今年も3月~4月にかけて日本各地の多くで、学校の校庭のビオトープや公園の小川にホタルの幼虫が放流された。ホタルを守る会や小学校の児童が飼育したホタルの幼虫を放流している。再三訴えてきたことだが、ほとんど養殖状態に育てたホタルの幼虫を「たくさん飛んでね。」と4月頃に放流することに大きな疑問を感じる。
なぜ、毎年放流を続けるのだろうか?定着の初期段階や8月頃なら納得できるが、4月に終齢幼虫を放流し続ける。幼虫は水中生活の90%以上を水槽で過ごし、本来の生活場所である小川では、ほんの1~2ヶ月である。また、人工養殖の多くの場合、同じ親を持つ兄弟が増えて、遺伝的に偏りが出る。そのうち放流してもホタルはあまり飛ばなくなってしまう。なぜ、ホタルが自然発生する環境づくりを最優先にしないのだろうか。なぜ、ホタルが一生を通じて暮らせる環境を作らないのだろうか?飼育することが環境教育につながる・・・そんな声を聞く。確かに、飼育することはホタルや自然に対する興味関心を呼び起こすことに役立つだろう。しかし、ホタルの真の生態を観察することなく、ホタルを沢山飛ばすために養殖行為に走り、何百、何千という幼虫を育てることが、果たして環境教育なのだろうか。生態の観察ならば、100匹も飼育すれば十分である。放流せずに、そのまま成虫までさせればいい。
ホタルの幼虫放流などしなくてもよいように、環境づくりをするべきである。飼育は、少ない数でしっかりと観察すればよいと思う。ホタルの飼育の目的は、ホタルの生態観察であって、放流してたくさん飛ばすためであってはならない。
今、日本のホタルは泣いている!
人々のためではなく、ホタルのために 東京ゲンジボタル研究所/古河義仁
なぜ、毎年放流を続けるのだろうか?定着の初期段階や8月頃なら納得できるが、4月に終齢幼虫を放流し続ける。幼虫は水中生活の90%以上を水槽で過ごし、本来の生活場所である小川では、ほんの1~2ヶ月である。また、人工養殖の多くの場合、同じ親を持つ兄弟が増えて、遺伝的に偏りが出る。そのうち放流してもホタルはあまり飛ばなくなってしまう。なぜ、ホタルが自然発生する環境づくりを最優先にしないのだろうか。なぜ、ホタルが一生を通じて暮らせる環境を作らないのだろうか?飼育することが環境教育につながる・・・そんな声を聞く。確かに、飼育することはホタルや自然に対する興味関心を呼び起こすことに役立つだろう。しかし、ホタルの真の生態を観察することなく、ホタルを沢山飛ばすために養殖行為に走り、何百、何千という幼虫を育てることが、果たして環境教育なのだろうか。生態の観察ならば、100匹も飼育すれば十分である。放流せずに、そのまま成虫までさせればいい。
ホタルの幼虫放流などしなくてもよいように、環境づくりをするべきである。飼育は、少ない数でしっかりと観察すればよいと思う。ホタルの飼育の目的は、ホタルの生態観察であって、放流してたくさん飛ばすためであってはならない。
今、日本のホタルは泣いている!
人々のためではなく、ホタルのために 東京ゲンジボタル研究所/古河義仁