真 オオトラフトンボの写真 オオトラフトンボの写真 オオトラフトンボの写真 カラカネトンボの写真 ムカシトンボの写真 ムカシトンボの写真 ムカシトンボの写真 サラサヤンマの写真 サラサヤンマの写真

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渋峠より天の川

2022-05-09 16:07:36 | 風景写真/星

 渋峠より天の川を撮影したが、結果から言うと単にそれなりの天の川を撮っただけの失敗であった。

 渋峠より天の川の撮影もこのゴールデンウイーク中の目標であった。渋峠は、長野県の志賀高原と群馬県の草津を結ぶ国道292号線にある峠で、群馬県側には標高2,172mの草津白根山展望台がある。その場所は「日本国道最高地点」でもあり、東の方向に大きく開けており、天の川を撮影するにはもってこいの場所である。渋峠周辺は2012年に紅葉の光景を撮るために訪れており、志賀高原にはトンボやゲンジボタルの観察と撮影で何度も訪れているが、星景写真の撮影では今回が初めての訪問である。

 撮影場所に選んだ草津白根山展望台に駐車できる台数は10台ほど。天の川が昇ってくるのは23時過ぎからであるが、遅く到着して駐車場所がなくなっては元も子もない。ギフチョウ撮影の後は特に予定も入れていなかったため、夕方には現地入りの予定での行動である。
 上信越道の信州中野ICから国道292号線で、まずは志賀高原を目指す。途中の掲示板に「凍結 冬タイヤ必要」の文字。とっくに夏用タイヤに履き替えているが、念のためチェーンを積んであるので安心。蓮池を過ぎると、森の中には雪がかなり残っていた。道路にはまったく雪はないが、横手山のスキー場はまだ滑走可能で、溶けた雪が道路に流れ出ている。これが夜間に凍ったら危険だろう。横手山ドライブインで小休止。ここには「のぞき」という絶景ポイントがあり、特に紅葉に時期はカメラマンに人気がある。私も2012年10月に写真を撮っている。ここから草津白根山展望台までは、県境を越えてすぐである。
 16時に到着。流石にゴールデンウイークの5月5日。次から次へと観光客がやってくる。国道を通る車は、ほとんどが立ち寄って記念写真を撮っていく。ただし1グループの滞在時間は5分ほど。日が暮れると、残ったのは私の車1台だけになった。
 家内からのメールで、義理の母が亡くなったとの知らせが入る。もともと翌6日の早朝に自宅に戻る予定であり、内容から急遽帰る必要はないため、そのまま計画を続行。精神的動揺があったが、その日は3時間も寝ていなかったため、いつの間にか車内で寝落ち。ふと目覚めると午前0時。あわてて車外に出ると横に車が7台ほど。皆、天の川の撮影中であった。

 急いで車の真後ろに三脚を立てカメラをセット。気温は3℃で、手がかじかむ。天の川は、丁度良い感じに斜めに昇っており、乗鞍高原ほどではないが肉眼でしっかりと確認できる。この時期らしさを演出してくれるであろう、まだ雪が多く残る山の斜面を入れながら構図を決める。標高2,000mを越える見晴らしの良い峠ではありがちな光害。眼下の草津温泉の街明かりが少々気になるが、下層雲の上に広がる星空と天の川は、渋峠ならではの光景だろう。しかしながら、今回フィッシュアイ・レンズでも撮影したが、失敗作である。
 星景写真は地上風景と星空を一緒に写したもので、天体だけを写した天体写真とは違う。そこには主役と脇役、或いは点景といったポイントが必要だ。今回は、夜空に浮かぶ天の川の神秘さは表せたように思うが、単に山の上から天の川を写しただけの写真である。この夜は、6日17時頃に活動がピークとなる「みずがめ座η流星群」も収めるチャンスであった。放射点となるみずがめ座が昇ってくるのは午前1時頃。流星が多く見られるのは未明。6日の早朝には自宅に戻るために午前1時に渋峠を後にしなければ、多くの流星を入れることもできたかもしれないが、しずれにせよ、事前の情報収集や撮影場所と位置の考察不足、初訪問でイメージトレーニングもないままの撮影が原因である。予定では、23時半からタイムラプス用の写真も撮ることにしていたが、寝坊してそれもなし。今回は写真2枚のみ「記録」としての掲載としたい。

 来るときは、上信越道の信州中野ICから志賀高原経由で登ってきたが、帰路は草津・嬬恋・軽井沢経由で、碓井軽井沢ICから上信越道、関越道、圏央道、中央道を走って国立で降り、洗車後午前4時半に帰宅した。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

渋峠より天の川の写真

渋峠より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2000(撮影地: 群馬県中之条町 2022.5.06 0:22)

渋峠より天の川の写真

渋峠より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEY / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2000(撮影地:群馬県中之条町 2022.5.06 0:34)

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乗鞍高原まいめの池より天の川

2022-05-08 18:34:54 | 風景写真/星

 乗鞍高原まいめの池より天の川を撮影してきた。

 乗鞍高原と高原内にある「まいめの池」では、過去にそれぞれ夏の天の川を撮影しているが、いずれも8月の撮影で、夏の天の川特有の濃い部分である銀河の中心グレートスタークラウドは地平線に沈んでしまった後であった。乗鞍高原は、夜空の明るさが客観的に評価できる数値「等級(mag/□"):(マグニチュードパー平方秒角)」で表すと、21.79mag/□" で、天の川の複雑な構造が肉眼で確認できるほど星空が良く見える場所であり、一度は乗鞍高原でグレートスタークラウドを撮っておきたいと思っていた。
 今年のゴールデンウイークは、月の影響もなく3日から5日は快晴の予報であった。こまめにGPV気象予報で雲の広がりをチェックしながら、4日から5日にかけての深夜に乗鞍高原まいめの池より天の川を撮る計画とした。

 自宅を19時に出発し中央道で松本へ。上りは、小仏トンネルから談合坂SA付近まで長い渋滞の列。途中では追突事故もありお気の毒。下りは、まったく渋滞もなく走行車両も少ない。週末ドライバーに気を付けながら順調に進み、松本ICで降り、国道158号線を上高地方面へ進む。松本方面に下りてくる車は多いが、この時間に上っていく車は、私ぐらいである。
 予定通り、乗鞍高原には22時半頃に到着。気温は3℃で残雪はなし。見上げれば快晴で満天の星。しかも無風。星や天の川は高原のどこからでも撮れるが、まいめの池を選んだのは、池の水鏡に星々が映る様子も収めたかったからである。まさに絶好のチャンスであり、今年はもうないだろうと思う程の好条件である。
 しばらく車内で休憩し、23時過ぎからまいめの池に移動し三脚をセット。誰もいない。昨年に遭遇したツキノワグマは、まだ冬眠中であろうが、ちょっと心配しながら撮影の位置と構図をあれこれと調整する。天の川は、地平線から昇ってはいるが、まいめの池の向こう側に山があるため、まだ薄い部分しか見えない。試し撮りをしながら待っていると、グレートスタークラウドが徐々に姿を現した。天の川は肉眼でもハッキリと見えるが、撮影した画像を小さなモニターで確認すると、その写りに、標高1,600mで街明かりが遮断された乗鞍高原の素晴らしさを実感する。

 インターネットで「天の川」の画像を検索すると、色の濃いくっきりとした天の川の写真が目立つ。これらは、赤道儀を使って追尾し露出をかけて撮影したものや、デジタルカメラを天体写真用にIR改造(HKIR改造)して撮影したものである。「見た目の星空と違っておかしい」「こんなにカラフルに見えない」との意見もあるだろうが、実は、実際の星空や天の川の色彩なのである。
 一般のデジタルカメラは、撮影した画像のカラーバランスを人間の色感覚に基づいて自然に整えるため、センサーに特殊な色調整フィルターが内蔵されている。この色調整フィルターを取り除くとセンサーに入射する光がカットされなくなるため、特に赤く輝く散光星雲などから放たれるスペクトル領域(Hα)付近の感度が大幅にレベルアップし、色彩豊かな星空や天の川が撮れるのである。色調整フィルターを取り除くのがIR改造(HKIR改造)である。
 赤道儀では、星の動きを追尾して撮影するため、風景と一緒に撮影すると地上部分は流れてしまう。地上の風景も奇麗に写した1枚にするためには、風景と星空を別々に撮影し、後にパソコンで合成する手法をとらなければならない。
 私の星景写真(地上の風景と星空を合わせた写真)は、すべて改造していないデジタルカメラでの固定一発露光したものである。これでさえ見た目の星空とは違うものであるし、改造機で撮影した写真に比べれば見劣りもする。しかしながら、普通のデジタルカメラとレンズでも、乗鞍高原ならばここまでは撮れるのである。先月撮影した新潟の「星峠より夏の天の川」と比べても、違いが分かっていただけるだろう。掲載写真は、DxOPureRAWでRAWの最適化を行った後、LightroomでRAW現像し、jpeg出力したものである。

 東京女子大学名誉教授であった家内のお母様が5日に他界した。享年84歳。7日は通夜で8日母の日が告別式。私の結婚当初は随分とご心配をお掛けし助けても頂いた。家内の実家は自宅から車で30分ほど。以前はそれなりにお邪魔していたが、コロナになってからはまったく伺っていなかった。病院でも面会はできず、結局、2年以上もお会いすことなく会話もないままであった。それが残念でたまならい。白菊とともにカーネーションを入れて、お見送りした。天に召され、この星々と同じようにいつまでも空に輝いていてほしいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

乗鞍高原まいめの池より天の川の写真
乗鞍高原まいめの池より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 3200(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2022.5.05 1:00)
乗鞍高原まいめの池より天の川の写真
乗鞍高原まいめの池より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 3200(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2022.5.05 1:02)
乗鞍高原まいめの池より天の川の写真
乗鞍高原まいめの池より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 3200(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2022.5.05 1:10)
乗鞍高原まいめの池より天の川アーチの写真
乗鞍高原まいめの池より天の川アーチ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 3200 11カットパノラマ合成(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2022.5.05 0:29)

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GW長野遠征

2022-05-06 14:56:29 | チョウ/アゲハチョウ科

 ゴールデンウイークの後半は、毎年恒例となっているギフチョウのイエローバンドと呼ばれている変異型の探索に出掛けた。イエローバンドは、長野県のごく一部で見られる常染色体劣性遺伝により引き継がれている地理的変異で、通常の個体に比べ翅の縁毛が全て黄色になり、翅の外縁部が黄色の毛で縁取られる個体(型)である。
 私は5月4日から6日までが三連休。天気も良く気温も高い。ギフチョウの探索は5日の午前中と決め、その前後は夏の天の川撮影とした。4日19時に自宅を出発。中央道の上りは当然のことながら渋滞していたが、下りはまったく渋滞はなし。まずは乗鞍高原である。現地には22時半頃に到着し、23時過ぎから夏の天の川を撮影。翌5日の午前2時に乗鞍高原を出発し、ギフチョウの生息地へ向かい、午前3時に到着。7時まで仮眠し探索開始。
 林の中を飛ぶギフチョウを追いかける。なかなか止まってくれない。見失う。また追いかける。見失う。その繰り返しで、やっと止まってくれたと思ったら裏側。とりあえず1枚撮影。表側を撮るために回り込もうとしたら飛ばれてしまい見失う。結局、撮影できたのはたったの1カット(掲載1枚目)。ただし、目的のイエローバンドであった。以下には、2018年に撮影したイエローバン2枚も掲載した。
 ギフチョウの生息地を正午に出発。次は、渋峠である。日本国道最高地点から夏の天の川を撮影し、現地を6日午前1時に出発。草津・軽井沢経由で上信越道の碓井軽井沢ICから乗り、自宅には午前4時半に到着した。ゴールデンウイークの長野遠征は、まったくの渋滞知らずで終了。乗鞍高原と渋峠から撮影した天の川は、順を追って掲載したいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

ギフチョウ(イエローバンド)の写真

ギフチョウ(イエローバンド)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 800 +2/3EV(撮影地:長野県 2022.5.5 10:50)

ギフチョウ(イエローバンド)の写真

ギフチョウ(イエローバンド)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200(撮影地:長野県 2018.5.5 11:03)

ギフチョウ(イエローバンド)の写真

ギフチョウ(イエローバンド)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 200(撮影地:長野県 2018.5.5 11:04)

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